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神父が呪われた?


「そうか! 勇者に命の大切さを教えればいいのだ!」

 急に大きな声を上げるから……目が覚めてしまったじゃないか。


 辺りは昨日スライムを埋めた草原。戦略を考えながら少しウトウトしてしまっていた。東の山が少し明るくなってきている。

「ムニャムニャ、どうやってですか魔王様」

「神父が勇者を蘇生できなくすればよいのだ」

「それは名案です、さすが魔王様。ですがいったいどうやって」

 ふあーっと大きなあくびをしてしまった。顔から上は無いのだが……。

「ふっふっふ。チョロいもんさ」

 久しぶりに魔王様の悪い顔を見た……。


「――小ワープ!」

「って、瞬間移動(テレポーテーション)と一緒ですよね?」



 ベッドの上でナイトキャップを被って爆睡する白髪の爺さん。たぶんここはお城の教会で、我ら魔族を目の前にしてヨダレをたらして爆睡しているのは神父なのだろう。

 神父の部屋に魔王様と私は瞬間移動したのだ。


「おい、起きろ。おっさん」

「ムニャムニャ。もう食べられないよう……」

「……」

 ちょっとイラっとしたからおでこにデコピンをしてやると、うお~っともだえながらベッドから転げ落ち、両手でおでこを押さえている。ガントレットのデコピンは想像以上の痛さなのだ。金属だから。

「いったいこんな時間に教会になんの用じゃ……。一、生き返らせる。二、呪いを解く。三、復活の呪文を聞く……はっ!」

 寝ぼけていた神父は顔の無いデュラハンと、紫色の顔と黒いローブ、黒いネクタイの魔王の姿を見ると……。

 ――ことのやばさに気付いた。

「お、お、お金ならありませんぞ。我が教会は貧乏なので。いや、嘘、嘘です。お金はいくらでもあげますので命だけはお助け下さい~」

「ああ、予は無益な殺生は好まぬ。神父よ、お前に一つだけ呪いを掛けさせてもらう」

「ひえー! お助け下さい!」

 魔王は両手をかざし呪文を唱えた。


「ペッシ、ラタセラエカキイー!」


「ひえええええ~」

 神父は顔を覆ってしゃがみ込むが、実際には何も変わっていないことに気付いていない。

「怖がらなくてもよい。神父よ、お前に掛けた呪いは勇者を生き返らせたら自分が代わりに死んでしまい、二度と生き返れない呪いだ」

「ええ? なんだって? もう一回言ってくれ」

「もう一度言うぞ。『勇者を生き返らせたら自分が代わりに死んでしまい、二度と生き返れない』呪いだ。何度も言うのが面倒くさいから、デュラハン、メモに書いて貼っておいてやってくれ」

「はっ」

 枕元に置かれたノートにデュラハンは両方が削ってある鉛筆でサラサラと魔王が言った言葉をメモった。


「もし、お前に死ぬ覚悟があるのなら、今まで通り勇者を生き返らせるがよい。だが、死にたくないのなら、『魔王に呪いを掛けられたから勘弁してくれ』と断るがよい」

「フッフッフッ、誰も神父の事を卑怯者だとは言わないだろう」

「ハッハッハ、そうだ。勇者に命を大切にしろと忠告しておくがいい」


「――小ワープ」


 二人が部屋から消えると、神父はゆっくりと立ち上がった。

「た、助かった……のか」

 恐る恐るメモの内容を確認すると、手が震え始めた。

「これは……大変だ――」


 恐怖したのか神父は布団に失禁していた。……寝ていた時のそれかどうかは定かではない。



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