第一章
険しい森の中、一人の少女エリシアは追ってくる軍隊から逃げていた。
どのくらい走ったのだろうか靴が脱げ、素足となった自分の足は至るところに傷があり、泥まみれになっていた。
「ハァ、ハァ……………」
息は切れ、煌びやかなドレスも輝きを失うほど汚れ、スカートの裾が無造作に破れ足が隠れるほどの長さだったのが膝丈となっていた。
「待てーーーー!!」
「ハァ………………ハァ、」
背後からやってくる恐怖に恐れながら、走る足を止めない
「弓を射れ!」
シュッ!!
合図と共に弓矢がエリシアに向かっていった。
「ッあぁ!!」
木の根に足を引っ掛け転んだお陰で矢を交わすことはできた。
だが、追いついた一人の剣士がエリシアの首元に剣先を向けていた。
「これで、終わりだ」
「イヤッ!!」
エリシアは目をきつく閉じ、痛みが襲うのを待つしかなかった。
剣士が剣を振り上げ振り下ろす音が聞こえた。
だが、いつまで経っても痛みがこない、その代わりに金属と金属がぶつかり合う音がした。
「貴様、何奴!!」
軍隊の声と同時にエリシアが目を開けるとそこには、自分の前に軍隊の一人と剣を交える一人の青年がいた。
「ハァッ!!」
ザシュッ――――――――。
青年が、剣を振り上げ相手がバランスを崩した隙を付き、斬った。
「我ら、帝国軍に逆らうとは、馬鹿な奴め」
「その者を、引っ捕らえろ!!」
「ハッ」
軍隊の隊長の合図で10数人が青年に襲いかかる
「さぁ、手を取って!」
「はいっ!」
青年はエリシアに手を差し伸べると走り出した。
「この森の向こうに、僕のがある、そこまで頑張って!」