表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
死ねば諸共  作者: 助
3/6

「我思う、故に我在り」

自分は疑いたくないのだ。

谷地と会った帰り道で、間宮は少し考え込んだ。

あの目は自分に向けてはいなかった、なら誰に向いていたのだろう?と

後ろを向いても何もいなかったし、谷地はほんの一瞬そんな目をしただけで後はいつもと変わらない。

自分のみ間違えだったのかと思わざるを得なかった。


谷地との会話が長く辛かったからか、だいぶ体が重い。

今日早めに帰らないと神父としての仕事も山のようにある、雨だからと言って休みなどないのだ。




「すみません、紙を落としましたよ」




間宮はうっかりしていたのか、地図を落としてしまった様だ。

しかも、それを拾ったのは男子高校生。

光景を見て間宮の背中には冷たいものを感じた。

手には木製の数珠、まだ疑いをかけるのは早い。

そう思い、間宮はにこやかに礼を告げ、立ち去ろうとした瞬間だった。

男子高校生の口から思いもよらない言葉が出たのだ。



「絹見寺に行かれるのなら、ご一緒致しますよ。神父様。」



見据えた目の先には真実ではなく虚偽を語る。

高校生は間宮の事を知っているようだが、今日は礼服ではないし当てずっぽうである可能性があった。

間宮は慎重さから手の平を返し、剽軽者を演じるが高校生は動じず微笑んでいる。

よほど肝が据わっているのだろう。



「回りくどい言い方はしません。一度、腹を割って話しませんか?」

「何言いたいんだ…」


高校生は顔をしかめて間宮をにらみつけた。


「僕の仕事を邪魔しないでいただきたい。はっきり言って迷惑です。

 宗教だか何だか知りませんが、勝手に僕の獲物を先々で成仏させて。

 何がしたいんですか?あなた方は転生や払い専門でしょう。殺生な事はしないで頂きたい。

 第一、あなた方には関係無い事でしょう。教えが違うのですから。」


間宮は高校生が言いたい事が分からない。

完全に勘繰りを入れられているからだ。



「言っておくぞ、生意気な男子高校生。俺には「魂」は払えない。」



すると、高校生は鼻で笑い飛ばし。

嘲る様に間宮にこう言い放った。



「…馬鹿を仰らないでください。あなた間宮の血筋なのでしょうに。」

「……俺は、間宮の血筋じゃない。先代は俺の義父だ。」



高校生は外れた事に驚いていた。

なぜだろうと頭を交錯させているが、当然答えなどどこにもない。

すべて自分が正しいのだと思い込んでおり、それを疑う自分が怖いのだ。



「じゃあ、どうして。間宮の神父なのです?

 血筋じゃないと、後継ぎは出来ない筈です。」



高校生は正気に戻った顔をする。

己を疑った己を肯定する事が出来たからではなく、新たな疑問が生まれたからだ。

それは、自分と同じ立場の間宮がどのような行動をとったのか知りたい、好奇心からでもあった。



「先代の子をこの手で殺したからだ。」



高校生は顔が真っ青になった。

きっとそれが真実なのか、それとも冗談なのか今の高校生の彼には分らないことだった。

本当に、ありがとうございました。

投稿にだいぶ時間が空きましたが、2日に一度は出したいと思っています。

すみません。


コメントいただけると、ありがたいです。

(例:セリフが多くで読みにくい。/セリフをもっと出してほしい)

(例:解説がほしい/話をもっと具体的に)

我儘で、すみません。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