02 転生?(1)
『そろそろ、落ち着いたかの?』
「お前は……誰なんだよ……」
騒ぎ疲れた俺は、息も絶え絶えに頭に響く声へ質問する。
『我はそなたらが神と呼ぶものじゃ』
「神?」
(俺はいよいよ頭がおかしくなってしまったのか? それとも幻聴でも聞こえているのか? どちらにしても俺はもうおしまいだな……)
『そんな事は無いぞ、
そなたは頭がおかしくなったり、幻聴でもありはせん。
そなたに伝えておくことがあったので、こうして話し掛けているのじゃよ』
「うわっ、俺の思っていることが分かるのか?」
俺の表情から考えを読まれてしまったのかも知れないが、的確に当てられてしまったことに動揺してしまった。
『始めにそう言った筈じゃが、忘れてしもうたかの?』
(そう言えば、そんな事言っていたな。
怒るのに忙しくて、忘れていたけど……う~ん、本物の神様ならば、言葉遣いを改めた方が良いか? 印象は大事だろうしな)
『今更、取り繕うとも意味などないじゃろう。
今までのままで良い。
その方が話も早いであろうからの』
「分かりまし……いや、分かった。
それで、神様は俺に何を伝えに来たんだ?」
表情から察しているのではなく、完全に心を読み取られていると感じた俺は、諦めて巣のままで話すことに決めた。
『まず、そなたの魂は元の世界では居られなくなってしまったのじゃよ』
「は?」
俺は思わず素っ頓狂な声を上げた。
突然、神様が現れて『魂がどうのう』と言われたのだから、当然だろうと思いたい。
『予定外であったため、急遽、此方の世界で丁度空いた入れ物の中へと魂を移したのじゃよ。
今後は、此方の世界で生きていくが良かろう』
「いや、どういう事か話が分からないのだけど……もっと詳しく説明してくれ」
『う~む、今の話を理解できぬか? 何処が分からなかったのか、言ってみるがよい。
説明するのじゃ』
「まず、俺の存在が無くなったって事なんだけど……」
『そなたは、あの家の様な物の中へ入った時に、転んで頭を激しく打ち付けてしまったのじゃ。
その拍子に、そなたの魂が抜け出て、代わりの魂がそなたの身体の中へと入り込んでしまったのじゃよ』
「何それ? じゃあ、元通りに戻してくれよ」
『世界に過干渉することは出来ぬ。
魂の入れ替えは過干渉に当たるので、することは叶わぬ』
「そんなぁ……じゃあ、何で元の世界で生き返らせてくれなかったんだ?」
『魂の許容量があるのでな。
そなたの魂を戻してしまうと、許容量を超えてしまうのじゃよ。
そなたの身体に入り込んだ魂の世界へ、そなたの魂を移すしかなかったのじゃよ』
「魂が世界間でトレードされたって事か?」
『そうじゃな』




