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JKたちは『AHO』なことをしています  作者: 畑楽 繰間


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本田補完計画

 まずいことになった。


 そう私が気付いたのは、あのユーザーイベントの夜のことだった。

 私自身を過大評価していたのではない。

 おそらくだが、誘導もあったに違いない。

 匿名だったり偽装だったり、囃し立てるサクラが居たり焚き付ける担当がいたに違いない。

 あの人は、それくらい手下の物量を使う手段と目的がある。


 …に、したって。

 どうしてこんな盛り上がってんだ。

 まったくついていけない。


 ミカさんの、『どっちの剣に命を賭けるか』が、思ったより刺さっている。

 ギルドなんて、今ある合計で言えば四千かそれ以上、大小含めればあるっていう話だ。

 そのうちの二百が一丸になるって言ったって、たかが知れている。


 ただ…。

 それ全部がギルドの対抗戦に出たいわけではない。

 出るわけでもない。

 そして、あのミカさんの宣言には続きがあって、傭兵団を名乗っている複数のギルドをもう金で買っていて、ほかにも戦士系、高レベルを抱えている有力ギルド複数の名を挙げて、これらがこっちにいると明かしたのだ。


 うち一つは知ってる…。

 あのバニーを要求してこの間殴ったの、強いところのギルドの人なの、知ってるよ…。

 そういう有力なのが付くと、派生になるものも多少くっついてくる。

 そして、商人を多めに抱えているのは、島の恩恵が受けられるから今後もこの陣営に入る可能性がある。

 強みは、クリエイトする島に自分の要望が確実に届くかだけではない。

 ミカさんはじめ、各種生産アイテムを期間内、他に卸さずにこの集まりの中だけに流すという流通の手綱だ。

 大っぴらにはやってないが、高くなる一方のアイテムたちを、この集まりの中でだけ値上がり前の通常価格で流すのはもう既定の条約らしい。

 ミカさんの組合がそもそも流す量減らしたから高くなっているわけだが…。

 まぁ、対人戦で回復アイテムなどの確保量が絶対的な差になりうるのは言うまでもないので、仕方なくはある。


 そこを含め、私の存在を含め…。

 多少は嫌味も言われそうなものだが、実際の現状は違う。

 あっちは悪で、こっちはみんなのための聖剣持ちの陣営だぞと印象付けて、さらにおそらく、多少サクラも使っての結果。

 まぁ見事に正義が我にありを体現したような雰囲気に持って行けているわけだ。


 すげえなこいつら。

 全く私はついていけない。


 祭りらしいが、蚊帳の外としか言えない気分。

 でも、代表なんだよな……前もって言われてないけど。

 もはや罠にはめられてんじゃないかって、そんな状態。


「そんなわけで、本田さん頑張ってくれるねえ?」

「事後承諾していいことと悪い事ってあるでしょう!?」

「……うちら全部のギルド背負ってねって言ったら絶対断るよねえ?」

「当然」


 それを知っていた結果でコレか。

 もはやあの剣を受け取ったのが悪いと言わんばかりである。


「やっぱりうちの嫁はビッグになるって信じてたにゃ↑~!」

「ほんとやめて」

「それでさ本田さん、参加は絶対してもらうとして、狙われやすいのでちょっと今より強くなってほしいんだけど」

「もう、しないという選択肢がねえ…」

「…だって暇だよねえ」

「……暇です……」


 逃げられなくするのだけはうまい!この人!


「今何レベル?」

「98ですね」

「「………え」」


 それは驚くよな。

 復帰したときに初心者だけ買えるっていうからショップで経験値系のポーションをセットで買ったもの。

 いろいろやったんだ。


「…傭兵にキャリーしてもらう手はず整えてたんだけど、これが無駄になるとは思わなかったね…」

「思う通りにならないミカさん珍しいね」


 …というより、初対面呼んで数日地獄めぐりくらいの計画されてたんだ、私。

 何が裏で起きてるのか本当に怖いよ!


