ギリギリまでフザけた「三枚のお札」
深夜のテンションで勢いのまま書いたため、私の作品史上、最も品性下劣なお話です。
先に謝ります。大変申し訳ありません。
お食事中の方や、下品な下ネタがお嫌いな方はブラウザバックを推奨致します。
昔々、あるところにPOWERのある和尚さんと手習いの小僧さんがいました。
この時代にはスカウター的なものは無かったので和尚さんのパゥワーを計ることは出来ませんが、まさに計り知れぬ力を持っていたのですんごいパゥワーのお札を作ることが出来ました。
そのパゥワーの秘訣ってなんでしょうね。多分肉とか酒とかを食すのは禁じられてる気がするんですが精進料理でパゥワーが出るのでしょうか。
あっ、きっと栗です! きっと秋の栗には底知れぬパゥワーが秘められているのです! というわけで、小僧さんは栗拾いに行くように和尚さんに言いつけられました。
「あ、でも隣の山には山姥が出るんじゃよ」
「マジか」
「だから日暮れ前に帰ってくるんじゃよ。念のため、このすんごいパゥワーのお札を三枚持っていけ」
「りょ」
さて、隣の山には本当に人喰い山姥が住んでいました。
人喰いと言っても緊急時以外はちゃんと包丁と鍋を使って丁寧な料理をして食べます。生のまま頭からかぶりつくなんてことはしません。熊じゃないんだから。
その山姥の住む山へ、山姥好みの若くてピチピチした小僧さんが栗を求めて分け入ってきました。
山姥好みのピチピチと言ってもアハーン、うふ~んな展開ではありません。R18じゃないんだから。
山姥は、若い小僧さんの柔らかい肉が大好物だったのです。小僧さんをうまく騙した山姥は自宅に彼をお持ち帰りしました。
柔らかい肉が大好物とか、自宅にお持ち帰りというところで「やっぱりアハーン、うふ~んじゃないか」と思った人は素直にノクターンとかムーンライトに行きましょうね。「ノクターンやムーンライトが何かわからない」という良い子の皆さんは検索してはいけませんよ。
あらあら、すみません。チョイと脱線しましたね。
とにかく、小僧さんを料理でもてなして寝かせた山姥は、今夜は御馳走だと喜び勇んで自慢の包丁を研ぎ出します。
シャーコ。シャーコ。シャーコ……
キラリと白刃が闇夜に光ります。
「フヒヒヒ。小僧の柔らかい肉を鍋にして喰ろうてやるわ」
思わず口から説明的な言葉が洩れ出でました。そしてご都合主義で、ちょうどトイレに行きたかった小僧さんに聞かれてしまうのです。
「ヒィッ!」
小僧さんも小僧さんで、黙っておけばワンチャン逃げられたかもしれないのに、声を出したからさぁ大変。
「見ぃた~ぁなぁ~!!」
山姥は正体を表し、早速小僧さんを捕まえて料理してやろうと襲いかかります。
「せめて、せめてトイレに行かせてからにしてください!!」
小僧さんの必死の懇願に、確かにそれもそうだと納得した山姥。人喰いの趣味はあってもス●トロの趣味はありません。
「ス●トロって何?」と思った良い子の皆さんが検索しないですむように答えを教えましょう。「●=シ」だよ! お寿司のトロって美味しいよね。
でも山姥はトロが嫌いなんだって。山姥は山の姥だから海の物が苦手なのかもね。
えっ!?「寿司とトイレに因果関係ないだろう」って? ……チッ。君のようなガキは嫌いだよ。
嫌いなガキはほっといて、話を進めましょう。
山姥は小僧さんをトイレに行かせることにしましたが、逃げられないように腰に縄を着けます。
日暮れまでに帰れとの言い付けを忘れたり、さっきはうっかり声を出して見つかったりしたアホの子っぽい小僧さんですが、真のアホでは無かったようで和尚さんから貰った三枚のお札のうち一枚目を使って逃げることにしました。
「お札よ、山姥に良い感じの代返しといて」
すんごいパゥワーのお札を代返に使うとは。やっぱりアホの子かもしれません。もっと良い使い方なかったの?
