制服姿のお嬢様登場!!
こんにちは! じゃないんですけど……
え? 何やってんの? なんでエリーナがここにいるの?
「紹介する、えっと……」
「はい! 生まれはメソポタミア! 日本とアメリカのハーフで帰国子女子! 出身校は異世界学園で、好きなものはスイーツのみ! 明るくていろいろ闇があるJC! アンデル・エリーナです! 」
……
『え~~~~~!!!!』
……なんかいろいろちが~う!!!! 明らかに変に混ざってるのもあるし。
何、その自己紹介、自分で考えたの?
「え」
ほら、先生も困惑しちゃってるじゃん! 教室もとにかくざわついて落ち着きが完全に消えたし! なんでそんな意味の分からない自己紹介しちゃうの?
「えへへぇ~」
って、本人にっこにこだな!!
「うーんと、エリーナ、さん。学校に寄せられた情報と全然違うんだけど……」
「そうなの? じゃあ、それ読んで? 」
「? は、はい」
先生が生徒になるはずの女の子に押されてる……てか、せめて敬語使おうよ。
「み、みんな。イギリス出身、帰国子女の夏目エリーナだ。彼女の家庭は少し複雑でな。詳しく話すと彼女のひいひいひいひいおじいちゃんまでさかのぼることができるのだが。昔日本で生まれた彼は、木こりとして山奥で生活していたのだが――」
えらい設定考えたね。これ絶対自分で考えてないでしょ。
というか設定が長すぎて、クラスのみんながまた徐々にがやがや騒ぎ始めた。まあ、そりゃそうなるよね。
「――それで、フランスとイギリスを行き来していた五郎門は――」
「先生! 」
すると、耐えかねたらしい、一番前の席の右端に座っている女子が、手を挙げてこう大声で言った。
「はい? 」
「さっきのエリーナちゃんの自己紹介の方がおもしろい! 」
「ええ! 」
あ、そういえばこのクラスこんな感じだったね。真面目に自己紹介するよりは、エリーナみたいにインパクトを残す方が、歓迎されるもん……いや、どこも一緒かな。
「先生! エリーナちゃんの席どこ? 」今度は真ん中あたりの席に座っている女子。
「えっと、ああ、お前の隣だ」
「ええマジで!? やった。エリーナちゃん、おいで! 」
そう言って、その隣の席らしい女子と、あとその友達みたいなのが立って、エリーナのとこまで歩いて行った。そして困惑している先生をほったらかしにして、エリーナを席まで連れて行った。
するとホームルーム中にも関わらず、クラスの半数以上が彼女を囲んで、「俺も、私も」と質問合戦が始まる。
何言われてるのか知らないけど、「かわいい!! 」とだけは聞こえてきた。
うーん。今大人しく席に座ってるのは僕と、りんご丸と、さなと、あと、誰か知らない男子だけ。
他はみんなあんな感じ。
てか、男子、あれみんな顔的に下心あるでしょ。
「はああ~」
ため息をつく先生……かわいそう。
ホームルーム、その他もろもろが終わって、休み時間になった。相変わらずエリーナの周りには人の集まりができていて、僕が入るようなすきはなさそうだった。
でも、マジでなんで来ちゃったんだろ。というか、この学校に来る手続したの絶対あの刑事さんでしょ。サプライズにもほどがあるんだけど!
と愚痴を心の中でつぶやいていると、突然、「ええええええ! 」という悲鳴が聞こえてきた。そして、そのあとに、何故か集まっていた人たちは全員こっちを向いてきた。
な、なに……
すると途端に、集まっていた人の何人かがこっちまで来て、真っ青な顔でこう聞いてきた。
「ねえ、エリーナちゃんと知り合いってほんとなの? 」
あ……だめだよ、エリーナ。それを言っちゃ。
最悪の学園生活を送ることになるよ……
「ねえ、どうなの? 」
「えっと、知り合いっていうか、なんていうか……小さいころにたまたまイギリスで」
と、僕が適当な嘘をついてその場を乗り切ろうとしたとき、エリーナが突然立ち上がって、僕の近くまで走って来た。や、やめろ……これ以上僕と知り合ってるっていうことがみんなに広まったら――
「よくぞ聞いてくれた! 」
エリーナが僕の左手をつかんで、こう言った。いや、質問受けたの僕だし、マジでそろそろその辺にしておいた方が。
「私たち、実は知り合いなんて浅い関係じゃないよ~」
冗談でしょ。ほんとにやめて……やめろ!!
「なんと、彼は私のカレシ君なんで~す! 」
……やっちゃった~……
読んでいただきありがとうございます。