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エンドリア物語

「光の向こう」<エンドリア物語外伝52>

作者: あまみつ

 音が聞こえた。

 トントン。

 軽いノックだ。

「店長、起きていますか?」

 遠慮がちなシュデルの声。

 飛び込んでこないところをみると、命に別状はないようだ。

 睡眠続行。

 トントン。

「店長、起きていますか?」

 幻聴が聞こえる。

 トントン。

「店長、起きていますか?」

 身体を起こした。

「起きている」

 まだ、暗い。

 夜が明けるまで1時間くらいある。

 扉が開いて、シュデルが顔をのぞかせた。

「あの、すみません。店長に見ていただきたいものが」

 ベッドから降りて、部屋を出た。

「あれなんです」

 ムーの部屋の扉が開いている。オレの部屋の方に扉が開いているので、部屋の中は見られないが、漏れた光が廊下を照らしている。

 放置すると怪しげなものが桃海亭を徘徊することになる。

「閉めればいいだろ」

「それが…………」

 シュデルが言いよどんだ。

 しかたなく、ムーの部屋の扉のところまで行った。

「ムー、扉が開けっ放し………なんだ、これ」

 部屋がなかった。

 いや、あるのかもしれないが、それがわからない状態だ。

「いつもとは違うような気がして」

 シュデルが心細そうに言った。

 違うと言えば違うかもしれない。

 扉の先に光の板があった。

 部屋が光っているのとは違う。光を板のように固めたものを、扉のところにはめこんでいる感じなのだ。

 光が強くて中が見えない。

 部屋全体が光っているのか、それとも板に見える部分だけ光っていて中はいつもと同じかもしれないが、ここからだとわからない。

「おーい、ムー。中にいるのか?」

 返事はない。

 光の板を見た。

 似たものを見た記憶がある。板ではなかったが、光の色と輝き方が非常に似ている。

「店長、どうかしましたか?」

「シュデル、ここを見ろ」

 オレが指したのはドア枠の内側部分。

「これは!」

「そうだ。この光の板はムーの部屋からでていない」

 光の板は部屋の床の位置にあり、ドア枠のところにかかっていない。

 シュデルの顔が明るくなった。

「よかったです」

 オレは扉を閉めた。

 光が消えた。

「解決だな」

「解決です」

 嬉しそうにハミングをしながら、シュデルは自分の部屋に戻っていった。

 オレはあくびをすると、睡眠の続きを取るために自分の部屋に足を向けた。




「店長、困ったことがおきました」

「どうかしたのか?」

 青ざめたシュデルが店の開店準備をしているオレのところにやってきたのは朝の8時半。展示してある品物を、ひとつひとつ布で拭きながら状態をチェックしていたところだ。

「ハニマンさんの姿が見えません」

 オレは聞こえなかったことにした。

「店長」

 不安そうにオレを見ているが、無視することにした。

「昨夜はリュウさん達とチェスを楽しまれた後、シャワーを浴びて部屋でお休みになったはずです」

 リュウさんならいい。最近はリュウさん達なのだ。

 桃海亭が閉店すると、爺さんのチェス仲間が店になだれ込んでくる。最近はニダウの住人だけでなく、エンドリアの近隣の国からも爺さん目当てでチェスの達人たちがやってくる。

 昼間はニダウの町をフラフラ歩き回ったり、商店街の空き地でチェスを打ったりしている。それだけで満足しておけばいいものを、最近は閉店後の桃海亭の店舗部分で飲み食いしながら深夜まで打っている。

「もしかして、ムーさんの部屋に入ってしまわれたのではないでしょうか。それで、扉が開いていたとか」

「もし、うっかり入ってもあの爺さんなら大丈夫だ」

「異次元とか、亜空間への通路でしたら………」

 シュデルの顔がさらに青ざめた。

「その心配はないから、安心しろ。数日、いや、数ヶ月かもしれないけれど、爺さん、無事にリュンハに帰るさ」

 シュデルの表情が変わった。

「店長、何か知っていますね?」

「知らない」

「本当ですか?」

「知らな……おい」

「なんでしょうか?」

「この間、商店街のワゴナー会長がいるところで約束したよな?」

「なんの話ですか?」

「【モルデにオレを拘束するよう命令しない】だよ」

「約束しました」

「それなら、なんでオレの身体に巻き付いているんだ?」

 銀色の鎖がオレの身体にグルグルに巻き付いている。

 モルデと呼ばれる魔法道具の鎖だ。

「僕は命令していません。モルデが自主的に店長の身体に巻き付いています」

 鎖の端っこが、うなずくようにペコリと下がった。

「それで店長、あの光は何ですか?」

「知らない」

「わかりました」

 そういうとシュデルはオレに背を向け、食堂に戻っていった。

「わっ!」

 モルデがオレを持ち上げた。持ち上げた状態で、軽々と階段を上っていく。

「モルデ、オレが桃海亭の店主でオーナーで、つまりお前の持ち主はオレなんだ。魔法道具は持ち主の命令をきかなければならない。だから、モルデ、オレをおろせ。こら、命令をしたんだから、下ろさないと……わっ」

