「もしもVTuberばかりのオンラインゲームがあったら」
「ふらっとはっ!と! ヒヤリでハット!可憐でキュート!異世界クラウンルートラボラトリー学園所属、異世界転生系ライバー、綺羅酉ルクスでっす♪」
「こんキャラ~……今日もなんでこんなに外が明るいの…異世界クラウンルートラボラトリー学園所属、闇の世界の悪魔系ライバー、想射キャラだよぉ」
「こんユーナ♪ 見ユーナ聞ユーナんなことユーナ! 異世界クラウンルートラボラトリー学園所属、KAWAIIケモノ系ライバー、セイノ☆ユーナニャンよぉ↑~」
「……何かの祭りでも始まったんか…?」
「と、いうことで、AHOで初コラボニャ↑~、みんな音声大丈夫かニャ↑~?」
「………あのさ……」
「おやおや、愛しの新妻本田さんは今日も見守ってくれて優しいニャねえ」
「ここでやるな! せめてやるなら人のいないとこでやれ!」
いつものギルドの家の中。
唐突に人が出てきたと思ったら、大声のこの口上。
しかもなんか三連発だったぞ。
「あら、デビュー、確か一昨日でしたわよね、そこの方々」
「貧乏貴族はこれについてけてるのか…」
「まぁ、セイノ様の配信で自分がどう扱われているかは興味ありましたから、その流れで」
「どうもありがとうございます!」
「いーえいーえ」
流れだけで推察すると、やっぱあれだなぁ。
ケダモノのツレだなぁこれ。
「なわけで、完全初心者な初心者用マップだけ済ませた二人をどうこの世界にハマらせるか」
「初心者に不穏な入口と欲望たれ流すのやめろ」
「本田さん、しっかりエスコートしてほしいニャ!」
「あたしかよ!!!」
「お姉さまのとても信頼する方と聞いております!」
「……明るいところ以外なら行くかもぉ」
「…最初で悪いがそのキャラ付けはネトゲで辛いぞ…」
「さすがうちのワイフはアドバイスも的確にゃね」
許可とか打ち合わせしてからやってくれる?
せめてさ…。
バッチリ巻き込もうとしてるけど、私いない可能性絶対あったじゃん。
「アテクシはちょっとハウジングで刈り入れしないといけない時間ですので、一度失礼しまわねえオホホホホ」
「逃げるな卑怯者ぉ!!!」
貧乏貴族、初手いきなりの参加拒否。
流れがよくないな!
『あ、ちなみに片方追加勢のプ〇〇〇〇に内内定しててこれからブレイク確実ニャンで仲良くしてほしいニャ』
「よぉしお前らすぐこのゲーム閉じて全員でコンプライアンス研修しよう、あまりに抜けがあるのが発覚したぞ」
「……お姉さま、この方本当に大丈夫…」
「あー本田さんの言うことは盛り上げだと思って基本スルーでいいニャ、んでたまに褒めてほしいニャ」
「……聞こえてんぞクソケダモノがよお」
耳打ちで中身の話とか当たり前にすんな。
まったくもうさあ。
「あと本当に、当たり前のようにみんなに嫁とか言うの、そこの子本気にしたらどうすんだよ」
「…開始前に嫁がいる時間にコラボするって通知されてた…」
「このゲーム紹介された時には、すでに現地嫁紹介すると言われてましたので」
「…………ケダモノくん?」
「まぁまぁまぁ!!その剣振りかぶらないでほしいニャ!!」
だが、こうしてケダモノに絡み続けて流れに加わっている時点で、逃げられなくなっているのは間違いない。
結局、はじめてのてきとうばつ、はじめてのボス、はじめてのおつかい(サブクエ)を案内する羽目になった。
後から考えると計画的なのでは…と思うが、遊んでいるときはそこまでわからないものである。
特にキャラちゃんのほうが殴ることや死体に嫌悪感を持っていたが、まぁ慣れた。
まだ幾分、私のトラウマもあって人っ気の少なめなところを選んだが、初心者らしいのはこういう反応か…という学びすらあった。
「いやぁ、配信込みなのに騒がれないような場所選びまでしてくれる本田さんは、やっぱり選んでよかったニャねえ」
「たしかに、本田さん、お姉さまのいうくらいの逸材かもしれませんね!」
「むしろこいつの言動に信用度ある扱いなのが微妙に気に入らないと言うか違和感というか…」
褒められるのはいいが、ケダモノへの信頼感はむしろどこから発生しているものか。
「さっきからずっとですが、芸歴17年のお姉さまになんて物言いを!?」
「…ルクス、それ事務所が言ってるだけの宣伝だから嘘って何度も言ってるニャ…」
「そんなことはないです!」
「…ケダモノ、なんか熱量おかしくない?」
「…まぁ、ちょっと苦労もあるニャ…」
誰しも苦労はあるらしい。
「ルクス、わりとお姉さま教信者なとこある…カモ…」
「お姉さまはそんな感情なくてもすごい人なんです!」
「大変ニャ…」
「なんとなく…わかるよ…」
思ったより変なのばっかり集まるライバー事務所らしいのだけわかった。
「あとは泉のボスだけ回って、サブ職のクエストで好きな職何か見てもらって解散くらいの時間で…もういいんじゃない?」
「えぇ~本田さん早く切り上げようとしすぎニャ↑~…わっちらの愛はそんなもんじゃないはずニャ↑~」
「愛はない! というよりも3時間近いんだからこの人数もう支障出る人出るだろう?」
「わたしはお姉さまと一緒ならあと半日行けますが!」
おい。
「…日差しの中でなければ、演技の練習として割とこの環境、スキカモ…」
