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プロローグ

「じゃあな、またやりに行こうぜ!」


「おう、今度はもっとかわいい子が良いな」


 そんな下衆な会話が聞こえる。今回のターゲットとその友人だろう。


「さーて、明日は何処で遊ぼうかな」


 男が扉から入ってくる。20歳前後の男だ。顔立ちは整っておりイケメンといわれる部類だろう。


「あれ?窓閉め忘れたっけ?」


 なぜか窓が開いていた。男は閉めたはずなのにと首を傾げながら窓を閉める。閉めたところで男の動きが止まる。どうやら俺の気配に気づいたようだ。


(まあ、気づかせたんだがな)


 男は部屋を見回してみる。しかし、そこには自分以外の人間はいなかった。


「気のせいか?」


 男はシャワーでも浴びるつもりなのか着替えとタオルを用意する。再び窓が開き強風が部屋に入ってくる。


「いったい何、だ」


 窓の前の俺に気が付き、固まる。


「だ、誰だ。お前」


 俺は男に静かに近寄る。足音は立てない。


「いつからここにいた!不法侵入だぞ!」


 俺はその言葉には答えず、男に一枚の写真を見せる。


「この女性に見覚えがあるな」


「ああ?そんなやつ知ら、ね」


 知らないはずがなかった。写真に写っているのは先日この男に強姦された女性だ。

「大企業の坊ちゃんだからって強姦して何も無しってわけにはいかないよな」


 男は後退さる。俺が何者か、分かったんだろう。


「彼女はもうすぐ結婚する予定だったそうだ。だがお前のせいで夫になる人に会す顔が無いと嘆いていたぞ」


「し、知らねえよ!あいつが悪いんだ。あんな目で俺を誘ったりするから!処女でもねえくせに!」


 これは常習犯だな。毎回もみ消されていたんだろう。


 俺はさらに男に近づく。


「待て、待ってくれ。いくらだ、あの女にいくらもらったんだ。倍、いや3倍払う。だから」

「見逃してくれと?」


 男は後退り過ぎて壁にぶつかった。


「なあ、あんた殺し屋だろ。なら俺からも依頼するよ。俺も殺してほしい奴がいるんだ」


 聞くとも言っていないのにしゃべりだす男。


「金はいくらでも払う。だから今回だけは」


「お前は勘違いしている」


「へ?」


 そう、勘違いをしている。俺がただの殺し屋だと。


「俺は殺し屋じゃない。殺し代行屋だ」


 そう言って俺は男にナイフを突きつける。


「俺は彼女の代わりにおまえを殺しに来た」


 そして男の喉ぼとけを掻き切った。




「夢、か」


 元の世界の夢。ここではない。俺が生まれ育った世界の。


「もう4年か」


 俺は窓を開けて外を見る。そこに広がっているのは中世ヨーロッパを思わせるような街並み。すべてがレンガ造りになっている。電気はなくその代り魔術があるファンタジーの世界だ。


 4年前、俺はなぜかこの世界に来ていた。理由は分からない。死んだわけではないはずだし、誰かに召喚されたわけでもない。


よくある、死んで神様のところへ行って、転生特典を貰ってとかいう王道イベントもなかった。気が付いたらこの世界のこの街にいた。


不思議と言葉が通じて文字も読めた。だから暮らしていくのは問題ないと思ったが、お金、仕事がない。


探してみて日雇いの仕事はいくつかあったがあいにくこの年まで殺しの仕事しかしていない自分には出来そうになかった。だから俺は元の世界の仕事をここでも始めた。


 ドアからノックの音がした。どうやら今日も客が来たようだ。

「どうぞ」


 ドアが開き、依頼人が入ってくる。


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