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真似事遊戯。

私はこの人間たちの生涯をとても興味深いものだと思っている。

真似事遊戯




真似事。幼子の言葉でいうならば、「真似っこ」といったところだろうか。


幼子はあらゆることに興味を示し、真似したがるものが多い。テレビ番組に出てくるアニメのキャラクターから役者まで多感な時期は憧れも多い。




双子はよく、お互いの行動が似ることもあれば、真逆の行動を取ることもある。それが他意なのこ故意なのかは本人達のみぞ知る。




ここに年端もいかぬ双子がいる。双子のとる行動はほとんど似ていた。笑うタイミング、泣くタイミング、不機嫌になるタイミング、ありとあらゆる場面で行動がシンクロしていた。


親もそれをほほえましく思っていた。




二人は心に決めていることがあった。ーお互いの真似っこをする遊びを死ぬまでしよう。ーという内容だ。そんなものは長続きしないし、幼いころの約束は簡単に破られる。


しかしその二人はどちらかが遊びに飽きてきたら無理やり行動を合わせてお互い終わりのないようにしていた。それの繰り返しにより数年がたった。




お互いがお互いを読みあうと他者の空気を読むことが上手くなりすぎてしまう。そして、自分の片割れが何をしだすか分かってしまう。繰り返すとお互いの人格が一つになっていくような気がした。




同じタイミングで何回かーもうやめようーとシンクロしたことがあった。


しかし、やめる時期はとおに過ぎていた。


ー習慣化ーである。お互い何をしたいのか、あるいは自我の喪失をしてしまっていたのだ。


引っ張り引っ張られて均衡を保っている状態、どちらかが強く動けば目の前が真っ暗になり、日々の崩壊が始まってしまうのだろう。本当に遅すぎた。




親はひどく嘆いた。ほほえましかった光景が今は恐怖しか感じていない。


二人を隔離するしかない。まったく違うものを部屋において無理やりにでも一人の人間にしていくしかない。そう考えたのだ。




母親が片割れの名前を呼ぶ。


するとやってきたのは、双子だった。


もう一度名前を呼ぶと二人同時に返事を返した。


父親がもう一人の名前を呼ぶ


結果は同じだった。二人同時に返事を返した。




なんということだ。


父親は二人に紙とペンを差し出し、自分の名前を書いてごらん。と言ってみる。


二人はペンを動かさなかった。


いや、名字の部分は書けたのだ。下の名前を書こうとした瞬間お互いの紙と自分の紙を見合って固まってしまったのだ。


まったく同じ角度で同じ表情で首をかしげる。


親はこれ以上は気が狂いそうだったため、もう何もできなかった。




二人は来週から小学校に入学するというのに。これではどうしようもならない。




次の日、母親は眉間にしわを寄せた状態で


片方を指さし、その名を呼んだ。そして父親はもう片方の方を指さして片方の名前を呼ぶ。


二人はお互いを見合った後、現実に戻ったかのように目を見開いてお互いを指さした。


そしてーーあなたはだぁれ?ーー


親の口はとうとう塞がらなかった。




入学式前日まで親はありとあらゆることを試した。精神科にも行ったが、治療するすべは見つからなかった。片方の髪を切れば翌日には片方が全く同じ長さまで髪を切っていたし、片方に人形を差し出せば、人形の両腕を片方ずつ引っ張り、裂いた。最終的にはどれも功をなさなかった。


自分の子がひどく恐ろしく見えた。それこそ化け物か何かのように。


あまりも行き過ぎた二人で一つという行為。




翌日ーー私はテレビを見た。テレビではキャスターの機械的で無機質な声で、ここ数日の事件や事故が取り上げられていた。その中の1つが寝ぼけ頭の私の意識を覚醒させた。


愚かな母親が双子の片方を刺したと。そしてもう片方は動かなくなったそれの死体と同じ表情で母親の手から包丁を奪い同じ角度で同じ場所を刺して自害したーーー。




母親の供述の最後はこうだった。ーーやっと違ったのが死に方だなんて。私が間違っていたの?




そして、すんっと画面が変わり天気予報に切り替わる。




子供にも親にも罪はない。しかし、あまりにも残酷で短い双子の生涯。




世の中が端的にまとめるならば「狂った母親と悲しみ末に死んでいった哀れな子供たち」だろうか。しかしそれでは納得できない。私が納得できないのだ。ここで私の醜い童心と好奇心が顔を出す。もっと腑に落ちる名前が欲しい。覚醒しかけている頭を必死に動かす。


子供らしくも残酷な名前ーーいいや、物語を。


私がこの事件に子供に会う名前を付けるなら「真似事遊戯・双子の生涯」だろうか。


賽の河原というですらもきっと二人は逃れられることのない遊戯を行っていることだろうな。




近くのメモ用紙にそれを書き、そして自分だけの本を見つけたかのように私は笑みを浮かべたのだった。

閲覧ありがとうございます。

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