49 シュラフ
その後、話の流れからアレス達にファイヤースターターを見せることになり、飛び出した火花の量に驚いていた。
「あれ程の火花が、こんなものから出せるなんて驚きです」
リーナはストライカーを奪い取り、自分の剣にストライカーを滑らせたが火花を出すことが出来ず、地団駄を踏んでいた。
(ストライカーを滑らせれば良いと言う物ではないのだよ、ロッドの方が重要なのだよ、リーナ君)
「やはり、それも素材不明なのだな」とザガン。
この世界には、マグネシウムもまだ見つかっていない様だ。
一頻り、リーナが悔しがった後、今日の所はお開きと言う事になった。
「俺っちは、出口の傍で寝るっす」
何でも、レオンはスカウトだあるだけあって、寝ている時でも物の気配を感じ取れるとの事だった。
洞窟の出入り口に近い方を陣取ったのは、他の皆の気配と間違わない様にする為の措置だそうだ。
レオンはザガンから動物の毛皮を受け取ると、洞窟の出口の方へと歩いて行った。
その後もザガンはアレスとリーナ、ナターシャに動物の毛皮を配った。
「ユウタは……これを使ってくれ。
俺は、今晩一晩位なら大丈夫だから」
ザガンは自分の分を俺に提供してくれるらしい。
「気持ちは有難いけど、俺の分はあるから大丈夫だ」
洞窟の隅に避けておいた、シュラフを持ってきた。
「そんなもので大丈夫なのか?」
「これは、意外と温かいものなんだぞ」
「それは、どうやって使うんだ?」
「これは……こうやって開けて……そして中に入って寝るんだ」
シュラフのファスナーを開けて中に入り、ファスナーを閉めた。
「へぇ……何かの幼虫みたいだな」
「使ってみるか?」
「良いのかい?」
「あぁ」
ファスナーを開けてシュラフの中から這い出すと、リーナが代わりにシュラフに包まれた。
「へぇ、面白いな、これ」
リーナがシュラフの肌触りを感じている隙に、シュラフのファスナーを閉めた。
途端にリーナがシュラフの中で暴れ始める。
しかし、シュラフの中でいくら暴れようとも俺達に攻撃の手は届くことは無く、足掻いているだけでしかない。
そして暴れ回っているうちに、シュラフ毎転げ回っている。
リーナの足掻いている様を、俺達は笑ってみていた。
「おい、出せ、出せって言ってるだろ」
「お前は、暫くそのまま反省するんだな」
ザガンがリーナに対して告げる。
「何を反省するって言うんだい?」
「そうやって、後先考えずに行動することを……だ」
「いいから、早く出せよ」
「騒がしいから何があったのかと思ったら……これは、面白いことになっているっすね。
俺っちにも早く教えて欲しかったっす」
出入り口の傍に陣取っていたはずのレオンが、いつの間にか此方へと来ていた。
「いいから、早く出せ~」
洞窟にリーナの絶叫が木霊した。




