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異世界人の力とりんご丸の陰謀

 と、いうわけなのに、なんで僕とエリーナは刑事さんたちと別行動するの?


 エリーナは何故か刑事さんたちに「私たちはあの黒い人の後ろに回って攻撃するから! あなたたちはここから、なるべく建物とかに隠れてその豆鉄ぽ……攻撃しててね! 」と言ってまるで警察を突き放しているようだった。


 刑事さんも刑事さんで、その作戦に何の疑問も持たずに、「了解した! 無理はするなよ」みたいな感じであっさり従った。


 警察ってこんな緩いの?


「エリーナ……それで、結局、ぼくたちは何するの? わざわざ警察の人たちと離れて」


 僕は、少し体を震わせながら言った。刑事さんと別行動になってすごく怖いという感情と、なんで戦うことになってんだろ、という恐怖。


 ちなみに、僕たちは今あの「黒い軍隊」の人の後ろの方にいる。彼が屋上に立ってる四階建てくらいの建物の裏に回ったところ。あっちは気づいてるのか分からないけど、刑事さんたちが鉄砲で攻撃してるから、注意をそらすことには成功してるのかな?


 エリーナ?


「あの、エリーナさん? 」


 彼女は、またどこから持ってきたのか分からない黒いカバンをあさっていた。いや、マジであれ何?


「……あの警察とかいう人たちじゃ何もできない。見てたらわかるでしょ? 」


「まあ、うん」


「それにあの人たちは善良な人たち。そんな人たちを死なせるわけにはいかない。絶対に……だから、一旦この戦いからは引いてもらったの! 」


 エリーナは微笑んでこう言った。


 うーん、わかるけど、別に警察の人たち、多分今も全く効いてない銃弾を撃ちまくって戦ってる気まんまんだろうし……


 そしたら僕は、何故戦うことになっているんですかね?


「ゆうきは特別な存在だから。私と付き合ってくれるんでしょ? だったら、これくらいのことしてくれなきゃ! 」


 うん、脳内でつぶやいたことに反応してくるのさすがにもう慣れたな。


 え? ってことは、エリーナと付き合ったら、僕死ぬ可能性あるってこと?


 

 僕は真っ青な顔して、エリーナの方をみつめた。多分、僕今救いを求める釣られた魚みたいな目してると思う。


 すると、それを見たエリーナもなんか突然焦ったような表情をしてきて


「え? 付き合って、くれるよね? ね? ダメなの? なんで? 」


 と涙を流しながら言ってきた。


 なんで??


「約束したじゃん! アンデルの生まれ変わりとして、私に一生仕えてくれるって! 私の面倒、死ぬまで見てくれるって! 」


 エリーナは僕の体を物凄く強く揺らしながらこう言ってきた。


 やばい、肩の骨砕けますって……


 というか、エリーナ様がおっしゃってるのって付き合うというかただの下僕じゃね? 



 こんな風に戦う前から暴れていると、当然のことながら建物の屋上で警察の銃弾に応戦していた「黒の軍隊」の人がさすがに後ろの僕たちに気づいた。建物の下にいる僕らをギロッと見下すように見つめる。


 あ、まずい。


「あは! ばれちゃった! 」


「そりゃ、そりゃ、バレるってええええええええ! 」


 ――ドーン!! ――


 建物の上から、「黒の軍隊」の人が勢いよく降りてきた。すると彼が足をつけたところにはクレーターが出来上がり、僕は、ここで終わる、そう思った。


 黒い鎧、鋭く、切れ味が物凄くよさそうな鉄の剣。こんなの、僕が戦えるわけな――


「はい。これ持って? 」


「ほえ? 」


 絶望し切った表情の僕に、エリーナは突然僕の力でも一発で折れてしまいそうなボロボロの枝を渡してきた。


 何? お守り?


「これは? 」


「大丈夫! 使ってみればわかるから~」


「そんな急に言われても、使えるわけないでしょ!! 」


 と僕が叫んだところで、「黒の軍隊」の人が物凄く熱そうな火球を手のひらから放ってきた。この一瞬、僕はマジで死んだと思ったけれど、なんとかエリーナがバリアー? で攻撃を防いでくれたから、なんとか生きることができた。


「遺書! 遺書書く時間をください! お願いします! 」


 僕は涙目で、こう訴えた。もう思考なんか停止してる。だって、人生で初めてこんなわかりやすい命の危機を感じているんだもん!


 あ、二度目かな。


 で、こんな感じで救いを求めるようにエリーナを見つめていると、また「黒の軍隊」の人が火球を放とうとしてきた。やばい! もう次はない!


 そう思うと、今度はエリーナが突然意味深なジェスチャーみたいなのをしてきた。


 右手をクロスを描くような感じで振り回して「こう、こう! 」と言っている。


 なんだよそれ! なんだそれ!


 と、そうこうしているうちに火球が放たれてた!


 まずい! 死ぬ!


 

 って思って、僕はとっさに、ボロボロの変な枝を持っている右手をエリーナと同じように振り回した。一生懸命に、「こう、こう! 」と叫びながら。


 すると、なんか僕の目の前に青い魔法陣が現れて、回りだした!


 え? なんだ? と思っていると、その魔法陣は光りだして――



 ――バコーン!!! ――


 ……なんと火球をかき消すほどの炎が出てきて、そのまま「黒の軍隊」の人を近くにあった建物と一緒に焼き払っちゃった……



「やるじゃん! 」


 エリーナはそれを見て、満足そうにこう言っていた。




 ドラゴンも「黒の軍隊」の人も消えて、あたりは突然静かになった。まだ炎は上がってるけど、遠くから消防車のサイレンが聞こえて、多分、これから消化されるんだと思う。


 うん、よかった。


 一方僕の方は過去一体力を奪われたような気がして、くたくたになっていた。


 僕はなんかねぎらってもらいたいなあ、という感じで、エリーナを振り返った。


 そしたら、エリーナは何故かどこか一点を見つめていて、全く動いてない。


 なんだろう? と思って、僕は彼女と同じ方向をみてみた。そしたら――


「あれ? りんご丸? 」


 彼女の眼の方向には、なんとあのりんご丸が静かに立っていた。かと思ったら、急に彼はどこかに歩き始めて、エリーナもそれを追うように走っていった。


 もう、なんなの?


 でも一人になるのは怖いから、仕方なく、僕も彼らを追って走っていった……


 


 


 


 


 

読んでいただきありがとうございます。

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