「序章」
きっとこの世界にすべてを疑問を投げかけるとこは、すべてを否定しているんだ。
人が人を虐める。
きっとそれは、自己防衛と簡単な言葉でまとめる者もいるだろう。
だけど、「何と醜い生き物だろう。殺してしまえ。」と簡単に吐いてしまうような神。
それが、この男の崇めるべき神様「シグマ」、すべての結末を語る存在。
そんな唯一無二の神を崇める存在の男は、喫煙もするし1年前はアル中。
勿論、今でも酒癖は悪い。
だが、「シグマ」の禁忌はたった5つである。
一つ性行為。二つ自殺行為。三つ怠慢行為。四つ感傷。
そして最後の禁忌が恐ろしい、「シグマの愚弄」である。
うち、この男は2つ破っている、
喫煙による自殺行為、朝寝坊による怠慢行為。
禁忌を破ってしまった場合のペナルティは、「精神を蝕む悪夢」だ。
常人がこれを犯したのを一度見た事があるが、とてもじゃないが人間とは思えないほどに
人格は崩れ、体はストレスでボロボロだった。
きっと、この男はストレスに強いんだろう、そうとしか思えなかった。
間宮が牧師から神父になって3年。
主な仕事は、教会の結界を張り「シグマ」を守ることだ。
「おい、糞天使。」
「間宮さん…今日はお早い…ご来店で…」
この天使は、間宮が初めて浄化した天使である。
「シグマ」の下で人間に恋し、人間と天使の子を産ませ天界より堕天した者だ。
今は、間宮の寿命を与え。「シグマ」への祈りを捧げ「マナ」を生成させている。
昼間は「エル」と言う偽名を作り、知り合いの煙草屋で働かせている。
「お前、礼拝堂に来なかっただろう。今月のノルマを達成できなかったらお前を火で炙る。」
「ひぃっ!…あ、悪魔の炎。」
間宮がいつものように、催促の会話をしていると。
奥から小さな影がこちらへを足音を立てて向かってくる。
「神父様、おはようございます。今日も祈りを捧げます…。」
「…汝に祝福あらん事を。」
「にひひ、おはよう。間宮さん」
「おはよう、憂ちゃん。」
この小さな少女は、この煙草屋の看板娘「五木 憂」。
産まれ付き、心臓が悪く小学校に通えおらず代わりにエルと一緒に煙草屋を手伝っており。
心臓の病気は、医学的な病ではなく神霊的なものであるから病院ではなく教会に通っている。
「それで、今日は煙草?取り立て?」
「どちらもかな、コイツ。礼拝堂に来ずにどこで油を売っていたのかを突き止めに。」
「間宮さん、許してください。本当にごめんなさい!!」
エルは間宮の前で両手をついて、頭を下げ謝っている。
そんなエルに間宮は何も感じなくなっているのは、きっと「シグマの禁忌を犯した事」による
罰なのか。
「お前、次遅れたら本当に火炙りだからな。」
捨て台詞を吐いて間宮が煙草屋から出で行こうとした時。
目の前を通る陰に目を配った。
それは人間ではなく、何か霊的な何かを感じざるを得なかった。
真っ白い肌に真っ白い髪の毛、現実ではありえないほどの白さを目の当たりにし間宮は固まっていた。
それは、恐怖にも似ていて何か間宮と同じような臭いがしなくもなかった。
店の前で呆然と突っ立っている間宮に、慌ててエルが声をかけるがエルの声は間宮の耳には入っていなかった。。
間宮の目はエルには向かず、その人間を見つめていた。
「間宮さん、大丈夫ですか?」
不意に聞こえてきたエルの声に少し肩を動かし、ゆっくりと声の方に顔を向け
軽く挨拶を返しその人間とは違う方向の教会へと、足を進めた。
さっき、居た人間は何だったのかと頭の中で耕作させながら少し重い足を前へ前へと出した。
最後まで、ありがとうございました。
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