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無謀! 瞬発力企画2 会場  作者: しいな ここみ
第四回目 『オーボエファイター木村』
95/99

秋桜星華さまのオーボエファイター木村


真っ白な氷の張ったリンクに、一人の男が佇んでいた。周りは異様な静けさに包まれている。


氷には大会のシンボルである、三角と丸を組み合わせた形が印されている。


〈さあ始まりました、音圧オリンピアード砕氷大会。最初の競技は『大声で氷を割れ!』です!〉


実況席から元気のいい声が響き渡る。

世界各地から腕に覚えのある人々が集まる音圧オリンピアード砕氷大会、略して音砕ピアード。その競技はどれも風変わりなものばかりだ。


氷の上の男が口を大きく開け、いきなり叫びだした。


「おああぁぁぁぁ!!!」


パリパリパリパリッ


〈おおっとナロウ国のエターナル選手! 開幕直後から力強い大声です! 氷が割れていく! 非常に芸術的です!〉


会場が歓声に包まれる。誤って観客の声で氷が割れてしまうと大変なので、静かにしていたのだ。


観客からの声に応えるように大きく手を振りながら、エターナルは退場していく。


そこに、氷張り係の数人が出てきて、マジックで一枚の薄い氷を張って出ていく。


〈氷が張り替えられました。続いてはエブリ国のシッピツ選手の登場です。前回大会の『大声で氷を割れ!』優勝者、今年はどんな割れをみせてくれるのでしょうか!〉


今度は長身の女性が歩み出て、同じように大きな声を上げる。


「きゃああぁぁぁ!」


〈おおっと、これは【事件性のある叫び声】!発声の芸術性を評価して、採点に大きく影響するでしょう!〉


女性の叫び声に被せるようにして、実況が盛り上がる。


女性は、割れた氷の上で三回転トリプルスピンをしながら退場していった。



それからもフツーの一般人がたくさんでてきてはそれぞれの叫び声で会場を圧倒し、退場していった。




〈さあ『大声で氷を割れ!』結果発表の時間です! 一体王冠は誰の手に渡るのでしょうか!〉


どぅるるるるるる、だん!


〈優勝は……みんなです! 素敵な芸術に順位なんてつけられません!〉



会場が、一気に白けた。




〈さあ2つ目の競技は『楽器で氷を割れ!』です! 最初の出場者は、我らが日本の木村選手ー! どんな割りを披露してくれるのでしょうか!〉


木村はオーボエを取り出し、一気に息を吹き込んで音を鳴らした。



ビイイィィィッ



鼻にかかった、濁りのある音が会場中に響き渡った。バリバリバリッと綺麗に氷が割れていく。



〈木村選手、会心の一吹きーっ! これは素晴らしいです!

さすがは我らの【オーボエファイター木村】ーっ!〉



木村は、どんな綺麗な割れ方をしても、そんな即興の二つ名で呼ばれても楽しくなかった。


目標は、大会での優勝。


そして、結果は知れているからだ。


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― 新着の感想 ―
もうさ、みんな… うん(笑 ありがとう〜 ありがとう〜ヽ(;▽;)
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