 ムーの部屋の前に行くと、モルデは鎖の端で器用に扉を開いた。

 真っ平らな光が現れる。

「待て!」

「モルデ、待って!」

 シュデルが階段を駆け上がってきた。

「シュデル、モルデに下ろすように言ってくれ!」

「店長、これを」

「へっ?」

 縛られた鎖の先にでているオレの手に、オレの背嚢とでかい布袋の端を握らせた。

「早いお帰りをお待ちしています」

 シュデルの言葉と同時に、モルデがオレを光の壁に向かって投げつけた。

「うわぁーーーー!」

 光の色や発色から予想はしていた。落ちてながら、やっぱ、ラダミス島の遺跡にあった瞬間移動装置を通り抜ける感覚に似ているよなあ、思った。




「げぇっーー!」

 落ちた場所は普通の空間だった。

 見慣れた岩や土に囲まれた地下空間。オレ達が生きている世界の、どこか違う場所に移動したのだということはすぐにわかった。

「最悪だぁ!」

 背嚢と袋を握りしめて、オレは逃げ回った。

 地下に広がる巨大な空間。

 天井は見えないくらい高く、でこぼこの岩と土で作られている。

 そこを白い巨大ムカデ、白い巨大ミミズ、白い巨大甲虫などが蠢いている。

 モンスターがいることは我慢できた。

 なぜ、オレが【白い】とわかったか。

「ピンク・サウザントエッジ・エイトーーー!」

 細かい無数の刃が頭上から降り注ぎ、オレは巨大ムカデの身体の下に潜り込だ。数枚の刃がムカデの身体を突き抜けて、オレの身体をかすめた。

「エアソード・ダブル」

 全身の毛が逆立った。

 巨大ムカデの死骸の上に飛び乗り、上方に向かってのびているムカデの足に駆け上がった。

 巨大な風の刃が、横に一閃した。

 群をなしているモンスターの身体が上と下とに別れた。続いて、上下にもう一閃。地面がまっすぐに切れた。

 ムカデの足から宙に飛び上がっていたオレは、地面に転がり落ちた。

「なに考えてやがる!」

 宙に浮かんでいる、巨大な発光球。

 その下にフワフワと浮かんでいるのは、ハニマン爺さん。

 爺さんの真下の地面にいるのは、チビの魔術師ムー・ペトリ。

「オレを殺す気か!」

「ほよっしゅ」

「いたのか」

 ムーも爺さんも白々しい台詞をサラリと言った。

「次いくしゅ」

「殺傷は好まないが、まだ死にたくないものでな」

 ムーが印を結んだ。

 爺さんが奇妙な魔法文字を宙に描いた。

「やめろぉーー!!」

 叫びながらも、オレは必死に2人の方に駆けた。

「ピンク・アイスニードル・シックス!」

 頭上に氷でできた長い針が浮かんだ。びっしりと隙間なく浮かんでいる。

 落下してきたら避けきれない。

 死にものぐるいで走る。

 風が動いた。

 針が落ちてくるのがわかった。

「スパイダーギャザリング」

 爺さんのところから光が無数に散った。オレの頭上を抜けるときに見えた。

 糸だ。

 極細の糸が落ちてくる氷の針に向かって飛んでいる。

 ムーのところにたどり着き、振り返った。

 モンスター達が停止していた。先ほどの攻撃で生き残ったモンスターも動かなくなっていた。

「針山だ」

 氷の針が、表面が見えなくなるほど密に打ち込まれている。ムーが作った氷の長針を、爺さんが放った糸でつかみ、生き残ったモンスターに打ち込んだのだろう。

 密に打ち込まれた針の先端がキラキラと輝いて、氷のオブジェのようだ。

「次、行くしゅ!」

「では、わしも」

 オレはムーの襟首をつかんだ。

「ほよっ?」

「おりゃぁーー!」

 浮かんでいる爺さんに、ムーを力一杯投げつけた。




「年寄りは労るものだと、いつもいっておるだろう」

 落ちたときに腰を打ったと、オレにおぶさっている爺さんが言った。落ちたというが、落下の時、風で緩衝させたのを見た。指摘したが『打った』と爺さんが言い張って、オレが背負って歩くことになった。

