悪魔に出会う前の僕
みなさん始めまして、初めての投稿になります朝比奈と申します。
一体どれだけの方の目がこの作品をお読みになるかは見当もつきませんが
さほど多くないことは、考えずとも分かります。
私は精一杯書いておるつもりですが、文才のある方が見れば鼻で笑える程度の
文章能力ですから、どうぞ温かい目で見ていただけると嬉しいです。
今年度で高校生になり、忙しくなるとは思いますが、この小説は最後まで書き切りたいと思っています!
どうぞ最後まで見てやってくださいm(__)m
___『人は死んだら何処に行くんだろう』
僕はふと、そんな疑問に駆られた。
生きる意味も将来のことも考えずに、何と無くそんな事を考えた。
僕の周りには、誰も居ない。家族も友人も先輩も後輩も、誰も居ない。
ここは学校だというのに、僕の周りには静寂だけが流れていた。
きっと、今僕が死んだとしても、誰も気に留めないのだろう。
気に留めるとしたら、健二と若松あたりだろうか。
言っておくが、健二も若松も別に友達などではない。
僕を苛めているグループのリーダー達だ。
二人とも頭はすごくいいのに、性格はひねくれている。
頭がいいが故の悩みというものがあるらしく、その全てを僕で発散していた。
そんな相手しか、僕の死を気に留めるものがいないのだ。
それが僕、高野 弘行の唯一の対人関係なのだ。
小3の時、母親が亡くなって、親戚の叔母さんの家に放り込まれた。
その際に小学校も転校して、もともと住んでいた田舎とは比べものにならないような都会に引っ越した。
叔母さんは初めこそは優しかったがだんだん僕のことが邪魔になってきたらしく態度も対応も以前とは比べものにならない程に冷たくなっていた。
父も仕事が忙しいという理由で滅多に顔を出さなかった。
たまに会えたと思ったら疲れているから話しかけるなと邪険にされ
そんな父を思ってお酌をすると、酔っ払った勢いで
「俺には新しい家族がいる。だからお前は邪魔だ。」と聞かされた。
その言葉にショックを受けて何も言えずにいる僕を、おばさんは慰めることもせず
ただただ嫌なものを見る目で、さらに僕の心に追い打ちをかけるだけだった。
その日から僕は家にいる時間はなるべく迷惑をかけないように部屋にこもるようになった。部屋にこもって何をするわけでもなく、無我夢中で勉強をした。
少しでも父や叔母さんに認めてもらおうと必死だった。
分からないところは直接先生に聞き、家に帰るとひたすらワークを解く。
遊びも習い事もせずに、ずっと部屋にこもりっぱなしで、黙々と勉強に取り組んだ。
そして僕は、当たり前のようにテストでいい点をとった。
いつの間にか僕の周りには、友達と呼べる存在は一人もいなくなっていた。
高校受験は、県内の一番レベルの高い進学校を選んだ。
金銭的な面で、叔母さんに相談すると、快く応援してくれた。
叔母さんは、勉強の面に対しては、やけに気前がよかった。
参考書を買うお金はあるか、新しいワークはいらないか、塾に通ってみないか。
僕の成績を上げるために必要なものは、なんでも買い揃えてくれた。
その結果、高校入試を一位で合格。
叔母さんも鼻が高いと上機嫌で、近所の人を誘ってはお茶会を開き
自慢話に花を咲かせていた。
僕は、高校に入学してからも変わらず勉強をし続けた。
朝登校すれば、授業が始まるまで予習をして
夕方家に帰れば、部屋にこもって復習と予習を毎日繰り返す。
そんな平凡な毎日に、僕は満足していた。
そんなある日、僕はふと父のことを考えた。
父と最後に顔を合わせたのはいつだっただろうか。
父の声を最後に聞いたのはいつだっただろうか。
何もかもがあやふやで、父のことをなに一つ思い出すことが出来なかった。
「 父さんって、どんな顔だったっけ?」
今どこで何をして、誰と過ごしているのかも分からない人が
顔すらも思い出せない人が、自分の父親だということが
何だかとても馬鹿馬鹿しく、とても切なく感じた。
「父さんの名前って、なんだっけ?」
僕がこの事実に衝撃を受けた。
自分は父親の名前すらも覚えていなかったのだ。
そんな相手思いながら、今まで勉強し続けてきた自分は一体何だったのだろうと。
「俺……何のために勉強してきたんだろ」
一気に全てがばかばかしくなった。
今まで勉強してきたことも、今まで努力してきたことも、全てがどうでもよくなって
僕はその日から勉強を辞めた。