表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/31

第4章 訓練(5)

 訓練を開始して一時間ほど。

 意識して複数のターゲットに対しての攻撃が出来るようになって来た。

 無駄もまだ多いが、一度に倒せるキメラの数は百頭前後程になっている。

 その甲斐あって一万頭のキメラも半分を割り込んで来ていた。

「頑張るな。あの二人」

「そうだね…。でも、やっぱりあれだと」

「効率は悪い。楓なら一度にどれくらいできる?」

「わたしだったら二千くらいかな?」

 楓は二人を見ながら答えると、知ってるくせにと付け加えた。

 楓や俺の戦法と誠たちの取る戦法の基本的なところは変わらない。

 一気にキメラを補足して打ち放つ。

 二人が今やっている方法はまさに俺達も実践している方法だ。

 PWMMでも教えている一般的な方法でもある。

 だから間違ってもいないのだが、やり方自体はまだ甘い。

「あといくつだ?」

「三千とちょっと。このペースならもう少しで終わるよ」

「なら、後一万追加だ」

 その言葉に楓がやや驚いたように俺を見る。

「そんなことしたら、さすがに危険だよ?」

「俺がレクチャーするって」

「うーん、それなら」

 楓が端末を操作すると、誠達から離れた場所からさらに一万のキメラが出現する。

 そのキメラの数に誠達が俺の方を見た。

 明らかにオーバーワークになるというのを訴えた顔である。

 俺は苦笑しながら、高速移動で二人の元に行く。

「はぁはぁ…。お、お兄ちゃん、あれは何なの!」

「ぼ、僕達、さすがに疲れているんですが…」

「安心しろ、俺がレクチャーする。まずは俺の手本を見てみろ」

 そういうと俺は意識をキメラたちに向ける。

 一番手近なキメラの群れ、二千くらいだ。

「見てろよ!」

 二千頭ものキメラを空間で取られておおよその位置を割り出す。

 同時にキメラに光の槍が突き刺さるイメージをする。

 これはレーザーショットを上空から放つイメージだ。

 意識を開放する。

「くらえ!」

 俺の声と共に上空から光の槍が降り注ぐ。

 あたりは一瞬で真っ白になり、次の瞬間キメラたちの群れは消えていた。

「す、凄い…」

「どうやれば…いいんです?」

 二人の声に耳を傾けながら俺は一度シールドを広範囲に張る。

 いくら安全性があるとは言え、まだ一万を超えるキメラがいるのだ。

「いいか? 俺が今やったのはお前達がさっきまでやっていたことと何も変わらない」

「え?」

「どういうことですか?」

 二人の顔は何を言っているんだ?と言いた気な顔だ。

 当然である。

 二人は苦労して千単位のキメラを倒していた。

 それが俺は一瞬である。

 今までは俺だから出来ることだと思っていたからあまり考えることはなかったはずだ。

「重要なのはイメージだ。それはお前達もわかってるだろ?」

「まあ…」

「わかりますけど…。そもそも同じって」

 いまいちイメージが沸かないらしい。

「つまり、だ。俺はキメラたちを自分の指定した空間で捉えるイメージってわけだ」

「あまり答えになってないんですが?」

 ジト目で誠が見てくる。

「慌てるなって。大事なのはその範囲だ。最初は時間が掛かってもいい。だから二千くらいのキメラをロックするつもりでイメージしてみろ。

 ロックするイメージが無理なら広範囲に魔法を放つイメージだ」

「あ! もしかして」

 誠は少しわかったのか、意識をキメラに集中させる。

 俺が言った通りをそのまま実行するつもりらしい。

 そして次の瞬間、空から炎の玉が無数にキメラたちに振り注ぐ。

 炎の玉はキメラに着弾すると同時に爆発を起こして次々にキメラを灰にしていく。

 辺りが煙が立ち昇るがお構いなしに炎の玉は上空から降り注ぎ続ける。

 煙が引くと、キメラの数が目で見てわかるレベルで減っていた。

「楓、今ので何頭減った?」

 俺の声に楓が大声で答える。

「七百頭だよ!」

 楓の声を聞いて誠が俺の方に振り向く。

 難問が解けた時のような達成感のある顔だ。

「どうだ?」

「わかりました! 確かに簡単ですね……」

「だから言っただろ? やっていることは変わらないって」

 普通、PWMMでの訓練だけを行うと一度に倒すキメラの数は多くて百前後だ。

 単純に一万なんて数のキメラと遭遇することはあまりない。

 そういう意味では誠もかえでも優秀な部類になる。

 今回の事件は特殊だと言ってもいいだろう。

「こ、今度はわたしが!」

 誠が出来た所を見て焦ったのか、かえでが意識を集中させる。

 イメージが出来ていれば誠と同じくらいは出来るだろう。

 そう思っていた。

 だが、かえでの場合は違った。

 かえでが指定しただろう思われる範囲が大爆発を起こしたのだ。

 重い振動が下っ腹に響く。

「な、なんだと!」

「これは!」

 アトミック・バーストだ。

 俺の見よう見真似なのだろう。

 これには驚いた。

 俺たちが見守る中、かえでの放ったアトミック・バーストが強烈な爆発と光を放ちキメラたちを一瞬で灰と化していく。

 シールドがあるから良いが、外は物凄い爆風の嵐だ。

 爆発が収まると、そこには一頭たりともキメラは残っていなかった。

 つまり一万頭を超えるキメラを一瞬で葬った事になるのだ。

「あ、あははは……」

 かえでが照れ笑いをしながら俺の方を向く。

 誠は驚きと共に少しだけ嫉妬しているように見えた。

「かえで、今のは?」

「え、えーと誠君が出来たの見て、わたしも!って思って思いっきりやってみたら」

「ああ、なった?」

 俺の問いにコクリと頷くかえでだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