「ボクしゃんも、抱っこして欲しいしゅ」

「おれの手は2本しかない」

「4本になったら、抱っこしてくれるしゅ?」

「余った2本で、ムーを投げ飛ばす」

「ぶぅーーしゅ」

 天然の穴だから足場がひどく悪い。ムーの短い足だと厳しいのはわかる。

「匂いが届かなくなったら休憩にするから、そこまで我慢しろ」

 モンスターで作られた骸の山は、巨大な地下空間を埋めつくしていた。地面には血と体液が流れ、生臭い匂いが充満していた。

「もう、匂いしないしゅ」

「お前はずっといたからだ。オレはまだ匂いで吐きそうだ」

 幼児のようにぐずるムーをなだめながら、10分ほど歩いた。清浄な空気が満ちた空間にでたところで、爺さんを下ろした。

「休むぞ」

「ほいしゅ」

 ムーが腰を下ろそうとして、愕然とした。

「いないしゅ」

「いないな」

「痛いしゅ」

「あきらめろ」

 ムーの旅のお供、チェリースライムは荒れ地に座るときは椅子の代わりをしてくれる。突然の旅立ちだから、しかたない。

 オレの持っている袋が、グニグニと動いた。

「なんだ?」

 袋を開けて驚いた。チェリーがポォーンと飛び出した。

「チェリー、来てくれたしゅ」

 ムーの足下に着地すると、空気を取り込んで椅子サイズに膨らんだ。

「ほよしょ」

「便利なモンスターだ」

 そう言ったハニマン爺さんは、オレが持っている袋に目を移した。

「その大きな布袋は何が入っているのだ?」

「シュデルに持たされた」

「どれどれ」

「ちょっと、待てよ」

 オレの制止を無視して、袋の中身を漁っている。

「やはり、シュデルは気が利く」

 そういいながら、取り出したの蓋つきの瓶容器。スープが入っている。次に取り出したのはバターがはさんだパン。爺さんのコートと杖。追尾機能つき簡易発光球。

「シュデルには洞窟とわかっていたのかな」

「発光球は森の奥でも夜になっても使える。念のためと言ったところだろう」

 爺さんは自分が浮かべていた巨大な発光球を消すと、簡易発光球を輝かせて宙に浮かせた。追尾機能で勝手についてくるから非常に便利だが、価格が高い。シュデルには安い手持ち発光球以外は入れないよう厳重に注意しておこう。

 爺さんも上着を地面にひいて、腰をおろした。

 オレは袋から木のコップを三つ出してスープをわけた。パンをちぎって配る。腹ごしらえの朝食を取りながら、状況の確認となった。

「昨日の夜、空間移動の計算をモジャに見てもらっていたしゅ。モジャが帰った後、ちょっとだけ作ってみたしゅ」

「それがあの入り口の光だよな?」

「扉にペタリと貼りつけたしゅ。でも、扉にくっつかないで薄い板みたいになちゃったしゅ」

「つまり、失敗ということか?」

「はいしゅ」

「それで、なぜ失敗品を使ったんだ?」

「忘れていたしゅ」

「忘れていた?」

「トイレに行こうとして、扉を出ようとしたしゅ」

「目の前が光ってピカピカしているのに、そこに突っ込んだんだな?」

「はいしゅ」

 スパーーーンといい音がした。

「痛いしゅ!」

 ムーが頭を押さえていた。オレが手ではたいた場所だ。

「前を見ろと言っているだろう!」

「見てたしゅ!」

「見て突っ込むのか!」

「突っ込むしゅ!」

 ムーの鼻息荒い。

 隣に座っているハニマン爺さんが神妙な顔をして、笑いをかみ殺しているのが見えた。

「ムー、オレの前に爺さんにも言われたんだな?」

「言われたしゅ!」

「次からは気をつけてくれ」

「わかったしゅ!」

 頬をパンパンに膨らませている。

「落ちてから、どうなったんだ?」

「真っ暗だったから、火を出したしゅ」

「そこはライトにしておけよ!」

「何かがいたしゅ!」

「燃やしたのか!」

「ばっちりしゅ!」

 ムーの話を要約すると、闇に落下。動いている音がしたので、そっちに向かってファイアを打つと巨大な白いナメクジがいた。燃やすと次々とナメクジが集まってきて、それを燃やす。また、ナメクジが集まるを繰り返しているところに爺さんが落ちてきて、ナメクジを切り刻んだ。

 爺さんが発光球を浮かべ、ムーから事情を聞いていたところに、白ムカデ、白ミミズ、白甲虫などが、あちこちから集まってきて戦闘に突入したということらしい。

「爺さん、本当か」

「本当だ」

「殴ってもいいか?」

 爺さんが目を開いた。

「なぜ、わしを殴るのだ?」

「爺さん、自分から光に飛び込んだよな?」

 どうして光に気がついたのかはわからない。だが、光の板を見つけた爺さんはオレにもシュデルにも言わずにすぐに飛び込んだ。言えば、光に入るのを邪魔されるとわかっていたからだろう。

