47.真偽を確かめよう
【スキル"洗脳・解"がコピーできます。コピーしますか?】
【スキル"魔法陣生成"がコピーできます。コピーしますか?】
【現在コピー中のスキルは”身体回復・解”+"魔力耐性・解"(残りコピー可能スキル1つ)】
えぇ!?これは仮面男のスキルを読み込んだって事!?
あと1つコピーできるって書いてるけど……。
……でも今はそんな事言っている余裕なんてないかもしれない。
なにせ肉体は回復したとはいえ、魔力自体は回復しているワケではないのだ。
身体回復と魔力耐性をコピーした時の感覚からすると、コピースキルでも魔力を消費する感じがする。
おそらくスキルを増やせば増やすほど、消費する魔力も大きくなっていくみたいだ。
スキルを増やしすぎてぶっ倒れるなんて笑えないだろ!?
ましてや俺の愛刀・百雷鳴々も粉々に砕けているのだ。
落ち着け、このチャンスを無駄にするな。
俺が大ピンチな事に変わりはないんだ……!
「なぜ生きているのです、サン・ベネット!?!?まさかさっきのは分身……!?」
「いや、紛れもない俺自身だったよ。でもなんか俺、生きてるみたいだね。物語の主人公っぽく新しいスキルが産まれたかもしれない」
「……は、はぁ?何を言っているのですか……。あなたは既に【魔力感知】と【重量知覚軽減】を持っている事はギルドから聞いています。そしてこの世界において、3つ以上のスキルを持つ人間など歴史上1人としていないのですよ!!
ここにいるアテラや、魔王様など、特別な魔物にしか与えらえれない領域なのですよ!?」
「ホントに!?じゃあ俺が人類初って事だ!教科書に載れるかな……」
「そ、そんなハズが…………!」
仮面男は唖然としている。
だがそれも仕方ない。俺だって人間はスキルを3つ以上得られない前例を知っていたからな。
でもそれより気になったのは……
コイツ、魔王の事を”様付け”してやがったな。
益々きな臭くなってきた。
この明らかに悪魔族としか考えられない男、国王に仕える神衛の4傑って自称してたけど、悪魔族だったとしたら本当に大スクープだぞ?
……コレは絶対に負けられない理由が増えちまったな。
「クソ、もういい!!真偽がどうであろうとアナタを全力で殺す事に変わりはありませんっ!燃え尽きなさい、【ヘル・フレイムッッ】!!!」
あっ、来た!仮面男の魔力を使った技だ!
悪魔族の真偽は一旦置いておいて、まずは目の前の戦いに集中しないとな。
この攻撃を食らうのは少し怖いが、俺が本当に3つ目のスキルを開眼したかどうかを確かめる最大のチャンスなのだ。
身を丸め、出来るだけ防御の姿勢を取った俺。
そしてとうとう仮面男の火属性魔法に包まれてしまった俺は……。
「熱い熱……、いや、そこまで熱くないぞ……!?」
どうやら賭けに成功したようだ!
少しだけダメージは食らってしまったようだが、そのダメージもコピースキルによってスグに回復している。
つまりコレは……3つ目のスキルを手に入れたのは本当ってコト!?
マジで”身体回復”と”魔力耐性”が同時に作動してるって事だよね……!
やはり俺の3つ目のスキル・魔眼【複製】は、紛れもない本物だっ!!
「効いていない……だと?ウソです、そんな事があるワケがない!人間が3つ以上のスキルを持つなど、、落ち着け、一体何が起こっているのだ……」
先ほどよりも、さらに驚いた様子の仮面男。
その動揺振りは明らかにこれまでの戦いの中では無かった焦り方である。
俺が本当に新たなスキルを手に入れてしまったという事は、ヤツにとってはかなり衝撃的だったようだ。
ならこの瞬間を逃す手はないッッ!
決めるぞサン・ベネット、ここが本当の最終局面だっ!!
まずはこの百雷鳴々でアテラの首を……
「……あっ、百雷鳴々折れてたんだった」
そして同時に気付いてしまう。
もう俺の魔力は底をつく寸前だという事に……。