戦略的悪魔殺し
三人は、公園のベンチに座っていた。今さっき起きた出来事の原因を探っていたのであった。
「本当に、思い当たることはないのかい?ユキちゃん」
亮介が聞く。が、ユキは首を横に振るばかりであった。そのうちに栄一は数時間前に見た夢の話を二人にしようと思って口を開こうと思った。
「俺さ………」
言うか言わないかのその時、ユキが口を開いた。
「あっ。でも今日変な夢を見たの。今思えばそれが原因かもしれない」
その声を聞いて栄一はハッとした。ユキのその美しい話声に耳をより一層傾けるのである。
「今日、変な化け物に襲われる夢を見たの」
栄一はユキの目を見つめた。事によったら自分の見た例の夢と何らかの関係があるかもしれんと感じた。
栄一の憶測は見事に的中した。ユキの話によると彼女もまた例の化け物に追いかけられる夢をみたのだそうだ。
「…………見たよ。俺も」
ふいに亮介が口を開いた。
「まじかよ。全員同じ夢かよ」
栄一が力なく言うと亮介が驚いた様子になって声を荒げた。
「全員ってことはお前もか、栄一!!」
亮介が叫んだ。
「非常に、絶望的な夢だ。アイツとはもう会いたくないね」
「………怖い思いをしているのは、私だけじゃないんだね。なんか安心したよ」
と、ユキは言った。
「いや、まだ油断はできないさ」
ユキの落ち着いた声に、亮介は厳しく囁いた。
「これから、俺たちは奴を潰さなきゃ」