「理由は『面白そう』じゃないのか?」

 爺さん、好奇心が強い。遊ぶのも大好きだ。

「わしはムーを助けようと思ってだな」

「それほど優しい爺さんなら、なぜオレを攻撃したんだ?」

「何の話だ?」

「さっき『エアソード・ダブル』とかいう魔法を使ったよな。あれ、最初は横に一閃、次に縦に一閃だよな。横はモンスターの駆逐だとして、縦の攻撃目標は何だった?」

 爺さん、少し黙った。そして、グフグフッと怪しげに笑った。

「バレると思わんかった」

「殴っていいよな?」

「わしの話を聞けば、わしに礼を言いたくなると思うぞ」

「爺さん、往生際が悪いぞ」

「お前たちが海にバカンスに行っていたときのことだ」

 海にバカンス。

 海に……。

「あ、あれをバカンスって、ふざけるなよ!」

「そうしゅ!死ぬところだったしゅ!」

 目覚めたら外海で小舟に乗っていた。

 リュンハ軍がハニマン爺さんの命令でオレとムーを海に捨てたのだ。軍の施設を壊した恨みも上乗せされ、命令よりちょっと遠い場所だったらしい。

 近くの小島にたどり着き、フライの魔法で帰ってきたが、地獄の3日間だった。

 直射日光を遮るものがないので、大切な服を破いで頭を覆った。真水を手に入れるためムーの魔法で小舟の周りの海水を真水化した。喉を潤していると、半魚人がやってきて文句を言った。『クソ爺のせいだから、そっちに文句を言ってくれ!』と怒鳴ったら、すぐに消えた。

 ムーの体力がすぐにつきて、オレがひとりで櫂をこいで舟を進ませた。2日目の夜、岩のような小島を見つけ上陸。ムーが魔法陣を書いてオレ達がいる位置を特定。高速フライでエンドリア王国のミテ湖に着水。森で落ちていた枯れ枝を杖にして、ヨレヨレになって桃海亭に帰り着いた。

「バカンスに行っている間に、ウィルに客が来た」

「オレに?」

「休暇が取れたから、約束通り会いに来たそうだ?」

「会う約束、そんな約束していたかな」

「長身で引き締まった身体の渋みのきいたいい男だ」

「長身で桃海亭に………まさか」

 冷や汗がでてきた。

「わしも何度か会っておる」

「銀の短剣を持っている方ですか?」

「短剣は持っているようだったが、銀色かはわからなかったな」

 胸をなぜ下ろした。

「どなたで?」

「ブライアン・ロウントゥリーだ」

「やっぱり、そうかよぉーーー!」

「珍しく丸一日休めたから、ウィルとたっぷり遊ぶつもりだったと言っていた」

 たっぷり遊ぶ。

 どうやって遊ぶのかを考えると吐きそうになる。

「いつもの戦闘隊長の制服ではなく、ぴったりした黒い革のズボンと靴、銀色のタンクトップに、黒い革のロングコートをはおっていた。コートの裏には武器をぎっしりと仕込んでいるようだったぞ」

