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さなの訪れ

 どうしてこうなった?


 僕はあの「黒の軍隊」の人とテレパシー使ってきた男子に捕まったあと、何故か一緒に公園に行くことになった。小さな子供たちが楽しそうに遊んでいる場所で、僕はいつ殺されるかをずっと恐怖しているという場違い感。


「大丈夫だよ。そんな震えなくても」


「は、はいいい!! 」


 テレパシーの男子が微笑んで励ましてきたから、僕は緊張した感じでこう答えた。


 というか、このテレパシーの男子、クラスで見たことあるなあと思ったら、案の定同じクラスの人だったらしい。名前は青泉せんと。


 すご。主人公みたいな名前だあ!!


 ……一応、今日エリーナ転校してきたとき、みんなが彼女の席を囲む中、全く興味なさそうに座っていた三人。(あ、僕は別に座ってたけど、興味ないわけじゃないからはぶくよ)


 りんご丸、さな、そしてもうひとりの男子、がせんと、なんだって。


 それがなんで……「黒い軍隊」の人と一緒にいて、しかもそれを友達と呼んでるわけ?


 そう思って、僕が彼の方を振り向いた。


「……」


「ん? あ、もしかして、君も砂食べる??? 」


「……いや」


 なんで「黒の軍隊」の人はおいしそうに公園の砂食べてんの?


 そしてそれを僕におすすめしないでよ。


「ゆうきさん、この公園の砂は最高です! 私がいた世界で食した砂とは全く違う。どの砂にも多分な栄養素が含まれており、特に――」


 あ、君しゃべるんだ……


 なんかロボットみたいな声だね。


 てか砂の成分の話とかしないで。わからないし、知りたくもないから。


「えっと、それよりも、せんと、君たちはどうして一緒に……」


「わかるなあ。この公園のざらざら感! しつこくない味で、なんか口の中に入ったとたんに一気にのどまで下っていくようななめらかさと」


 え?


「そうです! そうなんです! しかも粒はしっかりとそろえられており、でこぼこしていませんから、まったく手が止まらず」


 ちょ、ちょ!


「さあ、ゆうき君も、この感動を味わおう?? 」


 そう言って、せんとと「黒の軍隊」の人が悪意のない表情で僕の近づいてきた。大量の砂を両手に集めて。待って、この人たちどさくさに紛れて僕の事殺そうとしてる??


 やばい、その笑顔やめろおお!


『さあ、さあ、さあ、さあ!! 」



「ぎゃ、ぎゃあああああああ!!!! 」




 公園の端っこにぽつんと置いてある水道、僕はここでちょっと汚れてしまった口を丁寧に洗っていた。危なかった……


 なんとか口に流し込まれる前に、たまたま近くを通りかかった子供たちが「おにいちゃんたち、何してるの? 」と心配そうにみてきたので、彼らの猛攻は抑えられた。


 で、今はその子供たちは「黒の軍隊」の人と遊んでて、せんとは僕の隣で立っていた。


「ゆうき君、ごめんね。ちょっと、調子乗りすぎた」


「ぜ、全然、大丈夫だよ。けど」


 そう言った後、僕はちょっとだけ微笑んで


「せんと君の、意外な面を見れて嬉しかった」


「……そ、そんな、優しいだなんて!! 照れちゃうよ!! 」


(言ってないよ!! )


「だけど、なんで、あの「黒の軍隊」の人と友達になったの? 危険じゃないの? 」


「ゆうき君……やっぱり、彼がどういう存在なのか、知ってた? 」


「うん。つい最近、戦ったばかりだから」


「……りんご丸が、世界を書き換えてくれたんだよ」


「え? 」


「ううん。なんでもない」


 そういうと、せんとはちょっと困ったような表情で、僕にもっと近づいてきた。


「ど、どうしたの? 」


「ねえ、ゆうき君、僕があの人と友達だってこと、エリーナには言わないでくれる? 」


 ……エリーナが「黒の軍隊」の人と敵対してるってことも知ってる。せんと、って、一体何者なんだろう。普段は教室で大人しく勉強してる、まじめで成績もいい人だと思ってたけど、もしかしてこの人もあの異世界と関係あるのかな。


 そう思って、僕は子供たちと遊んでいる「黒の軍隊」の人を見つめた。


 彼はたくさんの子供たちに囲まれて、楽しそうに遊んでいた。なんか、エリーナとみてきた「黒の軍隊」の人たちとは、全然雰囲気が違う。


 普通に親しみお兄さんみたいな。


 僕はもう一度せんとを見て、「うん! 」ようなずいた。


 すると彼は物凄く嬉しそうに「ありがとう! 」と言ってきた。


 そのあと、約束のゆびきりげんまんをして、僕たちはしばらく公園で休んで、それぞれの帰路についた。



 僕は、帰り道の途中、せんと、それとエリーナのことを考えた。


 約束はしたけど、エリーナくらすの化け物だと、なんだかんだもういろいろ気づいている気はするけど、まあ、関係ないかな。彼女に隠し事をするのは気が引けるけど、でも、僕はとにかく約束を守ればいいんだ。


 それだけ思って、僕は自宅に向かった。


 家の前に着くと、僕は鍵を持って、扉を開ける。


 もう、今日からは言える。あの、憧れていた言葉を!!



「ただいま! 」


 すると、元気よくリビングからエリーナが飛び出してきて


「おかえりなさい! ゆうき! お風呂にする?? ごはんにする?? それとも――」


 もしかして、もう夫婦のつもりでいるの??


 というか、最後のってたしか……



「さなちゃん??? 」


 

 と言って彼女がさしできたのは、明らかに変な超能力で縛られてる


 さなだった……



 

読んでいただきありがとうございます。

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