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第4章 訓練(2)

 食事が終わると誠はかえでを連れてPWMM本部ビルの案内を始めた。

 俺と楓は技術部へと顔を出すために二百五十階に来ている。

「二年ぶりか。本当なら後三年はメンテする必要がなかったんだけどな」

「仕方ないじゃない。ルークとの戦いじゃ魔力抑えられないわけだし」

「そうなんだけどな」

 俺は苦笑しながら廊下を歩く。

 このフロア全てが技術部である。

 義手、義足のメンテナンスはもちろんのこと転移装置や、その他計測器、測定器などあらゆるものの研究、開発、保守をしている。

 通信機も日々進化しているらしい。

 いくつか部屋を通り過ぎると、俺たちは応接間に通される。

 少し広めの部屋にソファーとテーブルが置かれてる。

 壁には絵画が数枚飾られていて落ち着ける雰囲気の部屋だ。

「少し変わったな」

「そうだね」

 昔はもっと殺風景だったのを覚えている。

 ソファーとテーブルのみで機能性重視で絵画なんて皆無だった。

「技術部長が変わったんだ」

 後ろから聞こえてくる声に振り向く。

 入って来たのは金髪でナチュラルヘアー、緑の目をする青年だった。

 歳は俺より七歳上である。

「ギルバードさん、久しぶり。しばらく見ないうちに老けたね」

「うるさいな…。今年で二十九歳なんだ。老けもするさ」

「秀君、喧嘩吹っ掛けない」

 楓に軽く叩かれる。

 まあ、喧嘩じゃないんだがな。

 じゃれ合いと言ったほうがいい。

「楓ちゃん、相変わらず大きい胸だね」

「ギルバードさん…相変わらずセクハラが直りませんね」

 楓がにらみつけるようにギルバードさんを見る。

 ギルバードさんは降参だと言うように手を上げた。

「まあ、冗談だよ。それより秀二、事前に連絡は受けてはいるが調子はどうなんだ?」

「今のところは何も…。ルークとの戦闘の直後に少し動きが鈍くなった。それと一度寝たら起きるときに痛みも」

「ふむ…。動きが鈍くなったのは魔力回路の軽いショートってところだろうな。痛みがあったのは結合部分の魔力伝送路の消耗と急激な魔力制御による静電気ってとこか…」

 腕を組みながらギルバードさんがつぶやく。

 それから俺は待合室に楓を待たせてメンテナンス室へと行く。

「そこに寝てくれ」

 俺は指示されたベッドに横たわる。

 ギルバードさんは金属探知機のような機械を手にすると俺の左手、両足を上からチェックする。

 これは義手、義足用のスキャナーらしい。

 スキャニングをしているとギルバートさんはため息を一つ。

「秀二、相当高出力な魔法を使ったな?」

「十年前の決着に使った魔法で、ちょっと」

「なるほどな…。こりゃ、義手と義足を交換しないと駄目だ」

 モニターを見ながらギルバードさんは小さいため息をついた。

 まさか交換する程とは思わなかった。

「そこまで?」

「まあな。各所の魔力伝送路が断線しかけてる部分がある。消耗どころじゃないぞ。特に結合部分が酷い。あと魔力回路は軽いショートってのは変わらないにしても細かい制御に支障が起きる可能性があるな。場合によっては制御機構の一部破損してるかもしれない」

「問題なく動作はしてるけど?」

「特殊なことをしなければ大丈夫だろうさ。細かい作業…、そうだなトランプでピラミッドを作るとかは無理だ。大雑把に動かす分には問題ないだろうけど」

 スキャナーを仕舞ながら言う。

 それから端末を取り出すとになにやら入力していく。

 現状でも入力しているのだろうか。

「秀二、今回の交換で新型の義手と義足に変えてみるか?」

「新型?」

 頷きながらギルバードさんは説明をする。

 何でも俺が最後に取り替えた四年前から技術が進歩したらしく、高出力な魔力を扱う場合でもバックアップが働いて義手、義足の負担を減らす機能がついたらしい。

 一時的な魔力供給が経たれる弊害があった前機種からの改良で、魔力を溜めて供給が途切れても大丈夫なようにするらしい。

 途切れている時間も、予備の魔力で最大五分間動作させられる。

 また今回のような高出力下での使用でも魔力伝送路、魔力回路の破損のリスクを減らすと言う。

「今後を考えるとそっちに変えて欲しいな」

「まあ、まだモニターしてくれている人のデータが取りきれてなくてさ。言ってみればプロトタイプなんだ。それでもいいか?」

「構わないさ。ルークと対峙する以上、高出力の魔法を使わざるを得ないし」

 ルークと直接対決となれば相当な魔力を使うだろう。

 その時、義手と義足が耐えられないとなると俺の不利になる。

 魔法だから手足はあまり使わないが、バランスが崩れて集中力が低下してしまうのだ。

「わかった。今回の交換で新型に付け替えることにする」

 その後、新型の在庫が無いため取り寄せるまで時間が掛かるから無茶はするなと釘を刺されてしまった。

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