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五 音を手に入れた世界

  私は目を覚ました。


 目を覚ましたけど。そこに父さんはいなかった。

 

 まだ病院の先生と話し込んでいるらしい。

 

 全部思い出した私は、近くにおいてあった愛読書を開いた。

 

 父さんがわざわざもって来てくれたのだろう。

 

 その本の背表紙には力強いドラゴンの絵が描かれている。

 

 「ドラゴン・・・か。」

 

 見えるはずないんだが一応自分の背中にむいて話しかけてみる。

 

 「ねえ、もういるんでしょ??現実なんだよね?病気なわけないもん。」

 

 「・・・・・。」

 

 「・・・・ねえってば!」


 その時、ガラッと病室のドアが開いた。

 

 「美智霞?誰と話してるんだ??」

 

 「父さん・・・。ううん、なんでもない。音読してみただけ。」

 

 苦しすぎる言い訳・・。

 

 父さんはその時なぜか、不安や恐怖を感じるかのような顔をしていた。

 

 まるで何かを恐れるような・・・。

 

 すると次に医者が入ってきた。

 

 「美智霞ちゃん、君の病気、病名が分からないんだ。

  背中にはおかしなあざがあるし、健康そうには見えるんだが背骨に異常があるんだよ。」


 医者には悪いけど私にはおおよそのことは分かってるし、

 私が死ぬわけでもないことも夢の内容を思い出して分かった。

 

 でもおそらく、私はここに居座らされ続けれのだろう。

 

 「先生。娘は後どれぐらい生きられるんですか??」

 

 父さんは先生に小声で尋ねている。

 

 「おそらく持っても1年かと・・。病名が分かりませんので分かりませんが・・。」


 すると、医者は思い出したかのようにはっと目を見開いた。

 

 「そういえば私、一度同じような患者が・・・・・。」

 

 医者のボソッとしたささやきを父さんはさえぎった。

 

 「先生。娘を学校にやれないんですか??」

 

 「危険かと思います。しかしもし彼女が残りの人生を普通に過ごしたいと願うなら・・。」

 

 「先生。私学校行きたいです。私耳聞こえなかったけど、

  聞こえるようになったんですよ。この耳で、死ぬまでにたくさんの音を聞きたいんです

  皆の声も・・・・。」

 

 それにもういじめようが、私はいじめてくる奴らが何をいってるのか聞き取ることができる。 


 私にとっては今までで一番最強の武器を手に入れたようなものだ。 

 

 「本人がそう望むのなら、止めません。しかしくれぐれも健康には気を遣ってください

  少しでも長く行きたいのなら・・・。」

 

 医者さんよお、それは違うよ。

 

 私病気じゃなくてドラゴンが行ってた副作用だから。・・・・多分?

 

 あいつ私なら副作用でないとか言ってたのにどういうこと??

 

 それにさっき話しかけても全然返事しないし。 

 

 「じゃあ父さん、退院の手続きしてくるから。」

 

 父さんはそういって病室を後にした。

 

 医者もその時一緒に出ていった。

 

  その時ふと医者が言っていた背中のあざのことを思い出した。

 

 そういえばと思ってトイレにある鏡で確認しようとする。

  

 私は決して身長は大きいほうじゃないので

 

 背伸びしないと自分の背中は見れない。

 

 「よっよとっと!」

 

 精一杯伸ばして後ろを向いて見えた痣はとてもこの世のものとは思えない模様だった。

 

 不思議な模様とかそういうことではなく、 

 直感がそう判断を下したのだ。

 

 先入観があるせいもあるかもしれないが、

 痣にしろ刺青にしろ無理なのだ。

  

 模様は意外とシンプルで誰にでもかけそうだが

 白い炎が小さく、しかし強く燃え盛っていたのだ。

 

 誰でも直感でそう思うだろう

 

 こんなものがあれば。

 

 私はその後、そこで気を失ったらしい。 

 

 近頃、倒れてばかりだ。 

 

 しかしそれも仕方ない。

 立て続けに、信じられないことばかり起きたのだから・・・。

 

 

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