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其壱
世界中の音楽を聴くことができる耳でも、もう君の声は聞こえないんだ。
何メートルも先でも見ることができる目でも、もう、君の姿は映らないんだ。
大好きだったキミの匂いを感じられた鼻には、もう、君の気配すが匂えないんだ。
どんな言葉でも紡ぐ口でも、もう君に好きと伝えられないんだ。
君を抱きしめることができるこの腕でも、もう君を忘れかけているんだ。
君の温かさを感じられた手でも、もう冷えてしまったんだ。
君とともに歩くことのできた脚は、もう一人で歩くしかないんだ。
ボクの体から、君という君が消えて忘れて失われても、ボクの心から君の姿がなくなることはないんだよ。
ガキの戯言です。何か感じてくれたら幸いです。