おいおい。
「残念だけど、私がこの後ミカさんの呼び出しあって用事あるの!三人でやり続けるのは文句言わないからけえれ!けえれ!」
「ゲームの中にいるなら別にいいじゃんニャ↑~」
「あっちの事情もあるだろうしケダモノの用事優先なんてできないんだよ!」
「かなしいニャ↑~」
「ほらほら、ドロップ修正されてボス殴る人ほんと減ってるから、しっかり攻撃よけて殴るんだよ」
「「「はーい!!」」」
本当に、もうテーブルゼロの希望がなくてレア出ないんだなということで、ここでしか落ちないものはあるのに人は減った。
今までは瞬殺だったから、敵の動きが見れるようになったという事実は割と悪くないと個人的には思う。
「あ、今日もラウーゼさんはいるんだねえ、ハローです」
「……おまえか」
「今日ちょっと騒がしいですがいつも通りで頑張りましょ!」
「ああっ!ボスの攻撃で一瞬でキャラちゃんが黒焦げに!」
「蘇生あるからそのままでいるニャよ!」
「あははは死体でパンツ見えてるのにキャラちゃんぶち切れてる!」
「…お前ら本当に仲いい設定なのか?」
「…本当にうるさいな…」
「「失敬!!」」
こんな感じで楽しい雰囲気で世界を回って狩りをして、落ち着いたところでお別れだったのだが。
「打ち合わせにしては思ったより大人数で、驚くんだよねえ」
「…なんか金魚のフンが取れてくれないんすよ今日だけ」
「こんにちわ、本田さんの伴侶でございますニャ!」
「伴侶の追っかけですにゃ!」
「おっかけのとなりにいる金魚です…」
「マジで帰る気ねえな!」
「まぁ、内緒話でないからいいけどねえ…それで、頼みがあってね」
「なんでしょ?」
「実は…」
そうして話を聞き。
全員で移動、着替え、配置につき…。
「ワタシハ ナンデ ココニイルノ」
心が凍っているのを感じる。
なんで私はここにいるの?
なんでみんな、付いてきて着てるの?
で、なんで私、バニー服なの??
「いやいや…やっぱり本田さんは似合うねえ」
「ですよねえ、あれから特別メニューで提供もしてみたんですが、やっぱり受け方が違うんですよ!」
店長、二度と会うことないと思ったよ…しかもこのナイトクラブみたいなバニー喫茶で。
「…ルクス、割とすぐ着るって言ったの意外だった…」
「キャラちゃんこそ、帰るっていうと思ってたな!」
「どっちもすごい似合うから、わっちも楽しいニャねえ↑~!」
「お姉さまが気に入るなら…これでずっと通してもいいですよお!」
「やめて」
なんかさ、流行服みたいになってる空気も、万一なった未来も嫌です、私。
そしてまた、なんでこうなったかの理由について…ですが。
ギルド対抗戦である。
どうも、あの日の客に居たのが満足できないとミカさんのギルドの参加条件にポロっと、あの日の特別コース体験出来たらなあと漏らしたらしい。
しかも一人じゃないとかいう。
それだけなら絶対やっていないのだが…。
ミカさん謹製のアンダーウェアと市場価格2000万くらいするという、欲しかったプレートアーマー最高級品を流してやると交渉に出された。
…金のため、金のため…!
今日だけ全てを忘れてしまえ、ホーンドトール!
てなわけで。
「初手からお尻なで回すようなエモートすんじゃねえジャンピングニー!」
「やっぱりこの生っぽさがないと満足できなかったんだよ!」
「生っぽいっていうなチョークスリーパー!」
こっちとしちゃ悩みどころなんだからなマジで!
「では失礼しまして…ルクスボディプレス!」
「かわいい声のオプションまでついて、店長今日すごいね!」
「……想射ベアハッグ……むにむに…」
「なんか二人の方がノリノリで風俗っぽいニャ…」
「むしろなんでお前がそのなりでバニー着れるんだよケダモノ!」
「これに関してはかなり前から注文してあったニャねえ」
「似合ってますわ最高にかわいいですお姉さま!」
「…あれこの人って……」
「記憶失って顔面見てろニープレス!」
「…あ!そうですね」
騒動知ってたら口に出すのまずいってわかったか。
「そもそもケダモノ趣味なら私要らないだろ…かかと!おとし!」
「やっぱこれ最高かもしれん!」
いや、もう流石にやらんからな!
こんな感じで、四人フルコースで10人近くやったろうか…。
思えば本当に豪華なんだろうな、人によっては…。
その視点だと、私が一番要らない人のはずだけどさ。
「これで兵隊120人近くはとれるねえ、フヘヘヘ…」
「いやぁ、これでみんな楽しんでくれるなら、これ続けてみようかしら?」
「…私も、この衣装好きだから、やぶさかではない…カモ…」
「本人のイメージ的に絶対やめておきなさい」
「本田さん、お堅いニャ↑~」
すべて終わって、なんでこんな幸せって感じの空気なのさ。
お前らのやってること…相当あれだぞ、ナニ。
…自分がやって言うことじゃないけどさ。
その代償として、この人たち狩りより好きなこと見つけたっぽくてあんまり会うことは今後ないかもです。
「だめだこりゃ」
ドリフの流れのイメージをしたつもりだけど誰にも気づかれないパターン。
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