ep1-7
「どうしたの?! 顔色、真っ青よ」
「あ……、大丈夫だから…」
教室に戻り、扉を開けるとすぐそこにいたクラスメートに心配された。顔色が真っ青なのは、自分でも予想がついていた。事実体が冷たい…。
私は軽く手をあげて彼女を制す。まだ気にしてそうだったけど、これ以上は保険委員か日直の仕事だと思ったのか彼女もそれ以上は何も口を挟まなかった。
「…………」
視線を感じて、斜め向こうへ顔をあげる。
誰にも目につかないような死角から、委員長は口元だけで笑っていた。
間堂は顔をそらす。彼女は委員長の事を、苦手から徐々に嫌いになり出していた。
例えればそう、気まぐれな猫のように。
私を惑わすあなたは悪魔か、……。
「大丈夫? 間堂さん。保健室へお連れしましょうか?」
「…………結構よ」
「そう。何かあったら何でも言ってくださいね」
とびきりの笑顔でそう言うものだから、つい私も不愉快に顔をゆがめて彼女を睨む。
でも私がそうしたとしても、彼女はその美しい顔を崩さず、上品に微笑むだけだ。なんて憎らしい。
…
……
朝目覚めて、いくら待っても体に力が戻ってこないのを感じる。私はパジャマのままダイニングへとやってきた。
頭が、ぐあんぐあんする。
近頃では頻繁に出てくるこの表現ももう何度目かわからない。とにかくそれまで数カ月に一度のこの頭痛に似た吐き気も、このところでは異常なほど頻発していた。分布図で言えばそれはこの一カ月に集中過多している。その図形が頭の中に浮かばれてまた一瞬立ちくらみがした。
朝食を用意する傍ら、クローゼットの中の引き出しに向かう。その中の一つを引いて、中に入っている紙の袋の中身を確認する。
もう、そろそろ行かないと……。
こんなに早くなくなるなんて。このところの発作の連続に今まででは考えられないほど早く飲みきってしまった。
元々、通院することは欠かさないことだったけれど、それでも余計にその頻度は増えそうだ。
……
…