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序章
暗い暗い闇の中。俺は、ゆっくりと目を開ける。いや、開けたのかどうかも分からなかった。目の前は永遠の黒だけが続いている。俺は光を求めて辺りを見渡すが、そこには何もない。
────此処は、どこなんだ?
俺は1つずつ過去を振り返る。どうして此処にいるのだろう? 記憶があるのは、何処までなのか。しかし、記憶には何もない。いや、記憶自体が失われていた。
────何故だ? 何故、思い出せない……
何もかもが無であった。此処が何処なのか。いや、それだけではない。自分という存在が……分からない。名前も年も姿も。