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44.トドメの一撃!?


終典(しゅうてん)百雷(ひゃくらい)(あわれ)ミ】



 これは俺が戦いの中で使う、最初で最後の必殺技だ。


 本来であれば俺の愛刀・百雷鳴々(ひゃくらいめいめい)に魔力を流し込んで雷を生み出した後は、それを電撃にして放ったり、俺の体外に(まと)わせて高速の戦闘を行なっていた。


 だが【終典(しゅうてん)百雷(ひゃくらい)(あわれ)ミ】は、そんな他の技とは全くの別物。

 この技の真髄(しんずい)は、俺自身を雷と同質に変えてしまう事だ。



 本来ならば刀に流して生成した雷を、今度は逆に体内へと流し込んで魔力と同化させていく。

 すると俺の身体中を”血液のように流れている魔力"が雷へと変質していき、最終的には俺の身体が雷に近い状態になるのだ。



 この状態でいられる時間、実に15秒。

 これを超えると、俺は確実に死に至る。


 しかも魔力を大幅に消費してしまうので、仮に15秒以内に解除してもその後はマトモに歩く事すら出来なくなってしまう副作用の大きい技だ。


 だが言い方を変えれば、俺は15秒間ほぼ無敵の状態へと入る事ができる。

 絶対にココで勝負を終わらせると決めた時にしか使わない、故に最初で最後の必殺技なのだ……!



「光の刃で切り裂く。これで終わりだ……剣竜アテラ!」



 俺は百雷鳴々を居合切(いあいぎ)りの構えで持ち、そして光に近い速さでアテラの首元へと走り出す。

 もはやアテラと仮面男は俺が斬りかかろうとしている事にすら気付かない、ただ俺だけが動いている一瞬の世界。


 自分以外の全てが静止画になり、まるでこの世界に1人だと錯覚してしまうほどの孤独の刹那(せつな)だ。


 そして光のように発光した俺がアテラの首元に辿り着くと、そこには集中攻撃によって(もろ)くなった3枚のウロコが目に入った。



(あそこだ……!)



 俺は思考するよりも先に、ウロコの方へと百雷鳴々の刃を向ける。

 この速度のまま、誰にも気付かれないまま、俺はとうとうアテラの首のウロコに刃を置いたのだ。


 そして……。



(よし、切れるッッ!)



 ここまで俺の攻撃を弾き続けてきたアテラのウロコだったが、とうとう最後の一撃で刃が通っていた!

 徐々に首へと入っていく百雷鳴々は、ウロコから首筋の肉、そして血管を通って真ん中の骨へとドンドン向かっていく。


 良かった。本当によかった。

 長い戦いだったが、これでようやく終わりを迎える。


 剣竜アテラを討伐したとなると、また俺の名前は全国へと知れ渡っていくだろう。

 いや、それよりもまず何でコイツらは俺を襲ってきたのかをハッキリさせないとな。


 本来なら封印されているはずの神の守護竜がココにいる事自体おかしいのだから。



 ………アレ?待ってくれ。何だこの感覚は?


 なんで頭の中で冷静に戦いを振り返っている俺がいるんだ?


 まだ俺の刀は、目の前のアテラの首の中央に向かって進み続けているのに、俺は光に近い速さで進み続けているのに、どうしてこんなに思考を繰り返しているんだ……?



 違う、コレは冷静とかじゃない。

 もっと根源的な、俺が#死を直前にした時__・__#に発揮される最大の集中力だ。


 死を直前にした時。それはきっと今、目の前で起こっている光景の事を言うのだろう……。



 ────目の前の百雷鳴々の刀身(とうしん)にヒビが入り、今まさに砕けようとしている光景の事だ。



【バキィィインンン!!!!!】



 雷を()き散らして砕けた俺の百雷鳴々は、惜しくもアテラの首の3分の1ほどまでしか切れていなかった。

 そして気付けば俺の手には、刀身の砕け散った無惨な百雷鳴々が握られている。



「…………は?」



 砕けた刀を見つめて呆然(ぼうぜん)とする俺。

 だがとうとう異変に気付いたアテラは、”尻尾の聖剣”を大きく振りかぶり、そして間髪入れずに俺へと切り掛かる。


 さすがは神の剣竜と呼ばれるだけはある、状況を理解するよりも先に、本能で俺に切り掛かっているようだった。



【シュバァアアアン!!!!】



 その一撃はとても重く、されど美しく、俺の左肩から右腰にかけて大量の血の花を咲かせていた。



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