ただいま
「うるっせえんだよ、おまえら!!!」
見知ったギルドの本拠地。
どういうわけかそろっている見知った面々。
一人増えたとたんに鳴り響く怒声。
和やかな空気だ。
「なんか悩み事言ってたようなお子さんと話してるのに、耳打ちぞろぞろきて画面埋まってんよ!」
「たいへんだったねえ」
「ここに来たのにまだ耳打ちの画面増えてて消しても残るんだけど、マジ何してんの!?」
「いやぁ、ギルド戦とかいろいろあって復帰組が増えてるんで、知ってる名前に『復帰おめ』って言うのが今流行ってるんだってさ」
「にしたって私にそんなに知り合いいたかね!?」
「寂しいこといっるニャね……」
小石、貧乏貴族、ケダモノ、マジくん、ねーさん、シャウベル、しらねえメガネ。
よく集めたなってレベルでなんているんだ。
しらねえメガネ?
「初めましてですね、このギルドと会計と回復担当、ケイ・シシンツと申します」
「こりゃご丁寧に」
回復って小石ちゃんでは…違うの?
そういえばギルド何人かあんまログインしない人がいると言ってた気がする…。
それか。
「…初めての人がいるところなんだけど、まぁ…それはそれとして、気にしないで、言いたいことは言わせてもらうぞ」
「ちょっと間が空いてノリが変わるかと思ったら、本田さんはそのまんまなんだねぇ…」
「毎日どうやってたかは忘れてたよ…それ以前の問題なんだよ!」
「……この方は、こういう芸風が日常の人なんですか?」
「そーね」
「ほんとすいませんね」
なんでか謝る羽目になる。
許し難い状況もあるけど、なんやかんや、テンション上げないとこっちも不安なんすよ。
「で、ケダモノ!」
「おっ!」
待ってましたみたいな顔をするな。
「だぁーれーが、オマエと結婚したんだあ!?」
絶対言わないといけないことがある。
「みゃー↑~、わっちお色直しは三回くらいしたいニャー↑~、本田さんは和装と洋装どっち派ニャ?」
「私は断然洋式かなぁ…って、ちがう!」
「ほうほう」
「方々にワイフがいるとか言いまくってる様子なの知ってるぞ! いつからだ! いつからなんだ!」
「そりゃ、告白されたしにゃ↑~!」
「それがいつだよ!?」
「…あれは去年のあの桜咲く中庭のひととき…」
「いねえよ!去年は確実にいねえよ!」
いかん、こいつは弄って骨までしゃぶる気だ。
「……と、そういえば…それをむしろ知ってると言うことは、本田さん……外の方、もしかして…見たニャ?」
「そこだけ不安そうに言うなよ!?」
そういえば外の、というか中の人関係であったんだっけ、ケダモノもいろいろと。
「テーブルゼロのまとめ見るまでに何個かサイトめぐって色々見たけど、見たからって別にそれで偉い扱いはしないぞ」
「…しない?」
「ケダモノはケダモノ扱いしかしてやんねえから、ちゃんと勘違いばらまいてるのは謝れと言ってんだろうがあ?」
秒単位だが、空気がちょっと静止した。
なんだろうか。
そんなにも悪いことを言ったのかい?
「…やっぱり…」
「素直になったか?」
「やっぱりわっちの伴侶は本田さんに決まってるニャねぇ↑~!!」
「言うことそうじゃねえだろ!」
聞いちゃいねえ!
「少しだけ、いきなり敬語になったりしたらどうするか心配したニャねえ? しないニャねえ↑~!?」
「なんでケダモノに敬語なのよ、私だよ?」
「そうしてくれる心がもう、もうマイワイフにふさわしい器量としか言えないニャ!いつ式あげるう?なんでもいいからもう抱いて!」
「なんか漏れ出してる!違うの漏れ出してるよケダモノのえらい何かが!」
中身がばれたのがこの集まりでも何か影響出てたのかな?
とにかく、変わらないというのが嬉しいという反応なのは理解した。
だからって私に寄る理由なくない?
「あんまり極端に調子乗ると、いい加減ぶった切るぞおまえこのケダモノ…」
「えっ待った本田さんそれ!?」
エモートで振りかぶる脅しをやってみたのだが、小石ちゃんがすかさず反応する。
そうだ、持つだけ持ってたんだよねアレ。
「あの小屋で自警団が持ってったんじゃ…」
「なんか返された」
「そんな邪魔な食器みたいなこと言われるの…神様からもらったってやつ」
「うちらで活用しきれないだろ、どっちにしたって」
「それは考え方次第で変わることはあります」
不意に、メガネの人が口をはさんできた。
これの活用法でもあるのだろうか。
「持っているだけけで意味はあります、しっかり管理してくださいますよう」
「なんならメガネさんが管理してくれてもいいんだが…いる?」
「なんで押し付けようとするんです!?」
「浮気ニャ!?わっちに一番に来ないで他の女にプレゼントして気を引くなんてひどい本田さんにゃ!!」
「なんでケダモノと結婚した後みたいになってんだよだから!」
「なんでもいいから帰宅記念でなんかくれニャー↑~!」
「やらん!牛の骨投げてやるくらいをありがたがってしゃぶってろケダモノ!」
「それで十分だからくれニャ↑~!!」
「見境ねえなぁ!?」
騒がしい。
羽目を外しすぎなくらい騒がしい。
ただ、本田さんがいない間を本田さんが知るはずがない。
どのくらい、居てほしい空気だったかも当然しらない。
間違いなくその反動なのだと思われる。
つまり、楽しんでいるのだ。
「そうだ、これ配信してるんじゃないだろうねケダモノ!?」
とても重要なことに今更気づく。
ずいぶん経ったぞ。
「いやいや今日はオフレコニャよ↑~」
「よかった」
「ゲリラしとけばよかったにゃ、楽しい空気ニャ↑~」
「やめとけ」
もはやキャラ崩れてるから。
「ちなみにオフレコだから言うけど、あとで仕事用スマホの通話アプリのほうのアドレス送るから返してほしいにゃよ」
「……すっげえ生々しいほうに踏み込んでくるのやめない? とりあえずお断りだから」
「もう、こんなに仲良くなったのにつれないニャねぇ本田さん」
もうどこまで本気なんだか。
「でも、たっぷり遊んでくれたおかげで十分間に合ったね」
「ああ、そうか…ほかの二人いるもの、飛空さんはいるわねぇ、そりゃ」
なんでいるかわからなかった三人組だが、ぱっと見そういえば二人しかいなかった。
いろいろ聞いたほうがいいのか、どうなのか。
「と、いうことでね」
地面に何かしらばらまく飛空さんを眺める。
「「「おかえり!!!」」」
みんなが同時に言うと同時に、花火が上がる。
室内ですが!?
一人いないのは私が来たのが急だったからこれ作りに今行ってたからか…?
というか近い!まぶしい!花火が!
室内だから!
……でも。
「ありがと」
嬉しかった。




