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お嬢様の過去

 あっという間にうちに着いた。正確には僕の家の庭。なんで玄関前に降りてくれなかったのかは知らないけど、ま、楽できたしいっか……


 いや、よくない。なんで空飛べんの?どうして僕の家がここだって分かったの?


 不信感満載の顔で、僕は空を見上げて突っ立ているエリーナお嬢様を見つめた。彼女は夕方に比べて、夜になるとなんか、すごく大人しくなった気がする。


 でも、一番驚いているのは、僕が、彼女を見ている間、何故かずっとドキドキしていたこと。さっき抱き着かれたってのもあるかもだけど、会ったばかりの、変な女の子なのに、なんで。


「どうしたの? 」


 さすがに、ずっと見つめてると気づくよね。エリーナお嬢様は笑顔で僕を振り向いてこう言った。


「さあ、お城に帰ろ? 」


 そして、優しく右手を差し伸べてくる。……お城じゃなくて普通の一戸建て住宅なんだけど……


 僕はちょっと顕著しながらその手を握って、体を起こした。この女の子、本気で僕の家に泊まるつもりなのかな。


 そう僕が質問しようとすると、彼女はさっと向きを変えて、僕の家の玄関のほうに歩いて行った。僕もとにかく、家に帰るために庭から家の扉の前へと移動する。



「ほ、本当に入るの? 」


 家の扉の鍵を開けると、エリーナお嬢様は即座にそのまま家の中に「お邪魔しま~す! 」と言って入っていった。それからしばらくいろいろ物色してはしゃぎまわっていた。あれ、なんかやらかしそうなんだけど……


 ――パリ―ン!! ――


「何これ! 」


 ほらいわんこっちゃない!



 これ以上被害を増やさないために、僕は彼女を二階のお父さんの部屋まで連れて行った。お父さんの部屋だったら多分、なんも貴重なものはないでしょ。実際、狭い部屋の中には小さな机以外にはほぼ何も置かれてないし。


「ゆうき君のお城、小さいね」


 と、また遠慮もなくエリーナお嬢様がなんか言ってきてる。


「うーん、アンデルの生まれ変わりのはずなのに、なんでなんだろ」


「あの、さっきから何回か出てきてるけど、アンデルって、いったい」


「あれ? ゆうき君に話しててなかったっけ? 」


 (全く話してないよ)


「……聞きたい? 」


 いきなり体を近づけてきて、首をかしげながらエリーナお嬢様が言った。ちょっと僕の顔が赤くなると、彼女はウインクをして、「うんうん! 」とうなずいた。


 え? 僕、遊ばれてる??


 と思った瞬間、エリーナお嬢様は僕とおでこをくっつけてきて、両目を閉じた。またあたふたする僕に、彼女は小さく「ほら、ゆうき君も」とささやいてきた。


「え~」情けない声で困惑しながらも、僕は一旦彼女に従って、目をつむってみた。


 すると、突如として僕は白くてまぶしい光に包まれた! 


 あたりにも光は広がっていって、気が付くと……




 僕は、全く違う世界に立っていた――




「こ、ここは? 」


 さっきまでお父さんの部屋にいたのに、急に風景が変って、僕はキョロキョロあたりを見渡した。周りには炎があがっていて、人々の悲鳴があちこちで響き渡っている。


 建物が倒壊していて、がれきの山がいくつも出来上がっている。


 マジで、僕、どうなっちゃったんだ?


「ここは、私が住んでいた世界。その記憶」


 後ろから声が聞こえてきて、振り返ると、そこにはエリーナお嬢様が崩壊する街を見ながら立っていた。なんだか、悲しそうな顔をしている。


 エリーナお嬢様が住んでいた世界……


 なんだか、僕が住んでいる世界と全然違うな。建物や、逃げ惑う人々が着ている服は、中世ヨーロッパ風で、たしかにここに住んでいたなら、エリーナお嬢様の白いドレスも決してコスプレではなく、普段着だったんだろうと思える。


 けど、なんでこんな大惨事になっているんだろう。


 そう思ってまた街を見渡してみると、もっと遠くに、二つの旗が見えた。白い旗と、黒い旗?


「あれは」


「行ってみる? 」


「え? 危なくないの? 」


「大丈夫。これ全部、私の記憶だから。ゆうき君に分かりやすく説明するなら……バーチャル空間みたいなもの」


(そんな言葉知ってるんだ……)


 というエリーナお嬢様の一声で、僕たちは旗が見える方に行ってみることにした。



 けど、後悔しました。


 そこでは、さっきの建物の倒壊とか、そんなのが可愛く見えるくらいの、激しい戦闘が繰り広げられていた。白い鎧で身を固めた軍隊と、黒い鎧を身にまとっている軍隊が、剣での切りあい、あと、魔法? みたいなのでお互い殺しあっている。


 その中にはドラゴンみたいな生物もいた。


「なに、これ」


「私たちの王国に、突然、黒い軍隊が攻め込んできたの。一体、なんのためかはわかんない」


 エリーナお嬢様は、下を向いてぼそっとつぶやいた。


 僕がもう一度その戦いに目を向けると、さらに戦闘は激化していて、多くの兵士たちが無残な姿で倒されていた。


「ひどい……ん? 」


 その中で、僕は、特に激しく、速い動きで敵を次々と倒していく白い戦士を見つけた。あれ? なんか、見たことあるような。銀色の髪、イケメンな顔……


「あ! りんご丸! 」


「違うよ」


「え? 」


「あの人はアンデル。破壊の戦士と、多くの戦場で恐れられていた人」


 ……アンデル、あれが……


 ……なんか、本当にりんご丸と顔一緒じゃん……


「そして、ゆうき君の、前世」


「え? 」




 


 


 


 


 


 

 


 

読んでいただきありがとうございます。

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