壱 最悪な目覚め
目が覚めるとそこは、ただただ真っ白な部屋だった
私が身に纏っているものも、シミが目立ちそうな白いものだった。
しかし私の横には一つ・・・、いや一人白くない人が私を見つめていた
「お父さん?」
驚いたように父は私の手を握った。
「うっううっ!よっ良かった。本当に良かった!死ななくて本当に・・・!!」
「!」
いやそりゃ驚くよ!だって何がなんだか分からないのにいきなり
親に死ななくて良かったって言われたら。
「うっ!」
頭が痛い・・。ズキズキする・・。
冷静に考えないと・・。思い出せること全部とりあえず・・。
・・・・・?
まって、今私父さんとしゃべってた・・・。
父さんの声が聞こえた。生まれて初めて・・・。
確か私、耳が聞こえなかったはずじゃ・・・・。
いや、そうじゃなくてまず、
自分の事思い出して、そっから整理しないと頭が追いつかない・・。
私の名前は桜夢 美智霞、12歳。もちろん女。
女じゃなかったらむしろ気持ち悪い。
それで今年中学校に入学したばっかり。
あと、えーっと・・・。
「美智霞??」
父は心配そうに私の顔を覗き込む。
「なんで?私この通りぴんぴんして・・うっ!ぐっゴホッ!ゲホゲホッ」
腕を振り回した瞬間、
私の背中に骨盤から首まで背骨を駆け上るような激痛が走った。
すると白衣を身にまとった人が私の背中を察すってきた。
とても申し訳なさそうな、まるで私を哀れむような視線・・・。
察しがついた。
ああ、なるほど・・・。納得だよ。
でも頭の中でいくら落ち着かせようとしても、そんな冷静に構えていられなかった。
恐怖。生まれて初めてだ。こんな恐ろしい恐怖は・・・。
いじめられても、けなされても
今なら全然怖いなんて思わないだろう。
「・・・・」
医者は黙ったまま私の背中をさすり続ける。
「なっなに?何なの先生。私ちゃんと受け止めるからさ。」
患者に気を遣わせるなんてとんだ医者だよ。
しかし医者は私に背を向け、父さんに一言
「ついて来てください。」と。
部屋で一人になり、すこしほっとする。
ほっとするあまり真っ白なシーツに水が零れた。
何でだろう??一人になると、こらえてた物が溢れてしまう・・。
こんな姿、父さんに見せれないよ。
落ち着いてすこし頭を整理する。
私もやるべきことがある。
まず、昨日の出来事を思い出すんだ。
そうすればきっと、私の身に何が起こっているのかも分かるはずだ。
しかし私はそのまま眠りについてしまった・・・。