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ざわめく教室

 今朝、私は一人で登校していた。昨日の事をずっと考えていたせいかあまりよく眠れなかった。りことうまく話せるか不安を感じながら私は道を歩いて行った。


 教室に入ると、クラスメイト達がざわめいていた。その中心には顔を青ざめて、自分の机を凝視しているカナデの姿があった。私はカナデに声をかけようと近づいた時、信じられないものが目に飛び込んできた。

「おはよう、カナデ。どうしたの……っひ!?」


 赤いチョークでカナデの机一面にびっしりと 


 死 ね 


 の文字が書かれていた。


 小さい文字ですき間なく書かれたソレは、明らかにカナデへの悪意に満ちていた。私がその場で立ちつくしているとカナデが弱弱しく笑った。


「はは……何あんたが死にそうな顔してんのよ。すごいよね、これ……私もさっき登校してきて、びっくりしちゃった……」


「わ、笑ってる場合じゃないでしょう! 誰よこんな事したの!?」 


 カナデの言葉で我にかえった私は、教室にいた全員に目を合わせるように問いかけた。すると、恐る恐る一人が手を上げた。


「わ、私今日早く登校したんだけどその時にはもう書いてあったよ。教室には誰もいなかったけど……」


「下駄箱はどうだった?」


「う~ん……だいたい私がいつも一番だけど……あっでも確か」


「り こ ち ゃ ん の靴があったかも」


 その時教室の扉が音を立てて開いた。


 皆がいっせいに扉のほうに目をやる。そこには皆から注目されて、戸惑っているりこの姿があった。


「ど、どうしたの……何かあった……?」


「……春川さん今日いつ登校した? 今までどこにいたの?」


 クラスメイトの一人が疑いの目でりこに問いかける。


「え、私は今日早く登校して、教室に鞄を置いてからそのまま屋上にいたけど……」


「へぇ~……ねぇ、カナデの机がひどい事になってるんだけど……これ春川さんがやったの?」

 

 その言葉を聞いた途端、りこの顔色が変わった。それを見た瞬間、とっさに私はりこに駆け寄り、私の後ろに隠した。


「ちょっと!! りこがそんな事する訳ないでしょ!? 言いがかりはやめて!」


 そう言って私はりこを疑った一人を睨みつけた。その子は一瞬怯んだが、言い返そうと口を開きかけた時


「もうやめてよっっ!!!!」


 教室に響きわたるくらい大きな声でカナデが私達を止めた。カナデは泣きそうになりながら、ハンカチで自分の机をぬぐっていた。


「りこちゃんがやったって……証拠はないし……私は大丈夫だから」


「カナデ……」


 私はカナデの痛ましい姿に、思わず傍に行こうとした。すると後ろから強い力で止められる。りこは唇を噛みながら私に言った。


「私……絶対にそんな事やってないからっ……! 信じてあやねちゃん」


「あ、当たり前でしょ……もちろん信じるから」


 そう言って私がりこの頭を撫でようとした時、教室の扉が開いて先生が入ってきた。


「お~い、そろそろホームルーム始めるぞ。皆席につけ~」




 私達は急いで自分の席に座り、先生の話を聞いていたが、クラスメイト達はりこにずっと疑念の目を向けていた――。



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