「対岸の火事」
きっと、誰もが他人事の様に思っていたんだ。
あれからと言うもの、よく雨が降る。
雨が降る中での仕事はとてもやりずらい。
仕事中はニコチンが切れても、煙草が湿気っていて全く美味しくない。
勿論、神父の仕事だけ。
逆に、悪魔祓いの仕事は仕事が捗る。
「水鏡」と呼ばれるものを使い、あちらの者を見つけ出し祓う。
間宮にとって、この仕事は神父より歴が長く慣れた仕事だが、
何度も何度もあの情報屋に遭わなければいけないのは少し骨が折れるようだ、
「間宮、嬉しいなぁ。本当に約束守ってくれたんだ。」
薄ら笑いを浮かべているのは「谷地 優(やち すぐる)」。
間宮より1つ離れており、悪魔祓いを始めてからの付き合いだが
谷地は完全に間宮の事を気に入っており、間宮は谷地の事が大嫌いという真逆な2人。
そんな2人は顔が見合わせた時も反応は違うようだ。
間宮は顔があった瞬間から苦い虫を噛んだような顔をしているが
谷地はずっと間宮の顔を見つめ笑っている。
「俺がいつも破ってるみたいな言い方やめろ。いちいちムカつくんだよ、お前。」
「そんなにイライラしないでさぁ。そうだいい女の子紹介しようか?可愛い子いるよ~?
本当に付き合わなくてもさ、夜のお供にどうですか~?あ、それともコッチ?」
「おい」
「そう怒るなよ久々の再開なんだからぁー、もっといい顔してくれてもいいじゃん?
まぁ、今は神父様だし性目的の話はご法度だったかな。覚えとこー。」
谷地は間宮と会う時、必ずと言っていいほど間宮を怒らせるように努力している。
それは、彼の優しさでもあり短所でもあるが谷地は気づいていないようだ。
仕事の話をする前に、雑談を数十分。
話が本筋からズレてい行くのに苛立ちを隠せない間宮は、感情に身を任せ
谷地の目の前へと立ちはだかり、見下ろしたままでつらつらと言葉を連ねた。
「長々とお喋りしてる暇ないんだよ。久しく会ってなかったから仕方ないが
これは私情じゃ無い。仕事だそれを分かってるのか?」
説教じみた事を言ってしまったと内心後悔していた。
だが、きっとそれはこの仕事に誇りを持っているからだ。
「…分かった、俺の仕事である情報提供を致しますー。
まず、丁度3日前に「絹見寺」の後継者が見つかったようだけど
どうもその後継者がいわく付きのようで、寺の後継者として認められていない。
ですがかなりの実力者みたいで。間宮みたいに悪魔祓いの様な事が出来るってとこ…。
まぁ、その後継者が払っているものは悪魔じゃなくて…「霊」なんだ
しかも、それが厄介なことに「魂」。」
谷地の述べたことに全くと言って意味が分からなかった訳じゃない。
ある一説には、「体・魂・霊」として三分割される。
「体」はこの世に実体しているものを表すことで、
「魂」は想いや心を表すこと、
「霊」はこの世に存在していない、非実体の事だともいわれている。
この何が厄介なのかが間宮はわからなかった。
「間宮も知っているだろー、体と霊の間の話。
体と霊は真逆の意味を持ってるだろ?だが、その間の魂は霊じゃないから
祓うことはおろか、意思の疎通で乗っ取ることができる。
だから、祓うことはほぼ無理に等しいのになぜその後継者はできるのかって理由は
実際の所、今は何もつかめてないんだけど…「絹見寺」の位置だけ教えておくよ。」
いつも、谷地は他人事の様に笑っているから事の重大さが、時々わからなくなる。
谷地は腰のポケットから、地図を取り出し間宮に手渡した。
手書きの地図で、女性のように綺麗な谷地の字を見て母親の事を少し思い出してしまった。
俺を捨てた後、母親はどうしているのだろうかなんて事、等の昔に置いてきたはずなのに。と
間宮は深く意味の無い事を考え込んでしまった。
谷地のニマニマする顔を見て、間宮はまた顔が引きつる。
「間宮、また今度飲みに行こう。」
唐突に放たれた言葉の先には、少しぬくもりを感じる一方で何か
やっぱり、良からぬ事があるのだろうと思うほど、この世の中何を信じればいいかわからなくなるのだ。
だが、その意味は不意に顔を見せた。
なぜなら、その時の谷地の冷めた様な目は…………
…………完全に間宮には向いていなかったのだ。
※一度、2話を出しましたが気に入らないので削除いたしました。
毎回毎回、短いお話で申し訳ない。
読みにくい小説で申し訳ありません。
ブクマうれしいです、涙でそうです。
読みずらい小説読んでいただきありがとうございました。