ゲイズ・オブ・ロードス
トラウマえぐられたダメージはある。
きっと、このゲームをしている限り、残っているだろう。
すごいと言われた称号も、出すこと自体が今やむなしい。
…が、だからと言って、やることが他に思いつくかと言えば、それもなし。
やることを変えて気分転換になるかと思えば、そうでもなし。
そんななので、本日もレア探しの旅。
今日はレア収集家とうわさに聞いた、ねーさんを呼んでいます。
どうしてか。
このテンションでダル絡みできる人材が欲しかったのと、レア集めが趣味ならボス情報も詳しいと見たからだ。
先日のガンナー君に会ったとき、全体的な出現のタイミングが知らない周期でもっとたくさん出ているのではと疑わしかったのもある。
ねーさんに聞くと確かに、一日四体ほどの頻度でコンスタントに各地で出ているようだ。
他にボスの資格証を手に入れることで独自マップの呼び出し式ボスがいて、こっちのほうが今の主流らしいが、極めて難易度が高いらしくパス。
知ってる限りのフィールドボス巡りをしていく流れに。
なお、ねーさんだけなのは何故かだが。
たまたまログインチェックしたら居たのと、「たすけてネクロん」と唱えたら秒で来た。
いい呪文を手に入れたものである。
「……その仮装で…やってるんだ」
「道中で布も取ってたりすると、面倒で」
もはや難しいこと考えてられなくて、借りもののスク水がデフォ衣装と化した本田さん。
すまないな本田さん。
多少人が集まるところで晒されるのはよくないが、スク水の魅力をみんなに広めていてってくれ。
「……次は一時間後に坑道の中にでるやつだね」
「ありがとうネクロん、いろんなのを知れて楽しいよわたしゃ」
「それだけマジ許して、二度と言わないで」
珍しくスピード回答。
そんなにきついんか。
「………今までいいの取れてる?」
あ、話題替えに来た。
あまり必要なこと以外話さないと聞くが、タイマンだとそこそこは反応してくれるものだ。
知識はあるし、ダルくこう突っついてもやんわりだし、今の私には実に好ましいパートナーである。
「図面がショートソードとはねぼうしと爪ガントレットくらいと、イヤリングが能力+3くらいの何個か出たくらい…かな」
「今日だけ?」
「今までの累計」
「………しぶいね」
「やはりそう思われますか」
プロから見てもレア運がない。
それを証明されてしまったか。
「ねーさんがまだ持ってなくてそこそこ手に入るものって、何かあるんです?」
「あー…」
しばし待機。
「ニードルクイーンのグランデティアラとか……そこそこ出そうで高すぎて、買えないかな」
「そういえばそれはこの間やったなぁ」
「MVP限定だから、市場に出にくいのはわかるんだけど」
「…あ、そういう…」
例の、一人で狩りまくってるんじゃないかというヤツね。
そこ、深く話題にするの、やめよっか。
今日二体ほどすでにボスに触っているけど、当然いたし彼。
話題が暗くなるのは避けていこう。
でも行くのは坑道。
…マップの話だけでも暗そうだな。
坑道の明るい話…なんだろ。
そういえば他の二人のねーさんから見たエピソードみたいのも聞きたいと思ってたっけ。
思うより会話のネタはあるよな。
「……そろそろいこうか」
「おっけー」
そう思う無言の時間が、思うより相手にとって長かったらしい。
そのストックを使い切る前に次の狩りになるのは、まぁ……いいものとして考えよう。
それじゃ、現地にいって作業といきますか。
坑道。
ここはどちらかというと採取のPCが多いダンジョン。
生産職に必須なものはいろいろあるが、敵はどれも同じようなものしか落とさず、細道ばかりで一気に敵を集めて効率的に狩るということとも縁がない。
経験値稼ぎにも向かずドロップに期待もできない。
ただ、採取で出る宝石は、レアでたくさん出たなら稼ぎで少しうれしい。
そんな場所。
地の底なので出現が少し遠くの山から見えたりもしないせいなのか、人もそれほど。
といったことで今殴っているのが、岩でできた触手。
アンノウンクリーピング…本当になんなんだろうね、これ。
例のごとく、攻撃の怖さすらよくわからずすさまじい勢いで溶けていくボス。
まぁ適当に殴ってレアが出るのを願いましょうと、ねーさんとふたり。
あっという間にボスは消え、暗くなる。
敵がいないと真っ暗になるのか、ここのダンジョンって。
と、思ったら動かない。
おや?
フリーズしまして?
ドロップ確認したいのに…。
いかなるときも、いかなるときも
光は夜明けに差し込まれん
闇を前に打ちひしがれしものに光は
必ず訪れるものなり
汝は光を宿し、光を望み、光を手にし
闇を、恐れを、あらゆる脅威を
打ち砕かねばならぬもの
人にはその力がある
わたくしは、それにわずかに力を貸すもの
汝はそれを示すものとして
えらばれたのです
手に取りなさい、そしてその名を呼びなさい
あなたの力
ゲイズ・オブ・ロードス
「んあ?」
ムービー?
何かわからないが女性が出てくる映像が暗いところから出てきたが。
それで、そいつが剣のような何かをすっと差し出すようにしたのは見えた。
神殿のようなところで出てきたら映えるだろうな、映像として…。
そんな程度だったのだが。
それが終わったのか、普通に行動が見えるようになった時、耳打ちの画面が開いているのに気づく。
『にげて』
『にげてすぐにげて』
ねーさんからだ。
見ると、暗い間に誰か私を殴ってる人がいる。
………えーと、状況を推論…。
殴られてる…奪おうとしている?
そんで今の…。
あ。
ドロップでまさか、伝説のそういうの、手に入れてる!?私!?