 オレを本気で殺す気だったようだ。

「ウィル、わしに言うことはないか」

「バカンスに行かせていただき、ありがとうございました」

「そうだろう、そうだろう」

 爺さんに礼をいうのは業腹だが、店にいたらロウントゥリー隊長になぶり殺しにされていた。

「隊長が来たのはわかった。でも、なんでオレに向けて魔法を打ったりしたんだよ。危ないだろ」

「ブライアン・ロウントゥリーが『なぜか、当たらない』と言っていたのでな」

「試してみた、なんて言わないよな?」

 右手を堅く握り込んだ。

 爺さん、ポケットに両手を突っ込むと、取り出したものをオレにヒラヒラさせた。

「汚ねぇーー!」

 セトナの護符だ。こいつを持っていると物理攻撃も魔法攻撃も受け付けない。

「爺さん、さっきムーに当たって落ちてきたよな。あれも演技だったんだな!」

 物理攻撃完全無効だ。

「さて、どうだったかの。年寄りは忘れっぽくていかん」

 シラッとしている。

「ごちそうさましゅ」

 ムーがスープのコップを地面に置いた。

「ムー、上をぶち抜いてくれ」

 無駄にでかい魔力は、こういう時の為に存在する。

「その前に場所を特定するしゅ」

「ニダウの地下だと困る」

 爺さんが心配そうに言った。

「リュンハを先に心配しろよ」

「そうだな。リュンハ帝国の地下でも困る」

 うんうんとうなずいている。

 自国がどこかを忘れないで欲しい。

「ほれほれしゅ」

 地面に魔法陣を書き始めた、オレは自分のコップを手に取った。

「ムー」

「どしたしゅ?」

「飲んだか?」

「飲んだしゅ」

 爺さんとのやりとりの間に、全部飲まれていた。

 蹴飛ばしたいが、脱出が先だ。

 ムーの書く魔法陣を見ながらパンだけかじっているオレの隣で、爺さんはうまそうにスープをすすっていた。

「熱いスープは身体が暖まる」

 魔法で温めたようだ。

「できたしゅ」

 空中に奇妙な図が現れた。

「これはいかん」

「まずいしゅ」

 爺さんが眉をひそめ、ムーが口をへの字にした。

「どうかしたのか?」

 オレの問いに同時に答えた。

「シェフォビス共和国だ」

「シェフォビスしゅ」

 シェフォビス共和国はエンドリア王国の北にある大国だ。隣国ではなく2つの国の間には国が3つくらいあったはずだ。

「シェフォビスだとまずいのか?」

「シェフォビスであることより、ケドモッテの真下であることが問題だ」

「ケドモッテ?」

 爺さんがため息をついた。

「少しは地理を勉強しろ。お主の知識量には温厚なわしでも涙がでそうになる」

「わかった。勉強する。それでケドモッテだとまずい理由はなんだ?」

「ケドモッテはシェフォビスの主要工業生産都市しゅ」

「少しでも傷つけたら、相手がどこの国でも報復をしてくるのは確実」

「エンドリアが消えちゃうしゅ」

「国家間の力の差は歴然」

「ここから上に穴は開けられないしゅ」

 ケドモッテを傷つけられないとすると、移動するしかない。

「そのケドモッテという町は10キロくらいあるのか?」

「そうだの、地図では全長30キロくらいかの」

 計算では徒歩半日で抜けられるが、洞窟内は入り組んだ迷路のようになっている。足場はゴツゴツだ。行き止まりで、戻ることを考えると簡単には抜けられない。

「モジャはいつ戻ってくる?」

「昨日、ボクしゃんの勉強をみて遅くなったから、4日後しゅ」

 シュデルが持たせてくれた食料は約2日分。減らせたとしてもギリギリだ。

 もし、この地下洞窟がモジャの探査範囲外だった場合、飢え死にしかねない。

「ムー、横穴を開けられないか?」

「ケドモッテは地盤がもろいしゅ」

「影響でるのか?」

「可能性あるしゅ」

 そうなると、洞窟内を移動するしかない。

 食事を終えた爺さんが、オレ達をニヤニヤ笑いながら見ていた。

 足場の悪い洞窟内を楽に移動する方法。

 幸い、この洞窟は広々とした空間が続いている。

 オレとムーは立ち上がって並んだ。

「すみません。オレとムーを連れて、飛んでください」

「飛んでくださいしゅ」

 同時に頭を下げた。





「うぎぇぇーーーーーーー!」

 吐いた。

 胃の中のものを全部出しても、吐き気は止まらない。

 目の前がグルグルして、気持ち悪い。

 数歩先の地底湖までヨロヨロと歩き、水に顔を突っ込んだ。

 顔を洗うと吐き気は少し収まった。

「ぐびゅ………」

 ムーは吐きつくしたあと、泉に半分顔を突っ込んでいる状態で停止している。うつろな目で横たわった姿は死んだ魚にそっくりだ。

「だらしないの」

 岩に腰掛けたハニマン爺さんが楽しそうだ。

 食事の後、オレ達が『連れて飛んでください』と頼むと、爺さんは快く了承してくれた。オレは荷物をまとめ、オレの背嚢に詰め込んで背負った。

 爺さんは右手にオレ、左手にムーの手をつかんで、飛んでくれた。

 荒れ地を進むには、歩くより飛ぶ方が効率がいい。ムーは飛翔魔法のコントロールがきかないが、爺さんなら普通に飛べる。

 問題だったのは、爺さんは爺さんだったということだ。

「………クソ爺」

「何か言ったか?」

「いえ、何も言ってません」

 通常、洞窟のような複雑な地形を進む場合は浮遊魔法に推進力を加える。慎重に周りを確認しながら飛ぶ。

 爺さん、いきなり高速飛翔に入った。周りを視認できるギリギリの超高速でぶっ飛ばした。柱や鍾乳石の間を縫うように飛ぶのだが、振り回されるオレとムーはたまったものじゃない。オレとムーの悲鳴が洞窟内を反響しているのに爺さん完全に無視。

