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始まり

 終わらない終末


 その世界を創造した神も見捨てた世界。

 古き女神とわずかな獣のみを残し生き物は死に絶え、残りわずかな時を静かに生きる死せる世界。

 最後まで留まり、世界の最後を見守る女神には心残りが1つだけあった。

 多くの生き物が行い、種の繁栄以上の何かを感じさせるモノ──家族。外から見るだけでは分かり得ないその何かを感じみたかった。けど、もうこの世界に残された時間は長くない。ならばせめてこの世界で最も繁栄した種族──人間が行っていた家族の前段階、恋人と言うものを体験して見たかった。

 静かに眠りゆく意識の底で女神は思った。


───恋、してみたかったな…


 しかしその時奇跡が起こった。見捨てた神の気紛れか、はたまた存外強かった女神の思い故か、世界の終末は止まり女神は永遠の呪縛に囚われる………

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