柴犬さまのオーボエファイター木村
タイトルは「夜闇」
あ。
ああ。
ああ。
ああ。
見たくない。
思い出したくない。
忘れ……。
ああ。
ああ――……。
それは深夜の時だ。
暗い。
暗い。
夜闇の中。
何かが聞こえた。
市民ホールの舞台袖で。
何かが。
誰もいないはずの客席から、
その音は聞こえてきた。
音が。
「ギィ……、ギィィ……」
楽器の音似た何か。
夜闇の中から何かが響く。
それは何か湿った様な音だった。
何かを絞り。
何かが軋んだ音だった。
音。
そう。
音だ。
不吉な軋みの音だった。
警備員として雇われた僕が巡回してる時の事だ。
それが聞こえた。
音だ。
何かが締まる音。
何かが軋む音。
音のする方に懐中電灯の光を震わせながら照らす。
暗い。
暗い。
暗い中央に。
照らす。
そう。
照らしてしまった。
そこに。
**「それ」**は立っていた。
異形の風貌が立っていた。
薄汚れたボロボロの燕尾服を着たナニカ。
ナニカ。
ナニカ。
白骨のナニカが燕尾服を着ていた。
聞いた事が有る。
深夜の市民ホールに出る死者。
嘗てこのホールで演奏中にリードで死んだ人間の事を。
演奏中にリードを踏んで転んで打ち所が悪く死亡した人間の事を。
オーボエファイター」と呼ばれた男が居たことを
「死んでも死にきれんっ!」
「あ、はい」
幽霊の自己主張が激しくて恐怖が消えました。
木村がないので失格!
生活指導の萩原先生が来られますので罰を受けてください。