 振り回されるだけでもおかしくなりそうなのに、行き止まりがあると、爺さん、垂直方向にUターンをかけたりする。勢いで内蔵が全部飛び出しそうになる。

 爺さんの飛翔魔法でかなりの距離が進めたが、オレもムーも飛翔酔いで動けない。

「ウィル、ちょっと来い」

 立ち上がって、爺さんの隣に行った。

 呼ばれた理由はわかっていた。

「わしは少し疲れた」

「オレは飛翔酔いで、まっすぐ歩けない」

「まっすぐ歩けなくても問題ないだろう」

「あるだろうが!」

 怒鳴って当然だ。

 オレ達が飛んできた方向から、白い芋虫のようなものがゾロゾロと現れている。数は十数匹といったところだが、大きさが人間くらいだ。

「まっすぐ歩けない状態で、あいつらを倒せっていうのかよ!」

 爺さんが魔法で倒してくれれば済む話だ。

「知らんのか?」

「何をだ?」

「あれはモンスターだ」

「見ればわかる」

「言語を解する」

「へぇー……いま、爺さん、なんていった?」

「言語を解する友好的なモンスターだ。少しだけ休ませて欲しいと頼んでこい」

 それならば、まっすぐ歩けなくても問題ない。

 オレはモンスターの近くまで言った。

「あのすみません」

 飛びついてきた。開いた口は真っ赤で、ギザギザの歯がびっしり見える。

「うわぁ!」

 飛び退いた。

「ちょっと待ってください。オレ達は………」

 別の一匹が口を開けて飛びかかってきた。避ける。

「爺さん、本当にこいつら……」

「嘘に決まっておろう」

 グフッフッと楽しそうに笑っている。

「何を考えて、おっと!」

 必死に避けながら後退する。

「わしのことを『クソ爺』と言っただろう」

 地獄耳はオレの呟きをとらえていたらしい。

 オレのいつものようには動けない。ムーはまったく動けない。

 オレは残った力をかき集め、全力で爺さんのところに戻った。そして、爺さんをつかんで、芋虫の中に投げ入れた。




「ローブが汚れるところだった」

 爺さんが文句を言った。

 ムーが動けるようになり、吐きながらも位置特定の魔法陣を書いている。

「金持ちなんだから、そんな安物のローブ、また買えばいいだろ」

 オレが投げた爺さんは、途中で空中に停止し、そのまま芋虫に魔法攻撃を掛けた。芋虫は燃えるというより、黒い煙を残して蒸発した。

「何を言う。桃海亭が貧乏だということを知らないのか」

「知っている。って、そのローブ、桃海亭の金で買っているのかよ!」

 大帝国リュンハの前皇帝のお召し物を、貧乏古魔法道具店が買わなければならない理由をオレには考えつかない。

「それにしても、ホワイトモンスターがよく出現する」

 爺さんが蒸発したモンスターの辺りを見ながら言った。

「ホワイトモンスター?」

「地下にいる中型から大型の白いモンスターの総称だ。ホワイトモンスターは生物界のルールであり得ないモンスターだ。栄養分の少ない深い地下で大型化や群棲ができるはずがない」

 爺さんが眉を寄せた。

「できたしゅ……」

 弱り切っているムーが、魔法陣を発動させた。

 さっきに比べて、映像がブルブルと震えている。

「ふむ、さらに厄介になったな」

「……もう、ダメしゅ」

 ムーが地面に突っ伏した。

「ケドモッテは抜けたのか?」

「抜けた。ただ、抜けすぎた」

「はぁ?」

「北に移動しすぎた。シェフォビス共和国を抜け、北の中立地帯だ」

「中立地帯?」

「氷の地のことだ」

 ルブクス大陸最北の地だ。人が住むには適さないが領土争いの種になるので、大陸の国々が集まって国家による所有を認めないことになった。個人が住むのは勝手だが、法がない地域なので、自分で自分を守れない人間は住めない。

 住んでいるのは、無法者と呼ばれる人々か、変わり者の魔術師達だ。

「氷の地なら、ムーが穴を開けても問題ないだろ」

「あるから困っておる」

 オレが首を傾げると、倒れているムーがつぶやいた。

「【氷の女王】がいるしゅ」

「【氷の女王】?どんなモンスターなんだ?」

「モンスターではない。コーディア魔力研究所で氷魔法の研究をしていた魔術師だ。5年ほど前、氷の地に住み着いた。そこに氷で城をつくったことか【氷の女王】と呼ばれている」

