第一話 悪夢 復活
「元の日本へ・・・」の続編です。一応繋がるようにしています。
西暦2000年
日本は人型機動兵器「セルク」の開発に成功。
自衛隊は日本軍と改名、異常な速さで国々を支配していった。
それから八年後・・・
西暦2008年
一人の少年が立ち上がった。
彼の名は一ノ瀬渚
彼は私設武装組織「ナイトメア」を結成した。
だが彼らはあと一歩のところで敗れた。この戦いは「悪夢の戦役」と呼ばれた。
それから一年後の西暦2009年
渚は記憶を消され、ただの学生として過ごしていた。柊渚として
「ねぇ、兄さん?」
「なんだ?」
渚はバイクを滑走させながら後部座席に乗る双子の妹・柊恋那の方に首を向ける。
「学校抜け出した上に建設途中の新東京タワーに行こうなんて」
「お前だろ?一緒に行くなんていったの」
「そうだけどさ」
「だから残れって言ったろ」
「だってまだ建設途中なんだよ?」
「それは表向きの話、裏ではかなり大金が動いてるって話だ」
「どう言う意味?」
「要するにカジノ場になってるって話だ」
「ふーん」
渚達が住むのは東京都。つい最近まではナイトメアに占領されていたが軍の力で排除され、かなりの大金で街はたった一週間で廃墟から都市へと復活した。
「兄さん、見て」
恋那は大型モニターを指差す。渚も釣られてモニターを見る。
『あの「悪夢の戦役」と呼ばれる戦いから一年が経ちました。残存兵力は軍により殲滅されています。尚、首謀者の一ノ瀬渚の死亡は確認されています。』
「馬鹿だよね。一ノ瀬渚って」と無邪気に笑いながら恋那は言う。
「そうだな、着いたぞ」
渚と恋那はバイクから降りて、中央エレベーターに乗る。
エレベーターのドアが開くと、高貴な服を着た男などカジノをやっている
「わぁ、すごい」
恋那は感嘆を漏らす。渚はつまらなそうに辺りを見回す。
「こっちだ。」
渚は恋那の手を引いて、連れて行く
「学生がこんな所に来ちゃいけないじゃないか」
高貴な服を着た男が渚の前に立ち塞がる。渚は「ちっ!」と舌打ちして手を離す。
「いえ、僕も遊びに来たんですよ」
渚は身振り手振りで説明する。
「なら私とチェスをやらないかい?」
「商品は?」
「いいだろう。勝ったら100万をやろう、負けたらその娘を頂こう」
高貴な服を着た男は恋那を指差す。恋那は渚の後ろに隠れる。
「いいでしょう。その条件忘れないでください」
「ちょっと兄さん!」
恋那は抗議するが渚は無視をした。
東京上空
「さて、そろそろ到着か?」
「はい、由井さん」
由井達は今、作戦を開始しようとしていた。所有しているのは「セルク」と「べクセル」
他に新型が二機、全部で七機のみで他は歩兵部隊で編成されている。
「諸君、我々はこれよりナイトメアのリーダー、一ノ瀬渚を奪還する。諸君の働きに期待する!」
由井は堂々と告げた。団員からは歓声が上がっていた。
「チェックメイト」
これで五連勝、すでに渚は五百万と言う大金を手に入れていた。
「恋那を気に入ってるようですが、そろそろ諦めたらどうですか?」
周りからは「おぉ!」と歓声が上がる。渚は余裕の笑みを浮かべる。
「そうだな、そろそろ終わらせよう」
そう言うや否や男は懐から銃を取り出し、渚に銃口を向ける。
「腐ってやがる」
渚は誰にも聞こえないように呟いた。
「さようなら、少年」
男が引き金を引こうとした時だ。
ドォン!
突然、爆発が起きた。渚はそれを利用し恋那の手を引いて階段を降りようとした。だが階段は数機のセルクと数十人の歩兵によって塞がれていた。
「ちっ!」
渚は舌打ちをすると中央エレベーターに戻り、持ち物を全部恋那に預ける。
「恋那!お前はエレベーターを使え!俺は階段で行く!」
「ちょ、兄さん!」
渚は恋那の制止を振り切り、さっきの階段へ向かった。
階段の方は炎上し、さっきまで居たセルクの残骸などが残っていた
「軍がやられた?誰に?」
渚はその場で佇むと一機の機体が近づいて来た。その機体は渚に手を差し伸べる。
その機体を見た瞬間、渚を激しい頭痛が襲った。渚は膝をつき、頭を抑える。様々な光景が
渚の脳内を過ぎった。そして渚は立ち上がる。
「ロフティか?」
「はい、お迎えに上がりました。リーダー」
ロフティは渚の問いかけに応じた。
「思い出したぞ!俺は柊渚なんかじゃない、俺は一ノ瀬渚だ!」
以上で第一話は終了です。前作や今作の感想を頂けたら嬉しいです。