集合、クラスメイト
「いやぁ待ってたよ」
笑顔の本田さん。
心がとても晴れやかなのがうかがえる。
「ぽよぽよが!ぽよぽよがぽよぽよのままだ!」
「…多分全員、アレに外見作られたね…?」
あれから、わりとすぐ通知をもらって待ち合わせをした同級生たち。
二人とも、特徴をとらえた感じでリアルに割と似てる。
あと稀ちゃん限界まで背が小さくて小学生だねえ。
かわいいねえ。
こう見るとケダモノも同じ大きさだった気がする…。
これがキャラメイクの限界って言うことだな、たぶん。
リアルの名前呼びまくるわけにもいかないので、あくまでキャラとして付き合うわけだが、そうなると二人の名前は…。
ぷにろり姫。
NO NAME STAND。
……えっ何て呼ぶのが正しいのこの惨劇!
こわい!
いやまて、むしろ、なんて呼ばれたいかを聞くか…?
「夢さんはこの世界なんてなまえなんですか?」
「うん、まずリアルの名前ばらしていくスタイルだけは流石に避ける約束しようか」
みんなの前でされたら、さすがにたまらない。
「私はまぁ、もう慣れたから本田さんでいいよ」
「すごい街中に居そうな名前ですね!?」
「ぽよぽよでいーじゃん、覚えるのめどいー」
「まぁ稀ちゃんはそれでいいよね」
「あと、チカどこなの? いない!やあだ!」
チカちゃんに関しては、そういえばあれからろくに会ってはいないんだよな。
ゲームの中に関してだけで言うと。
そも、私はモロ、ミカさんの派閥にどっぷりつかっている身なので、ギルド戦の体裁と空気からするとチカちゃんとウロウロしてるの見られて大丈夫か心配なのもあるけど。
それは相手からしてもそうな気がするので。
と、すると、指示だけして出てこない可能性も、高い気がする…。
その場合、稀ちゃんどうしたらいいのだろうか…。
悩む。
「はろーはろー、来たなぁうちらの全員がそろって」
「…その口調!?」
「チカいる! よかったあ!」
「先月ぶりですー」
来てるんかい!
今の悩む時間何だったの!?
それと同時に、いつものギルドの人たちと会うかどうか、どうしようか…。
って!
「オマエ誰だよ!?」
「チカじゃんかぁ、ぽよぽよはいつも反応が遅い!」
「むしろ早すぎたと思う!自己評価としては!」
「まぁわかるよ」
キャラはいるのだが、知らない。
亜人系というのか、明らかに現実世界にいないファンタジックって雰囲気の大人がいる。
『あのキャラの立場的に面倒なのわかるじゃん? いつものに頼んで作ってた別キャラ加入させてもらってるのよ、稀も危ないからねぇ』
『どんだけ用意周到なの…』
そういうことらしい。
いつものギルドに、ログイン頻度少ないメンバーそこそこいると言うのの正体の一人。
チカチカ、という名のそれが、追加で用意したチカちゃんのキャラらしい。
『わかってほしいねえ、あの悪役然としたとこにいて本名バンバン叫ばれそうな恐怖ったら』
『あんたチカの時点で本名かすりしかしない愛称じゃねえか』
『まぁそうですけどね』
割と話にならないものだった。
だがまあ、私個人だけの話にはなったが、好都合だ。
適当に連れまわしても外交的な危険には触れないとわかっただけ。
そうして、詳しさではさすがに上を行くチカちゃんに案内を頼むわけだが。
強い。
意味は分からないがこのふたり、おかしい…。
貧乏貴族と二人じゃやめとこう言ってた沼や海底をさらっと踏破してほとんどアイテムすら使ってない。
いや、使ってはいるんだ、弐乃ちゃん…呼び方に困ったから以降はノネと呼ぶが、彼女がガンナー。
昔聞いた覚えがある、銃弾に尋常じゃない金がかかる。
そこが、結構自由に攻撃しまくるのと、稀ちゃん…以降、心の中以外で姫と呼ぶが、この回復が恐ろしい。
自分の足元を範囲回復するルーチンをしているだけなのだが、回復量の桁が妙に高く実質ダンジョン内に必ず安全地帯があるに等しい。
そしてその外で確実に狩りつくすガンナーにチカちゃんのサブの本職が魔法職なのだが、アースメイジとか言ういつかのエイプリルフールに出来たネタ職らしいのだが…。
迷宮を作るメイズのメイジという駄洒落だったらしいのだが、これ、強いんだわ。
遮る壁を作り、通ろうとする敵にダメージを付与。
安全な場所を作りつつ罠でスリップダメージ与え続けるかぶち倒す。
設置罠同等のダメージ床や毒の落とし穴などもおける。
イベントの後撤去しろよ、こんなひどい職。
シナジーある遠距離職と回復で、いまのところ無敵だよこの編成。
そんな調子で、金効率に目がくらむ勢いで難易度高いダンジョンに行ってもさくさくである。
私も最近はこの剣のおかげで近接の火力担当と回復に寄ってきた敵を即せん滅できる程度にはなった。
「実際、どういうことなのこの強さは…」
「どうって、先輩は先輩なりってだけだが」
「チカちゃんはそうでしょうさ…」
「要するに、私たちも本田さんと似たような感じで誘われてたってことです、3年くらい前の夏に」
「チカあんた…」
「楽しそうだったんだモーン」
即座に納得がいく。
なるほど、そりゃそこそこのレベルなはずだ。
適当に放置してたけど、復帰者のキャンペーンで入って、また今、一回り強いというわけか。
誘われて今からまた初心者育成なのかと思ってたのは私だけか、そうか。
「さて、今日は何時ころまで予定なんすかね」
みんなでやるペースはさっぱりなので、一休みが欲しいところで私が切り出す。
「ぽよぽょは寝ようとしているのか! 軟弱もの!」
「てっきりこんな風に呼んだってことは二徹くらいするからだと思ってましたけど、違うんですか?」
「連邦のバケモノだって寝る時間は存在するんだよバカヤロー…」
本気で言ってんのこいつら。
「チカちゃんはこいつらにどういうプレイスタイルを吹き込んだの…私生活が地獄になる前提のを普通みたいに言った?」
「…んや、わたしのやる時間に一緒にやるように、多少強めにお願いしただけだが」
「…お前は二徹が基準なプレイしてたとでも…」
「してた」
ひっど。
私も結構ハードにやってたはずなんだけど、学校行きながらどうしてそんなゲーム生活できるの。
私が入る前のこの集まり、一体どんな世紀末だったというのだ。
「でも、弾丸多少買い足したい量にはなりましたね」
「さすがにか」
「おわるの?」
「ま、買いに行きましょ」
今まで取ったものを売り払って現金化する時間も欲しい。
ダンジョン複数行き来すると、インベントリもギリギリまで埋まるので纏めるか、どこかに置くかはしたい。
あと、純粋に儲かってるのか気になるよね。
「さて、街にいい売却代行居るといいなあ」
「ひさしふりのジャバの街だぁ」
「シャバですね、あとそんな名前じゃないですよ」
「ま、数年たってるからいろいろ変わってる…さ…」
チカちゃんの言葉が止まる。
街に入ってみたはいいものの。
賑やかじゃない。
いつもの、PCたちが露店を出している商店街にたむろしてるPCたちがいない。
そこには数人の死体が。
あれ?
この光景……似たのを前に見たぞ?




