壱拾弐 おかしな教室、・・・いや、おかしいのは。
何かがいつもと違う・・・。
そう気づいたのは授業中だった。
なぜか皆がいつもよりやけにうるさい。
いつもは静まり返っている教室で声がたくさん聞こえた。
なんだか分からないけど、とにかくおかしい。
さらにおかしいのは皆しゃべっているはずなのに、誰も顔を動かさないことだ。
妙だ。気持ち悪い。
次の日も、またその次の日も異変はおさまらないし、
友達にはエスパーだとかちゃかされる。
私はあまりに授業中うるさいので耳栓を持っていくことにした。
授業は大体見てれば分かるし。
私はチャイムがなり、授業が始まってすぐ耳栓をした。
教室の中はうるさすぎる。たいしたイベントも近くにないのに。
何を言ってるのかは聞き取れないけど、なんだか
高い声の人もいれば、低い声の人もいる。
耳に耳栓をつめる。
「!」
私はその瞬間、いやその数秒後おかしかったのは自分だと気づいた。
なぜなら
「音が全く小さくならない??」
私の声に気づいたようで、社会の先生は私のほうを振り返る。
「?どうした、桜夢。なんかあったか?」
しかしその声は私には届かなかった。
先生の声が小さいのではないだろう。耳栓のせいだ。
こいつが不良品でない。
ならば、声がちっとも小さくならなかったのは・・・・。
分からないけどとにかく私がおかしいんだ。
だとしたら私に聞こえてた声・・・先生以外の声は・・・・。
なんなのだろう。
もしかしてまたあいつの仕業か?
クウィルバー。
最近奴とは話していない。背中にいるんだが呼んでも返事が返ってこない。
なんだかムカつく。
って当たり前か。無視されて嬉しい奴なんかいないよ。
「おい桜夢!大丈夫か?」
私の返事が無かったのを気にしたようですぐ目の前で先生が私の顔を覗き込んでいる。
「!はっはい。大丈夫です。すみません・・・。」
私が返事したのを聞くと
私に集中していたクラスの人の目線がいっせいに黒板に戻った。
先生も教卓の前に戻り授業を続けた。
私は耳栓を外しわすれたまま、授業を聞かずにさっきのことを考え続けたが
答えは結局出なかった。
ただ予想はついた。
ドラグルスが関わっている事、クウィルバーに聞くのが早いと言うこと。
そして・・・・。
私が皆がちゃかした「エスパー」のようなものになった事。
それを家でじっくりクウィルバーに聞こうと決め、
役立たずの耳栓を耳からはずし、授業に身を入れた。
どちらにせよ。
聞こえてしまう声のせいで先生の話は聞こえないのだが。