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JKたちは『AHO』なことをしています  作者: 畑楽 繰間


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本田さん、現在フリー

 ディエティ。


 これ、実は、実装の口コミですさまじい不評を受けた職業であったりする。

 防御のステ増加に関しては最上級にふさわしいものを持っている。

 体力もスキルレベルですごい上がる。


 ただ…。


 アクティブスキルで、魔法やほかの近接のように、爆発的な破壊力を持つスキルも、ド派手な支援も回復も一切ない。

 もらえなかった、というのが不評の要因のほぼすべてだ。


 もちろん、私も知っている。

 それでも、この職を選んでいるのだ。


 理由はある。

 この職、そういった派手は一切ないのだが、既存スキルの効果増加というのが職の肝なのだ。

 つまり、聖剣のスキルなど、もともとあるものが強いなら欲張らなくてこの効果を強くするのは都合がいい。

 そういう腹積もりがあったのである。


 このスキル方針の最大の利点が、この職のスキルの一つにある。

 『全体化』。

 既存の手持ちスキルを単体効果から周囲用のスキルに変換する、という追加技能スキル。


 私の心を射止めたスキルだ。

 悪さをするには実に、ちょうどいいと言えた。

 

 これと、『ためる』『倍化』といったスキル。

 さらに挑発とデバフの範囲化があれば、効果がある相手と戦うのに、いっさい対等な条件を拒否したハンデ戦ができるし、集団戦がより優位になる。


 ちなみに、スキルレベルも多少上げたくてソロで竹林のダンジョンに潜ってきたが、踏破できてしまった。

 課金面の力は素晴らしいぞ。

 そんなわけで試運転は完了して、あとは本番を待つばかり。

 

 ギルド戦の準備も、着々と進んでいる。


 これの仕組みも、ついでに説明しとこう。

 フィールドラスボスと言われている魔王。

 フィールド各所に体の一部が露出して、世界全体に出現をしている。

 メインで人が集まらないところが多いが、これは配慮らしい。

 これらは、触った人間をイベント中すべて記録していて、ボスと戦ったログがあるものだけがギルド戦にいける。


 全世界に数十あるらしく、それなりに固いそれらは、すべてほぼ同時に潰さないと完全復活し、数十を連携で仕留めないとイベント進行してくれない。

 これを達成してボスを倒すと、世界の開放という新イベントがスタート。

 ここで、特製のフィールドにボス対戦ログがある者たちは集められ、ギルド戦が開始する。

 一度死んだら終わり、ログアウトなどはたたき出されるルールのバトロワが展開し、最後の一人がクリエイト可能な島マップ一つの管理権を付与される…。


 というのが前回の島クリエイトと同じであれば行われる進行らしい。

 いきなり召集は、ちょっとはた迷惑だが、まぁ参加しないことは選べるようなので…。

 そんなシステム上、一か所か二か所を守ってれば勝手にギルド戦はうまく始まらないし、敵も味方も数が必要で、そこまでは連携しないとうまくもいかない。

 ボス倒すこと自体が失敗したら、島の出現からおあずけだろうし、それはだれも望まないはずだから。


 そして案の定、オルアラ傘下が一つボスの部品を占拠していくつかのギルドが他のところを勝手に開始されないよう守ると言う前哨戦は起きてるらしい。

 参加者のおおよその了承がないと、ギルド戦が起きない土壌はきちんとあったようだ。

 開始すれば休み時間のないバトロワ。

 睡眠時間くらいはみんな前もって取りたいだろうし、さて行くぞと号令も時間差がないといけない。


 そんなこんなで…。

 主だったギルドとの会議があり、日程、つまりみんな起きてて半日くらいは耐えられる時間のすり合わせという詰めが最終的に行われる。


 その間に、適当に参加したいやつらはボスのかけらの中で比較的即死はしないやつを一度くらい殴っておく。

 はっきり言って全部の把握は無理で、二大勢力だけで単純な攻防が起きるわけもない。

 そこは諦めて、それでも出来る限りは詰めていく。


「……と、いうことで三日後、つまり土曜の午後十時でまとまったことを報告しておくねぇ」

「ご苦労様です」


 なんで私は一切参加しなかったんだコレ。


 ま、堅苦しいのが苦手なくらいはしっかり知ってくれているから…なのはいい。

 各ギルドと顔を合わせる時間が束縛されすぎるからという情があったかもしれないのもいい。

 …余計なこと言われたら困るから抜いといた、なんて話だったらどうしよう。


「いつものギルドって、普通に全員参加なんですか?」

「ルシテアから聞くところだと、オージンくんは時間的に不参加かもと聞いてる以外は特に音沙汰ないねえ」

「…そういうば最近見てないなぁ、ルシテアさん」

「こっちも、アレの顔の広さに期待してた部分はあるから苦労してるよ、一度耳打ち来ただけだからねぇこっちも」

「一緒に忙しいんでしょうか…というか、あの二人実際どんな関係なんでしょ」

「聞いたことはないねえ」

「まぁ、いないところで詮索するのも野暮ですか」

「意外と恋仲だったら楽しくなるんだけどねえ」

「……たまにすごいオタク的な欲望とか知識が見え隠れしますよねミカさん…」

「女性がだいたい好きなことは好き、というだけだねえ」


 熟年っぽい硬さのあるおっさんの恋愛関係を…?


「ま、これでバトルのすべてが固まったっていうことで、それまでは遊んでますよ私…いいんですよね?」


 あとはミカさんとは関わりない自分の周囲のことで心配なことをちょっと整理するだけ。

 一番は、うちのクラスメイトだ。

 チカちゃんがサブのほうで今回参加する気だとは全く思えない。

 だとすると。

 ほかふたり、チカ側に飛び入りする可能性が当然高いのだ。


 やだなぁ、誰かに稀ちゃんが殺されるようなの見せられるの…。


「あ、そうそう、一つ言うの忘れてたね」

「おや、なんかあるんです?」

「ちょっと重要なのがね」

「……バニーは……」

「ああ、そっちで勧誘できるのがいるか確認するの忘れてたね! やってくれるかい?」

「絶対いや!」


 言わないほうがよかったか。


「まぁ、それはおいといて、本田さんいまだにフリーなんだよね」

「恋人的な意味で?」

「それは逆に付き合いたいとかいう意思表示なのかね…」

「そうではなく」

「……ギルド参加してないと、クリエイトの権限付与できない可能性あるんで、どこでもいいから入るか作るか、しといてねえ」

「そんなのあるんだ…とうとうかぁ」


 そう、身が軽いほうがいいとか、迷惑かけたくないとか、そんな間の悪さが度々あって、ギルド参加したことが全くないのだ。


「ミカさんとこは、私が入るのルール違反なんです?」

「そもそもマックスで追い出せる人間がいないねえ」

「…いつものに入れてもらうか、作るかか…」


 即時の結論は出ないので、持ち帰り案件にさせてもらった。


「それと、開始直前の九時に決起集会と本田さんの演説が入ってるから、忘れないでねえ」

「だから事後承諾していいものと悪いものあるっつってんだろが!?」

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