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謁見


 教会と隣り合わせに建てられているお城へと侵入を果たした。早朝のためか、衛兵騎士などの護衛は誰一人見当たらず、赤い絨毯の敷かれた通路と階段を二人は歩き続けると、広い謁見の間へと出た。

 玉座には白髭を生やした老人が座り、隣には若者が一人立っていた。そして女神の像が置かれている。小さい像なのかと思ったら……割と大きめだ。……胸とかも。


「貴様が国王か」

 急に低い声でそう呟く魔王に、ちょっと笑いそうになってしまった。魔王様が魔王のキャラを作っている。

「フン。魔王め、ここへ来たのが運の尽きだ」

 国王が指パッチンすると、急に大勢の騎士が両方の壁際の支柱裏から剣を構えて姿を現した――。

 

 待ち伏せに見事に引っ掛かってしまった――。総勢……二十八人、いや、二十九人? ……やっぱり二十八人ってところだろうか。国王と勇者は二人が城に来る事に気付いていたのか――。

 玉座の後ろから先程の神父がこっそり姿を現せ、ニヤリと悪い顔をする。


「わが国の精鋭騎士部隊の前に二人で現れるとは……。さあ勇者よ、格好いいところを見せてくれ」

「承知しました」

 勇者が白銀の剣を鞘から抜きながら赤い絨毯の上を歩み出る。よほどの自信か? 一対一で戦うつもりなのだろう。

「……よかろう。魔王軍一の剣の使い手。四天王である宵闇のデュラハンが相手をしてやろう」

 魔王様の前に立ちはだかり、ゆっくりと剣を抜いた。


「おい、お前! もしお前が勇者なら、神父さんはお前を生き返らせることはできないのだぞよ! それでも戦うのか」

 背に隠れながら魔王様が声を上げる……どことなく格好悪い。

「生き返らせることができないだって……? ――嘘つけ!」

「「――!」」

 ……インチキだったから嘘なんだけど。なんでバレたのか――!


「いくぞ!」

 勇者とデュラハンの剣が高い音を立てて交わった――。


 でも、勇者はやっぱり弱すぎた。スライムは倒せても、魔王軍四天王の足元にも及ばなかった。そもそもデュラハンは全身鎧で覆われているし、弱点である顔や頭がない。生きているのか死んでいるのかも分からないモンスター。魔法も効かないのでほぼ無敵状態だ。ひょっとしなくても魔王様より強い。さらにはイケメンだ……顔から上はないのだが。


 剣を一振りすると、勇者の握る白銀の剣が鈍い金属音と共に粉々に砕けた――。

「弱い。弱過ぎる。貴様など私にとってはレベル1のスライム以下だ」

「お、お、お助けを――」

 勇者は折れた剣を放り投げて国王の裏側へと走って逃げた。


「ま、ま、まいった! わしらの負けじゃ! なんでも言うことを聞くから命だけは助けてくれ! お前達の望みはなんだ。世界征服か?」

「国王よ。予の力、魔王軍の力を思い知ったであろう。世界は今日、全てが我が手中に落ちるのだ。フハハハハ」


 ……フハハハハって……。あんた、なんにもやってない――!


「さすれば、女神の像がその力を我に捧げるであろう。さあ国王。死にたくなければ声高らかに言うがよい。『全国を魔王に渡します』と――!」

「はい。この国はもう魔族の物です! 命だけは助けて下さい! 全国を魔王に渡します――」

「はっはっは! これで予にさらなる力が与えられるのだ――!」


 玉座の横に置かれていた等身大の女神像から後光がさし――光輝き始めた――。


「……もしかして、魔王様は女神像について何か御存知だったんですか?」

「え? なにを言い出すのだ。し、知ってるわけないだろバカ者」

「……」

 絶対怪しい。たぶん世界を征服したものに女神像がなんらかの力を与えることを知っていたんだ――。


 ――願いが叶うドラゴンボ〇ルのような――!



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