05 食べ物を探す(4)
(こっちの松は、葉っぱが針のように細くないんだな……)
松ぼっくりの様なものが成っているという事で松と言ってはいるが、地球の松とは違う物だと思う。
だから松と言うのは適切ではないと思うのだが、だからと言って何と言えば良いのか分からないので、正式名称が分かるまでは松と呼ぶことにする。
(松の様で松じゃないんだから、この松ぼっくりも食べられるかも知れないな。
試してみる価値はある)
松ぼっくりに、軽く触れてみる。
表面は硬く、やはり松ぼっくりに似ている。
とてもではないが、このまま食べるのは難しいと思われた。
(持って帰って、茹でてみるか)
焼くか茹でるかすれば、大抵の物は食べられるはずだ。
松ぼっくりに近いのならば、焚き付けとして使えるようなものであるかも知れない。
それならば、焼くと言うのは無しだ。
火に近づけてしまうと、炎を上げて燃え上がる可能性が高い。
ファイヤーダンスなどで『火を食う男』などの演目があるが、火が俺の食材リストに入る事はないし、入れたいとも思わない。
第一、火を食べて栄養を摂取できるとは思えない。
(そもそも、火に栄養素ってある筈ないだろ)
そんな事を考えながら、付近に落ちていた松ぼっくりを一か所に拾い集めた。
こうしておけば、帰る時にすぐにソリへ載せられる。
帰り道は急いでいる筈だから、掛けられる手間は今のうちに掛けておく。
(でも、どうせ食べるのなら、あそこのまだ青い方が食べやすそうなんだけどな……どうにかして落とせないかな?)
見上げた枝の先には、まだ緑色の松の実が実っていた。
地面に落ちていた木の幹と同じ色となってしまったような松ぼっくりとは違い、表面は見るからにまだ柔らかそうだ。
あれならば、煮なくても噛み砕けそうな感じがする。
木登りは論外として、ナイフを投げて枝を切り落とす? そんな針の穴を通す様なコントロール、俺には到底できる筈もない。
それに、ナイフが木に当たりそのまま落ちて来なかったらナイフを失ってしまう事になる。
此方へと跳ね返ってくるかもしれない……と、どう考えてもリスクの方が大きすぎる。
(他に、低い所に生えているかもしれない……そうだ、まだ慌てる様な時間じゃない)
日はその間も傾き始めている。
それ程、悠長に構えている場合ではないのだけど、一度は言ってみたかった台詞だ。
(馬鹿なこと言ってないで、食材探そ)
木の幹へ蔓を巻き付けた後、再び食材探しの旅を再開した。