「それに、ちょうど初心者期間終わってしまったから、私そんなに無茶できませんよ、もう」

「…そんな期間になったんだね…つまり、夏休み終盤なんだねえ学生も」

「あれ、夏休みに入って始めたって言ってましたっけミカさんに」

「知ってるからには言ってると思うねえ」


 ……記憶に本当にないぞ。


「レベルをどうしてもあげておきたい理由は最上級職になる条件だったからだし、そこの条件が整っているなら、あとは…」

「あとは?」

「どれかの最上級職になってもらうのと、武器防具の鍛錬を今のうちに最高にしてしまうことかねぇ」

「あー…この鎧かぁ」


 そういえば、報酬としてもらったけど、改造までは頼めなかったんだ。

 凄いお金かかるからね。


「それと、そうそう、なんか思い出の品みたいに持ってたショートソードの図面、ちょっと見せてねえ」

「そういえば、売るにも金にならな過ぎて、持ったままでしたよ……むしろよく覚えてましたね」


 ボスドロで最低クラスのが出てショボーンとしてた頃の記憶。

 やめようと思ってた時も、懐に入れたままにしてむしろ大事に抱えてたんだな…。

 何かあるわけでもなく、欲しいならいいよ程度に渡す。


「……やっぱり、あのあたりでボスから出るならと思ったけど…」

「なんです?」

「初期ロット版のショートソード図面だねえこれ」


 なにそれ。


「これには武器改造実装前と後で仕様違いがあってね、図面のこれはNPC売りから撤去された初期ロットと呼ばれたやつでオーブ用スロットが武器類で最大の四つあるんだよ」


 ……ちんぷんかんぷん。


「もし思い入れでもあるなら、下手な盾よりこれに属性防御オーブ全部突っ込んだほうが防御安定する場面もあるくらいでねえ」

「…ちょっと好みの見た目になるかもですね、興味ありますよ」


 両手剣はロマンだよ、なんとは言わずとも。


「じゃあ、うちのギルドの誰かに頼んで作ってもらうかね」

「…ちょっと、それ、やらせてもらえたりしません?」

「えっだれ!?」

「……誰って…本田さん、ずいぶんですねえ」


 その声に振りかえる。


「今日はいるニャねえ↑~」

「あ、マジくんじゃないの、どうしたのよ」

「僕もしばらくスキル上げ頑張りましてね、鍛冶スキル120やっと到達しましたよ、ミカさん、セイノさん」

「スキルマスターついたのかぁ、おめでとうだねえ、うちに欲しくなるよ」


 マジ君最近そんなに見ないとは思ってたよ。


『それと、本田さんのおかげで小石さんと話す機会が増えてまして』

『見ないと思ったら二人っきりで甘々してやがったのかよ!うらやましいやつめ!』


 耳打ちで惚気とはいい身分になったじゃないの。

 あれで仲が気まずくなってなかったのは、正直ちょっと嬉しいが。


「そういうことで、僕でも、満足できる成果を出せる実力はできたはずです…やらせてもらえませんか?」

「そういうことなら」

「仲間の力を借りちゃおっかねえ」

「まかせて!」


 そうして、剣の作成と改造を頼むことに。


「……あれ、その剣って言われてた聖剣では?」

「これいらない?」

「……いえ、触ったことないですけどこれ鍛錬はできないと思う………」


 ああ、そうだよね。


「いや、できるわ」

「ラッキー! 一緒に頼むね」


 伝説の剣、もうちょっと強くできるのか。

 そうして、鍜治場まで移動し、いろいろしてもらい…。


「………あの、これ…」

「どした」

「オーブ用スロット、最大改造で八つ付くんですが…」

「「え!?」」

「無茶苦茶なアイテムがあったもんニャねぇ」


 正式実装せずしまい込んで出す気のないアイテムだったにしろ、本当になんなんだよ、この適当な効果の連続は。

 すごけりゃ喜ぶってわけじゃないんだぞ、世の中。


「……それだけあったらまぁ、理論上の最強くらいにオーブドーピングはできるけど…してみるかね本田さん」

「…初めて聞く言葉ですけど、それも、なんなんすかね」

「つまり、戦闘系ボーナス、各種ステータス増加、防御とスキル付与以外のオーブを装備に着けるのに、どれかは諦めないといけないので配分と理想ってのがあるんだよ」


 なるほど、全部付けられない量があるから、取捨選択か。


「それをガン無視して、あり得るものすべて付けられると……したらどうなるんです?」

「単純に言うとステータス合計が倍近くになる」

「なめてんな!?」

「だからスロット多いものがより高値で取引されるけど、武器は最低でも属性攻撃とダメージ増加が付くので、件のショートソードも意外と高値にはならないわけだね」

「なるほどなるほど」

「そこに過大な余力が出るとなると、理想形の全部の取り付けと相乗ボーナス総取りもできる…」

「でも、それ、お高いんでしょ…すべてそろえるの」

「見てみたいって私のわがままと、我々の旗印の強化だからねえ」

「くれるんですか!?」

「三割引きにはしてあげるねえ」

「値段怖そう!!?」

「まぁまぁ、そういうことならわっちも多少は援助してあげるニャよ」

「…見返りが割に合わなそうだからやだ…」

「電話番号くれたら返す期限指定しないからお得ニャよ↑~」

「一番怖い欲望最初に出してくんな!ケダモノがよお!」

「いい話なのにニャ↑~」

「じゃ、全部一気に仕上げますね…役に立てて、うれしいですよ」

「しかし、本当にマジくんが戦士メインじゃないの知らなかったんだけど……」

「戦士してないときのほうがおおんですけどねぇ…そもそも、スキル経験値は100超えるとベースのレベル低いほうが上がりやすいという噂があって上げないようにしてましたし」


 ……そうか、そういえば二年以上やってレベル30せいぜいってなんで低いのかと思っちゃいたんだ。


「で、検証結果は?」

「デマでした!」


 悪いオチだ。

 しかしまあ、それで決着がついたなら、レベル上げして楽しむ機会もこれから増えることだろう。

 そして、私はそういった応援ありきで金のかかりそうなものをバンバン装備に取り付け…。


「鎧は改造ついでで全身金ぴかにしてやるから期待するようにねえ」

「最低でも白ベースにしてください!」

「つまらん指定だねえ……」

「さすがに全身金の成金みたいなの初心者外れたばかりでやってられるかい!」


 こんな私の希望は無視され、なんかパール調の成金装備にされた。



 最後に、職業だが。

 多少熟練者に手伝ってもらって昇格クエストをこなし、私は晴れて、盾系近接職の最上級職を基本職に据えることとなった。


 ノブレスディエティ。


 高貴なる守護者…とかそんなな意味らしい。

 今回のアップデートで追加されたばかりの、防御の極まったボーナスを持つ職業である。

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