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#18 理由

「望さん、ハクちゃん!」


 望の元にかけよろうとする巴に


「俺は大丈夫です。それよりハクを……」


そういうと望は意識を失った。


ずりずりずり


 巴は考えた結果、望をハクの横に引きずって行って、二人まとめて面倒を見る事にした。望とハクの手当てをする巴は、いつの間にか目の前に立つ見届ける者と視線がぶつかった。


「助けて頂いてありがとうございます」

あらがう者よ、お前の生きる意思がお前自身を救った」

「なぜ、私が狙われたんですか?」


 見届ける者はタバコを取り出し火をつけた。その視線は意識を失った望に向けられる。


「理はいまだ二又瀬 望の存在を赦してはいない。故に事象の因果はこれからも奴の死の選択を選び続けるだろう。二又瀬 望は自らの意思と選択で理を整合させねば、いずれ必ず死の選択肢を選ぶ事になる」

「そんな事は絶対にさせない!」

「ふっ、だからだ」

「え?」


 紫煙を吐き出し、見届ける者が巴に向き直る。 


「だからお前は命を狙われた。二又瀬 望の存在を消すにはお前の存在が不確定要素で、それだけ事象の因果の選択が不明瞭にならざるを得ないのだ」

「私が望さんのそばにいる事で、望さんが助かる可能性が高くなるって事?」

「それは同時にお前の生の選択肢を狭める事にもなる。今夜の様にな」


 巴は今宵、命を狙われる恐怖と孤独をイヤと言う程味わった。


「私一人では何も出来なかった……何もできなかった私を望さんやあなた達が助けてくれた。だから今度は私が望さんを助けたいです!」


 巴の瞳に力強い意思の灯火が宿る。


「だからこれからもよろしくね、けんちゃん!」

「け、見ちゃん??」

「そう、見届ける者さんって言いづらいし、だいたい女性読者(いればだけど……)は、そのネーミングセンスにドン引きしてるわよ。だから見ちゃん!」

「ちょっと待て。俺にもイメージ的なものが……こうシュールな感じとか」

「却下、はやらないわよ。そんなの」


 見届ける者に笑顔を向ける巴の表情は朝陽に彩られ輝いた。


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