13 崖下の風景
(あんな所から、よく降りて来られたな……)
崖を降り、振り返って崖へと目をやった。
崖の頂上は遥か彼方に感じる。
上から下を見るより、下から上を見る方が遠くに感じた。
同時に、「この崖を登れ」と言われても、謹んでその言葉をお返ししたいとも思った。
スマホを取り出して時刻を確認する。
時刻は12時近くだったが、その割には日は傾いているように感じる。
それに、どうやら日の進行方向が逆に感じる。
感覚的には、西から昇った……の感じだ。
(これが異世界と言う事か……時間の流れも自転の方向も違うんだろうな……)
地球では24時間で1日だったものが、24時間も無いという事になると時計の時刻を当てにすることが出来ない。
もし時刻を正確に知るとすれば、日時計などを作ってそれを元に何等分かに分割するしかない。
しかも、春分、秋分の日でないと昼と夜の長さが同一ではないから、厄介だ。
そもそも、春分、秋分や四季の概念があるのかも分からない。
(時間を知る方法を何か考えないとな……それより、今は水を手に入れないとだな。
確か、川が近くに流れていた筈だけど……)
崖の途中から眺めた時も、近くに川が流れていることは確認している。
ルートの都合上、どうしてもすぐ隣に降りることは出来なかったが、それ程離れていない筈だ。
崖の上から確認していた、川の方向へと歩き始める。
2~3分も歩くと、水の流れる音が聞こえて来て、その後すぐに川が見えてきた。
(よし、これで水は確保できる)
ただし、このまま川の水を飲むのは危険だ。
ゆっくりではあるが流れのある川なので、水は澄んで透明なのだがどの様な寄生虫や病原菌が潜んでいるか分からない。
安全に飲む為には殺菌する必要があるのだが、水道水の様に塩素消毒は不可能だ。
ここは予定通りに煮沸消毒をして、湯冷ましを飲むしかないだろう。
リュックをその場へと降ろして、先ずは一息吐く。
(さてと……何か燃やす物が必要だな)
辺りを見回す。
川辺には、疎らではあるが枯れ枝がある。
上流に森か何かがあって、此処まで流れ着いたのだろう。
流されてきてそれ程時間が経っていないと思われるものは黒くなった部分が見えるが、乾ききって白っぽくなったものもある。
(あれ、燃えるかな?)
リュックから鋸とタオルを持って、白っぽくなった流木の元へと向かう。
そして、流木を蹴ってひっくり返す。
裏側の乾き具合を確認する為だ。
(これなら、大丈夫だろう)
鋸で流木を幾つかに切り分ける。
水分が抜けて軽くなっているとは言え、そのまま持って帰るには重いかもしれないと考えたからだ。
何本かの流木を、鋸で切り分けてリュックの所へと持ち帰る。
この作業を何度か続けて、ある程度の量の薪を集めることが出来た。
(これだけあれば、ある程度の量を作れるだろ……)
額に滲んだ汗を、タオルで拭う。
そのままその場へと腰掛けて、丸い竈を作った。
丸い方が上にメスティンを置きやすくて、尚且つ竃がその形を崩してしまうこともないだろうと考えて……