あ、「代返って何?」と思った良い子の皆さん、検索する必要はありません。
読んで字のごとし、代わりに返事をすることです。ていうか死語です。今の大学は名前を読んで出席確認なんかはしません。
今は「ピ逃げ」とか言うそうですよ。学生証のICカードをピッてタッチしておき、授業はサボっちゃうんですって。
わぁ、文明が進んでもやることは変わらず、人間は進化しない生き物だという良い教訓ですね。良い子の皆さんはそんなことしないでね。
お札は山姥の「まだかまだか」という問いに何度も「うーん、もうちょっと」と良い感じの代返をして時間を引き延ばしてあげました。
しかし、しびれを切らした山姥が「いい加減にしろ!」と縄を引っ張ると、縄はトイレの柱にくくりつけられていたので柱が倒れ、家屋が一部倒壊するハメに陥りました。
これは流石の火災保険でも対応不可ですね。この状態から入れる保険があったら誰か教えて下さい。
しかし引っ張るだけで柱を倒しちゃう山姥さんマジ怪力。マジリスペクト。マジマッチョ。
騙されたと気づいた山姥は、怒り狂い、そのマッチョ力を存分に活かして小僧さんを追いかけ走ります。そしたらホントに追いつきそうになるんですね。マジマッチョ。
小僧さんはあわてて二枚目のお札を使います。
「お札よ、僕と山姥の間に大きな川を作って」
ナイス小僧さん。今回の使い方はアホっぽくないです。ボーンという音と共に、山姥の前に大きな川が出現しました。
だくだく、ごうごうとした奔流に、山姥は足止めされるはずでしょう…………おや?
な、なんだってぇ~!!! なんと山姥は川に口を付けて水を飲み始めました。
「あれれ~? おっかしいなぁ。いくら妖怪だからって飲み干せるくらいの水の量なら渡れるくらいの浅い川なんじゃない?」とか言うそこの君。さっきの嫌なガキだね。
君のようなガキは嫌いだが、今言ったことも尤もだ。
しかし川はそこそこ深かったし、山姥はそれでも飲み干せるスーパー妖怪なのです。なんたってマッチョだからね。筋肉はだいたい全てを解決するのだよ!
そう、「だいたい」。苦手なものもある。筋肉は重いからマッチョは水に沈みやすい。だから川を渡ったり泳ぐよりも飲んだ方が早かったのさ! HAHAHA!
さて、水を飲み干した山姥さんマジスーパー妖怪。
しかし流石に時間がかかったようで小僧さんとの距離が開いてしまいました。が、持ち前のマッチョな脚力を活かして怒涛の追い上げをします。
その脚力は2009年オークスのブエナビスタの如し。
嘘です。競馬は詳しくないです。生で見た追い上げの凄いレースがオークスのブエナしか知らないだけです。競馬ファンの方、居たらごめんね☆
私より競馬を知らない良い子の皆さんは、レースの公式動画がありますから是非検索してみてください。凄いよ。あっ、馬券は20歳になってからじゃないと買えないから気を付けてね!
また横道にそれましたね。きっと小僧さんも山姥も道に迷ったのでしょう。めんごめんご。
再び追いつかれそうになった小僧さんは最後のすんごいパゥワーのお札を使います。
「お札よ、僕と山姥の間に大きな火の壁を作って」
……あちゃー、ダメですよ。これはダメですよ。やっぱり小僧さんアホの子でした。
あの嫌なガキに突っ込まれるまえに先に言っちゃいましょう。なんで火にした! さっきの水で消されるでしょ。せめて雷とか、落とし穴とか、他になんかなかったの?
一応、お話によっては「三枚目のお札で砂の山をお願いした」という展開もあるそうですよ。そっちの方が賢そうですね。
「ファッ、ファッ、ファ。こんなもんこうじゃ!」
山姥は先程飲み干した水を吐き出し、火を消してしまいました。人間ポンプ!……違った、妖怪ポンプです。
もうダメです。追いつかれちゃいます。昔話終了の予感。
……しかし、なんと愚策と思われた火の壁で見事に時間を稼ぐことに成功します!「小僧さん凄い!」と思ったそこのあなた、ちょっと待ってほしい。
山姥は自分ひとりが通れる部分だけ消火しても良かったはずです。それならすぐに小僧さんに追いつけたでしょう。
ですが、山姥はここで時間を取られるのです。何故でしょうか? きっと丁寧に炎の壁を全部消火して回ったのでしょう。山火事になったら大変だからね。
もし小僧さんがそこまで計算していたのなら、コイツはアホの子ではありませんが放火犯のどエライ鬼畜小僧です。自分が助かれば山がどうなっても構わないのでしょう。
逆に山火事を防いだ山姥は意外と常識人という気がします。食欲よりも周りの状況を優先してますね。
……うん、スーパー妖怪山姥さんマジリスペクト。今後はちゃんと「さん」付けにしますね。それから鬼畜小僧には「さん」付けなんて勿体ないわ!
