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第5章 突然の変化(5)

 襲撃日から二日。

 現在のPWMMはギルバードさんから聞いたとおり全体の二〇パーセント程度まで戦力が低下している。

 戦力が低下しているだけならいい。

 現在、実質的に上層部は不在の状態だ。

 決定権も、生き残ったPWMMの各支部代表が個別に持つ形になっている。

 PWMM全体で纏まろうとはしても通信設備も貧弱な状態ではやりにくいのが現状だった。

 これらの事があり俺達はほぼフリーの状態。

 今の混乱したPWMMでは、指揮系統が混乱していて防衛するのが精一杯だった。

 だから、俺達だけで出来る事はないか? を考えていた。

「相手の出方を待ってたら、確実に後手後手に回りますね」

「ああ…。それには同感だ。そうでなくても既に後手に回っているんだからな」

 誠の意見に、俺も頷く。

 相手の出方。

 ルークがどう出てくるかを考えても正直何も始まらない。

 それだけじゃなく、現在、操られた楓をはじめ敵戦力が各国の、対魔法攻撃部隊と戦っている最中だ。

 ちなみにPWMMには直接的な攻撃を仕掛けて来ていない。

 俺たちがいても指揮系統が混乱している組織じゃ脅威にならないのだろう。

 もっとも向こうに隙があると言うならそこになる。

「俺なら、今のうちに叩くんだけどな」

 そういうのはギルバードさんだ。

 俺の隣で、腕を組んでこのミーティングを聞いている。

「そうは言うものの、俺の今の義手と義足じゃ厳しいぞ?」

 従来の義手と義足だ。

 何でも、新型は襲撃があった日の夕方くらいに納品される予定だったらしい。

 ホント、運が悪いな。

「それに関してはもう仕方ないと思うしかないだろう?」

「まあ、それはな」

 無いものねだりしてもどうしようも無いんだ。

 だったら出来ることを精一杯やるしかないだろう。

「ところで、楓の現在の活動状況ってわかる?」

「ん? 一応、中東辺りの施設を襲撃しているらしい。向こうの支部からも連絡が入ってる」

「楓はこっちで活動中。ルークは地球か……」

 この状況は攻めるなら本当に今なのかも知れない。

 現在、ルーク側に占拠された国は三十五ヵ国。

 百六十あった国のうち、たった一日足らずでこの有様だ。

 このペースなら世界があいつらの手に渡るのも時間の問題。

 なら、今攻めてしまえばいいんじゃないか?と思うのだ。

 だいたいルークと楓が今は別行動中だ。

「秀二兄さん、姉さんとルークが別行動と言うなら」

「ああ、察しがついたか?」

 頷いて答える誠。

 やはり誠も同じ考えに至ったらしいな。

「誠君、どういうこと?」

「一言で言うと、今攻めるのがベストなんじゃないか?ってことなんだ」

「え? どうして?」

「それは俺から話そうか?」

 ギルバードさんが、そういうと俺らの前に、地球と”アース”の立体映像を出す。

 赤い表示がルークが占領している箇所、青い表示が非占領箇所だ。

 そして、ルーク側の戦闘能力値が示されている。

「今、戦力は二分化されてるんだ」

 地球側にルークの印、”アース”側に楓の印が付けられた。

「この状態で、楓ちゃんを倒しに言ってもルークがいるから万が一を考えるとルークに妨害されてもおかしくない。しかしだ」

 今度は俺達の戦力を映像に出すと、”アース”から地球に移す。

 もしルークを討った場合の状態を映像に示した。

 赤い表示のほとんどが青い表示に変わる。

「えっと、つまりお兄ちゃんは今、ルークに戦力を集中させて一気に叩くのがいいってこと? それで倒せればオセロみたいに一気にひっくり返せる?」

「そんなとこだな。で、ギルバードさん。向こうに転送は?」

「ああ。大丈夫だ。転送装置自体は無事で、向こうに送ることは出来る。あとは帰還用端末があればこっちとリンクできるはずだ」

「なら、決断した方がいいですね。姉さんが、こっちにいる間にルークを叩く」

「ああ」

「それで楓お姉ちゃんも取り返せるってことだね」

 そうだ。

 迷っている暇は無い。

 どうせ、このままここにいたって最後は戦うんだ。

 なら、即行動に移すのがいい。

「今から行くのか?」

「可能ならそうしたいが、転送装置の状況は?」

「襲撃で多少ダメージがあるな。検査と調整する時間が欲しい。準備できたら声をかけるさ」

「じゃあ、調整頼むな」

「任せな」

 立ち上がり、ギルバードさんは早速転送装置の調整に入る。

「ここが正念場だな」

 俺の言葉に、誠もかえでも頷いた。

 これで、ルークとの戦いも終わりだ。

 

 転送装置の調整が終わった。

 技術者が圧倒的に足りない中、ギルバードさんを中心に少数精鋭で行ったらしい。

「たったの五時間で調整を終わらせるとは…。ギルバードさんの技術には舌を巻くな」

 普通、転送装置をはじめ高度な技術を必要とする装置は、調整をどんなに急いでも丸一日かかることが多い。

 ましては人数が少ないと余計だ。

 本来なら二日掛かってもおかしくないのだが。

 この分だと人数が足りてたら三十分で終わったかもな。

「本部の技術者を舐めてもらっては困るな。とは言え、俺が出来るのはここまでだ。

 あとは秀二達次第だ」

「分かってるさ。調整が無駄にならないように決着付けてくる」

「そうしてもらえると助かるな」

 俺とギルバードさんはお互いに笑みを浮べあった。

「さて、誠、かえで。準備はいいか?」

 後ろにいる二人に俺は声を掛ける。

「もちろん」

「いつでもいいですよ」

 二人の顔には不安が無かった。

 むしろ決意の方が強い。

 この戦いで全ての決着を付けるんだと言う強い意志を俺は二人から感じた。

 心強いことこの上ない。

「楓がいない内に叩くわけだが、場合によっては楓が呼び戻される可能性がある。

 その時は二人に頼むぞ」

「任せてよ。絶対に楓お姉ちゃんは取り返すから」

「正直、自分の力を全力で試すいい機会かも知れませんね」

 意外な言葉が誠から出てくる。

 自分の力試すいい機会とは。

 成長するもんだな。

「それじゃ、行くぞ。ギルバードさん、頼む」

「ああ。転送ポートに着いたら連絡してくれ。

 あと秀二、死ぬんじゃないぞ」

「当たり前だ」

 親指を立てて任せろと合図を出す。

 二人を連れて転送ポートへと向かう。

 転送ポートは少人数用の小型タイプだ。

 円柱のガラス部屋のようなもので、床と天井に転送装置らしきものが付いている。

 転送ポートに俺達三人は入る。

「転送を頼む」

『了解した。これより”地球”へ転送を行う』

 低い駆動音が静かになり始める。

 床が光が初めて、転送準備が始まった。

「さあ、これを最後の戦いにするぞ」

「うん」

「そうですね!」

 光が転送ポートを包むと、俺たちは”地球”へと送られるのだった。

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