第十七話 旧友 との 共闘
あれから何時間経った?
そんなに経ってないはずだ・・・
だけどこれはなんだ?なんなんだ、これ。こんなの・・・こんなの・・・
「虐殺じゃねーかぁっ!」
辺り一面は焼け野原、敵も味方も見境なしに殺して。
「くそぉぉぉぉっ!」
思いっきりモニター画面を叩いた。
「応千、聞こえるか?」
『部隊の殆どは壊滅、死傷者の数は不明。』
「由井・・・蒼月?」
『健在だ』
「ありがとう」
渚はそれだけ言って通信を切る。モニターには唯一の味方、蒼月の機影
『渚・・・』
「言うな。仇を取るぞ」
『弔い合戦か?まだ死んだとは・・・』
「この際だ、死んだ事にしよう。その方が殺気が出てくる。」
『ま、お前が言うんだ、言うとおりにしてやるよ』
「じゃあ、行くぞ」
目の前に立ちはだかる巨大な人型機動兵器「炎龍」。50mは超えているだろう。その「炎龍」が全てを壊した・・・
容赦はしない。
「フォーメーションE32」
『了解』
蒼月は変形、紅月は突撃、炎龍は弾幕を張る。激しい弾幕の中、二機の機体が舞う。
「そんなミサイル!」
蒼月はビームマシンガンを連射、紅月はその後ろから左腕の大型クローを突き出す。
「食らえ!」
紅の業火、道が開く。紅月は開いた道を突撃していく。
『おい!作戦が違うぞ』
「うるさい!」
そのまま直進する紅い機体。そしてその前に立ちはだかる白い機体。
「トオル、どけ!今はお前に構ってる暇は無い!」
だがバリスタ改は動かない。
「何とか言えよ!俺は・・・俺は・・・」
『渚』
トオルからの通信、渚はじっと聞く
『今の君一人には提督は撃てない』
「何!」
『一人・・・ではね』
「えっ?」
『ここは一時休戦だ。由井も居るんだろう?ここは三人で協力しよう』
渚は笑みを浮かべて、頷いた。
「分かった。作戦は考えてある,由井、トオル行くぞ!」
『『了解!』』
紅、蒼、白の機体が大空で、炎龍めがけて飛び立つ。激しい弾幕も簡単にすり抜けて。
「だめ、エッヂナイトの通信機能が壊れてる。恋那ちゃんの方は?」
「こっちもだめ。このままじゃ・・・」
二人は空を見上げた。空では地上と違い戦闘が続いている。
「今だに三機が戦闘を続いています。いかがなさいますか?」
一人の士官が提督に指示を求めた。
「大型剛圧砲の使用を許可する。」
「ですが、それを使ったら地上に居る部隊が・・・」
そう意義を申し出た士官。提督は銃を向け、引き金を引く
「もう後戻りは出来んのだ!このまま世界を我が手中に収めるのだ!もうためらいはない!撃つのだ」
士官達は元の場所に戻り、器用にパネルを動かす。
「剛圧砲、敵射程内です!」
炎龍は巨大な砲身を構える。
『渚、早くしないと取り返しのつかない事に・・・』
急に慌てだしたトオル。それを察した渚は訊ねた。
「どう言う意味だ?」
『あの巨大な砲身は日本軍が開発した新兵器・・・剛圧砲だ!』
「剛圧砲?なんだそれは?」
『簡単言えば君の機体に搭載されているあの紅い光だよっ!』
「超圧縮波動の事か?」
『多分、それだ』
「分かった」
渚はトオルとの通信をきり、由井とに通信に変える。
「由井、超圧縮波動砲は使えるな?」
『何とか』
「俺が合図したら撃て!」
『分かった』
通信を切り、渚の紅月は左腕の大型クローを前に突き出す。それにあわせ蒼月も砲身を向ける。
「たのむ、当たってくれ・・・・・・撃て!」
刹那
紅い光と蒼い光
その二つが押し合い、そして・・・
消えた。
「つぅ〜」
渚は頭を抑えながら紅月を再起動させる。
「炎龍は?」
渚は紅月を上昇させる。炎龍もそれなりのダメージを受けていたらしくあちこちに破損が見られる。紅月は頭部と左腕が破損、そのためハッチを開きながら上昇させる。
「あそこだ!」
紅月はそのまま炎龍艦内に潜入した。
機体説明
「炎龍」
全長 52m
日本軍が密かに開発した大型空中戦艦
巡航モードと人型モードがあり、従来の戦艦には無いシステムが搭載されている。新装備の剛圧砲は富士山を消滅させる程の威力を持つ。剛圧砲はトオルのバリスタ改にも装備されているが威力は炎龍が上