2.ぴろりろりーん
ぴちゃん。
あれから何時間が経っただろうか。
俺はまた、地面に大の字になっていた。
もはや精も根も尽き果てていた。
最初の一、二時間は良かった。
目が慣れ始めて、すぐそばに小川?が流れていたり。変な光る苔があったり、発見というか刺激があったからだ。
それから暫く、ずっと長い空洞を彷徨い続けていた。
いや、空洞ではない。恐らくここは地下下水道という奴だろう。どっかの本でうる覚えだが、最古の下水道がこんなようだったような気がする……たぶん。だがら此処は日本ではないのだろう。信じられないが。
それにしても変だ。作りは雑だし、削られた部分と思われる箇所はそこまで綺麗ではないはずなのに、金属部分が一切ないのだ。一体全体どうやって作られたんだか……。
まぁ、いい。
今はどうでもいい。
もう考える思考も残っていない。
歩きすぎた。疲れた。腹が減った。
何か食い物があれば……。
がくんと、頭を横に倒した時だった。
視線の先に光る苔があった。
「……死には、せんだろ……んぁ」
パクッ
無意識のうちに手が伸び、ほとんど考える間もなく咀嚼していた。
「……オェ……ゲロまずぅ!オェ…」
端的に言えば、不味かった。
この世のものとは思えないくらい青臭さが口の中を暴れまわった。
ぴろりろりーん。
間の抜けた音が聞こえた。
【スキル『悪食』を入手しました。これにより、今後一切のサポートを終了いたします。ぐっどらっく。】
プツッ
まただ、前回同様一瞬で……って、サポート終了ってなんだ?何かサポートされた覚えないんだが……。
コツン、コツン
不意に遠くから、足音が聞こえてきた。
おっと、これはレスキューの方が俺を見つけてくれたのか?いや、でもこんな所に来るか?
色々な思考が浮かんでは消え、浮かんでは消え、結局大の字で横になることを選んだ。
助かるのなら、すぐにでも近づいていきたいが、腹が減りすぎて動けん。もう煮るも焼くも好きにしろといった具合である。
コツン、コツン
規則的に足音が近づいてきて、……そして止まった。
すごく眩しい。誰かは知らんがランタンでも持っているのだろうか。
「ッ!」
誰かの息を飲む音が聞こえ。
ーーそして。
「しっ、死んでるッ!」
「いや、死んでませーーーん!」
「「……。」」
辺りに痛い静寂が広がった。