「氷の地はでかいだろ。穴をひとつ開けても文句を言われるのか?」

「様々な実験を行っているのだが、コーディア魔力研究所を追い出されたほど危険な実験らしい。穴を開けた場所が実験場だと通り抜ける我々が危険にさらされる」

 オレは上を向くと、大声で怒鳴った。

「魔法協会!危険な魔術師は牢に放り込めよ!そのためにあるんだろ!」

 爺さんがグフォフォと笑った。

「そうなると、そこに転がっているのが最初に牢に行くことになるな」

「ムーは牢に入れてくれてもらえないんだ」

「考えれば、もっともだな」

 そういって、またグフォフォと笑った。

 倒れているムーと岩に座って休憩中の爺さん、それとオレ。

 次はどうしようかと考えていると、爺さんがいきなり立ち上がった。

「ウィル、いま何時だ?」

「エンドリア王国の時間でいいのか?」

 ルブクス大陸のあちこちにいきなり移動するので、オレの体内時計はエンドリアのニダウに固定してある。

「正午頃か?」

「16日の午後2時少し過ぎたところだな」

「いかん!」

 爺さん、ムーの両肩をつかんだ。

「起きろ、起きるのだ。ムー・ペトリ」

 ムーは揺らされて、また口を押さえた。

「爺さん、まてよ。ムーは酔っていて」

「約束があるのだ」

「約束?」

「夜の7時に人が会いに来るのだ」

「誰なんだ?大切な用事なのか?」

「ニール・ヴォーン」

 記憶にない名前だ。

「タチグフのチェスチャンピオン、変わった手を打つことから【チェス界のキマイラ】と呼ばれておる」

「もしかして、大切な用事っていうのはチェスを打つことか?」

「当然だ」

 あきれているオレに、爺さんはなぜか胸をそらした。

「遠いタチグフから来られるのだぞ。全身全霊を持って相手をせねばなるまい」

「そのタチグフって国、どこだよ。聞いたこともないぞ」

「キデッゼス連邦の南の国だ。小さいがチェスの達人が多い国だ」

「爺さん」

「なんだ」

「いま、キデッゼス連邦と言わなかったか?」

「言った」

「ダメだろ!」

 爺さんの国リュンハ帝国とキデッゼス連邦は長年にわたって領土争いを繰り返していた。爺さんの代で平和条約が結ばれたが犬猿の仲であることは変わりない。

「大丈夫だ」

「いや、絶対にダメだろ」

「わしは【桃海亭のハニマン爺さん】だ」

「顔でバレる」

「キデッゼス連邦の一市民が、わしの素顔を知っているはずがない」

「チェスがうまいなら、爺さんが得意な手筋とかあるんだろ?そこでバレるだろ」

「わしがチェスを打つのを知っているのはリュンハの一部の者だけだ。皇帝に勝つわけにはいかないと誰もまともに相手をしてくれん。他国の強者とやりたくても、皇帝が負けるわけにはいかないと打たせてはくれなかった。リュンハではチェスの師範達を相手に打つくらいなものよ」