「和尚さ~ん! 助けてくださーい!!」
「ん? 誰じゃ誰じゃ」
「ここに住んでる賢くてかわいい小僧です!」
「おんやぁ? うちには『日暮れ前に帰れ』と言われて深夜に帰ってくる不良小僧なんぞいなかったはずだがなぁ」
「意地悪言わないで早くお寺に入れてください! 山姥に食べられてしまいます!」
お寺を出る時は生意気な口をきいていた小僧も流石に丁寧語で懇願します。と、和尚さんはやれやれとばかりにお寺に入れて匿ってやりました。
そこへ山姥さんがやってきます。
「やい、小僧を出せ。この山姥の飯をただで食い逃げはさせんぞ!」
「ほう? それはすまんかった。しかしお前さん山姥と言うにはちと小さいのう。本物の妖怪か?」
そう言うと和尚さんは軽くポージングをしました。ナイスバルク! 筋肉がみちみちっとしています。流石すんごいパゥワーの和尚さんです。
「ぬぬぬっ。ワシを愚弄するか!」
山姥さんは妖怪の力を誇示すべく、術を使って大きくなりました。頭がお寺の天井に付き、みしみしっとしています。
ああ、大変!お寺が壊れちゃう! 壊れちゃうよぅ!! 誰か今からでも入れる保険を教えて!!
「ほう。疑ってすまんかった。しかし術というのは大きくなるより小さくする方が難しいらしいぞ。お前さんは豆粒サイズまで小さくなれるかな?」
「そんなもん簡単じゃ。それっ」
和尚さんの挑発に、山姥さんは術を使って豆粒サイズまで小さくなりました。それをひょいと拾った和尚さんは、手近な餅に山姥さんを挟んで食べてしまいました。
ははぁ。和尚さんの計り知れぬパゥワーの秘訣は妖怪の丸呑みにあったんですね。そりゃすんごいお札も作れるわ。
※餅の丸呑みは窒息の可能性があり、本当に危険です。たとえ山姥さんが挟まっていても良い子は真似しないでね!!
これでめでたしめでたし……と話は終わるんですが、疑問点が二つ残りました。
ひとつ。何故山姥さんは餅に挟まれた後、すぐに術を解除して元の大きさに戻らなかったのでしょうか。
ふたつ。昔話は教訓が挟まれていることがままあるのですが、この昔話の教訓とはなんでしょうか。
最初の疑問ですが、筆者はこう思います。
餅は白くてフカフカと柔らかくて温かいですよね。しかもこの時は深夜、良い子は寝る、オトナの時間です。
ここから何かを連想しませんか? そう! おっp……お布団です! お布団は素晴らしいですよね。特に冬の寒い時とか、あそこから出るのは至難の技です。
小僧をマッチョな脚力で追いかけ、川の水を飲み干し、また吐き出して火を消すという過酷なトレーニングをした山姥さんには休息が必要でした。
そこへ餅のふわふわなお布団でくるまれたら、深夜ということも相まって一気に思考停止して眠くなるのも無理はありません。
まあ、そのまま胃酸で溶かされて永遠の眠りについちゃったんですけどね。
次の疑問は、ちょっと難しいです。鬼畜小僧の行動に教訓を見いださなければなりません。
まあこんな感じですかね。
・日暮れまでに帰らないと山姥さんに追われるハメになるよ
・良い子は「ピ逃げ」をするような大学生にならないでね
・ブエナビスタは可愛い。彼女のオーナーの1人であった(一口馬主制度)草野仁さんはマジマッチョ
・放火、ダメ! 絶対! ホントにマジで!
・誰か良い保険を教えてください
・筋肉はだいたい全てを解決する。但し、水に浮かべないのと、餅のようなお布団の魔力には勝てない
・逆に、山火事を未然に防ぐ常識人であろうとも、お布団の魔力には注意すべし。いきなりお布団でくるまれて何の疑問も持たずにうっかり寝たら胃酸に溶かされてTHE ENDかもしれない
―THE END―
……あ、もうひとつありました。
・深夜の変なテンションで、勢いのまま小説を書いてはいけない。
お下劣だったりいろんなパロディーだったりを混ぜた、こんなしょーもない話を書いちゃうからね。
お読み頂き、ありがとうございました!