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第七話 相談

━━━少し前。

 マリスは絶望した。遅かったのだ。教室内は全てそこにいた生徒達の血によって床、壁、天井に塗られており、反対側にある扉が廊下に倒れていた。


 粘液質のある血が天井から(したた)り、まだそうなってから時間が経っていない事が分かる。


「だ、誰か生き残りは…」


 血で滑りそうになりながらも、気力の無い歩行で生徒だったモノに近寄った。


 それらは千切られ、潰され、混ざりあい、誰が逃げられたのか、誰が死んだのかなど(わか)らない状態だ。否、判る事が1つ。


「マートル…お前がやったのか。」


 怒りと憎しみの(こも)った声。マートルが着ていた服の切れ端はあるものの、彼本人らしきモノはどこにもない。




━━━全員へ俺達に起きた出来事を説明すると、少しざわついた。


「モンスター…か、厄介だな。」

「モンスターをどうにかしないと、食料調達が困難になってしまう。だからと言って倒す方向になると、ゾンビ共も相手にしなければならない。正体が分かればいいんだけど。」


 月明かりもないこの暗さで探索するのは危険だと判断し、見張りを交代しながら朝を待った。


 朝になり、果物と水で腹ごなしをしてから今後についての相談をする。


「ね、ねぇ。マリス先生と行動しない?」


 赤髪の女生徒がそう切り出した。マリスさん、恐らくモンスターが侵入した事は知らない。


 それにマリスさんと行動を共にした方が安心感は高い。全員、その子の意見に賛成のようだ。


 マートル先生と生徒達がいた教室はいない筈。というわけで、もう1度俺の眷属(けんぞく)魔法で捜索する事となった。


「いた!ここの2階、マリス先生1人だ。」

「本当!屋上に来てってお父さんに伝えられる?」

「ごめん、視覚しか共有出来ないんだ。」


 マリスさんは第1校舎の2階、ゾンビを避けながら教室を覗いては何か探しているようだ。


 マリスさんが振り向き俺の眷属に気づいてくれた。屋上に来て貰うよう、天井まで上がったり、上下に動かしたけど、分かってくれるか?


 マリスさんは上を見て、階段の方へ向かい上がっていく。


「良かった、気づいてくれた。」


 しばらくすれば扉のノブを回す音、叩く音がしレオが開けるとマリスさんが入って来た。


「マ、マリス先生、他の人達は?」


 赤髪の女生徒が質問すると、マリスさんは厳しい顔をし首を横にふる。


「何人かは殺された。逃げた子と彼らを殺したマートルを探しているところだ。」

「そんな…」


 マートル先生、ダメだったのか。逃げた人、生きているといいんだけど。


「先生、学園にモンスターが侵入したみたいでして。」

「モンスターが?」


 昨日、俺とジュリアに起きた出来事を話した。マリスさんは何か考える。


「この街に入るようなモンスターはいなかっと思うんだが。」


 この王都周辺は森や山などの自然に囲まれてモンスターの数は多いものの、どれも大人しい奴らばかりだ。だがゾンビ化したとなれば話は別になる。


「最近、凶暴化したモンスターが増えたと聞きます。多分そのモンスターはゾンビ化していると思うのですが。」

「ただでさえ、人より強いモンスターがゾンビになるとは。お前達、俺が戻るまでここにいなさい。1時間後、俺が帰ってこなければ…何とか自力でこの学園から脱出して宮殿へ向かってくれ。あそこは緊急時、都民の避難場所になっているから。」


 マリスさんはジュリアとハグしてから、また校舎内へと戻った。ジュリアの顔を見れば不安そうな表情をしている。


「ジュリア…。」

「ん、平気。お父さん、強いもんね。」


 俺が(はげ)ましの言葉を続けようとしたが、どうやら大丈夫そうだな…そうだよな、マリスさんはスゴいから。




 だが、1時間経ってもマリスさんは戻らず、俺達は言い付け通りこの学園から出る方法を考える事となる。

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