 どこか寂しげに言った。

「わかった。早く帰れる方法を考えて……」

 爺さん、ムーを引き起こした。

「ほれ、真上に穴を開けろ」

「まてよ。実験場があったらまずいんだろ?」

「わしはお前たちと違い運が良い。実験場に当たることはない」

「オレ達もいるんだけど」

「大丈夫だ。ほれ、穴を開けろ」

 揺らされたムーが口を押さえた。

「爺さん、無理だ」

「穴をあければ、あとはわしが外まで連れて行く」

 死んだ魚の目をしたムーがつぶやいた。

「………どくっしゅ」

 ユラリと立ち上がると、上に向かって特大の魔法を放った。

 かなり斜めになっている。

「行くぞ」

「いや、オレとムーは後から…」

 逃げようとするオレとムーの手をつかんで、爺さん、一気に上昇した。

 地層を何万年分か一気に観賞した後、空中に飛び上がった。

「ほれ、大丈夫だっただろう」

 爺さんのいうとおり、実験場にはあたらなかった。

「大丈夫と言っていいのか………」

 氷の城だったらしいものが、粉々に壊れている。

 ムーが開けた穴の縁には、40歳くらいの女性が上を向いて何か怒鳴っている。

「気にせんでいいだろう」

「ゲボォーーーーしゅ」

 ムーが吐いた。

 限界だったのだろうが、まっすぐに落ちていった。

 オレはすぐに顔を上げた。

 落ちた先は見ないことにする。

「さて、桃海亭に帰るぞ」

「爺さんの飛翔スピードだと数日はかかるだろ」

 いくら高速飛翔ができても、限界はある。

「推進力はここにある」

 ぐったりしているムーを目で指す。

「まさか」

「ムー、桃海亭に帰りたいだろう?」

 ムーが力なくうなずいた。

「保護魔法とフライを頼む。コントロールはわしがやる」

「ま、待て、よ……爺………さん……わぁーーーーーー!」




「爺さん、どうしている?」

「シャワーを浴びられた後、サンドイッチを召し上がって試合に行かれました」

「ムーは?」

「そこに」

 食堂の床に転がっている。ゾウさんのコップに刺さっている長いストローをくわえているところをみると、水分補給中らしい。

「あの………」

 シュデルがそわそわしている。

「試合見たいんだろ。行ってこいよ」

「いいですか?」

「店番はオレがしておく」

「終わったら、すぐに店番かわります」

 シュデルが足早に食堂をでていた。

 右腕にはクッションを抱え、左手には水筒を持っていた。

「どうせ、今日は客は来ないだろ」

 オレ達が帰ってきた時、爺さんがいないと商店街は大騒ぎになっていた。爺さんが戻り、試合が行われることが決まると商店街は祭りのような騒ぎになった。

 今頃、商店街の空き地周辺は観客でいっぱいだろう。

 扉が開いた。

「桃海亭はここでいいのだろうか?」

 広いツバの帽子を目深にかぶり、長いコートを着ている。

「はいそうです。いらっしゃいませ」

「先日は挨拶もしないで失礼した」

 帽子を脱いだ顔を見て、オレは驚愕した。

「もしかして、先日の件ですか?」

「君たちが【クソ爺】に苦情を言うようにといったので、【クソ爺】について知り合いの魔術師に聞いたところ、特定の人物を指すのではなく、男性の老人をおとしめる呼び名だと教えてもらった。君たちの容貌と服装を伝えたところ、【桃海亭の極悪コンビ】だろうから、桃海亭に言って【クソ爺】が誰のことを指すのか直接聞いた方がいいと教えてくれた。【クソ爺】とは誰のことなのだ?」

 オレは遠方から来た客に椅子をすすめた。

「オレ達が【クソ爺】といった人物は、この桃海亭に住んでいるのですが、いまちょっと出かけています。しばらくすれば、戻ってきますから、好きなだけ苦情を言ってください」

 半魚人が首を傾げた。

「ここに住んでいるのか?」

「まあ、色々ありまして」

「広域淡水化の理由は、君たちに聞いた方がいいのだろうか?それとも【クソ爺】に聞いた方がいいのだろうか?」

「それは【クソ爺】に聞いてください。戻ってくるまで、楽にしてお待ちください。今日はこの騒ぎで客も来ないと思いますから」

「わかった。待たせてもらおう」

 半魚人が椅子に腰掛けた。

 外でどよめきがおこった。

「【クソ爺】が留守なのは、外の騒ぎと関係あるのだろうか?」

「チェスの試合がありまして……」

 チェスと聞いた半魚人の表情が変わった。

「もしかして、チェスが好きなのですか?」

「たしなむ程度なのだが」

 落ち着きなく、外を気にしている。

「まだ、始まってまもないと思います。【クソ爺】が帰ってくるまで見てきてはどうでしょうか?」

「そうか、では、またくることにしよう」

 帽子を目深にかぶって、外に出て行った。

 その後も、店番をしていたが客は来ず、閉店になったので明かりを落として、ムーをシュデルが作っておいてくれた栄養液と一緒にムーの部屋に投げ込んで、シャワーを浴びて寝た。




「なんだ、これ」

 チェスの試合の翌朝、階下に降りたオレは驚いた。

 泥酔した人々が廊下から食堂、店の中も埋め尽くしている。

 オレの裾を誰かがつかんだ。見ると、金物屋のパロットさんが仰向けでヘラヘラ笑っている。

「ハニマン…さん………やった…」

 パロットさんの手から力が抜けた。目を閉じて、いびきをかきだした。

 爺さん、チェスに勝ったらしい。

「すごい、すごいよ、あんた!」

 食堂のテーブルに酔いつぶれて突っ伏している爺さんの肩をパンパンたたいているのは、隣に座っている半魚人。帽子もコートも脱いで半魚人本来の姿だ。かなり酔っているようで青い肌が紫色になっている。

 爺さんの逆隣に座っているのは太った男だった。キデッゼス連邦の方で好んで着られる服装なので、タチグフのチェスチャンピオンのニール・ヴォーンだろう。

 寝ている爺さんの耳元で囁いている。

「勝ち逃げは許しませんからな。次の試合はいつにしますかな。来月のタチグフのチェス大会にはぜひゲストとして出場していただきたい。今回の対戦は小手調べのようなものです。本気を出せば、いや、本気でなかったというわけではないのです」

 囁きは当分続きそうだ。

 店に移動して、頭を抱えたくなった。

 商店街の主要なメンバーが酔って転がっている。

 ほっぽりだすわけにもいかないが、転がしておくと店が開けない。オレが頑張って店を開けても、商店街の店主達の多くがこの状態では開店する店がいくつあるかわからない。

 オレは店に貼ってあるカレンダーを見た。

 赤で丸印がついている日がある。爺さんの迎えが来る日だ。家出の前回と違い、今回は期限が切られている。

 あと11日。

 11日間耐えれば、平穏な生活( ムーつき )に戻る。

 爺さんがおとなしく帰りますようにと祈っているオレに、酔ったリュウさんの声が聞こえた。

「ハニマンさん……ずっと……いてくださ……い…ずっと……」


 

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