ぽっち先生/監修俺さまのオーボエファイター木村
タイトル:聖母マリアンヌ様はおっしゃられた。浄化の音色を奏でなさい。されば救われん。
参加者:ぽっち先生/監修俺
コメント:全てのお題はSFにしちゃえば楽勝。後は困った時の神頼み。つまり『奇蹟』を出せば万事塞翁が馬っ!
本文:
時は22世紀。人類は何故か遠くの宇宙から地球にやって来る様々な『宇宙怪獣』と、壮絶な防衛戦を繰り広げていた。
しかし殆どの宇宙怪獣はまっ裸で真空の恒星間空間を飛翔して来るだけあって、人類が編み出した対人兵器では駆除するのが難しかった。
まぁ、核兵器は有効ではあったが、まさか宇宙怪獣が暴れまくる都市部で使うわけにはいかない。
だが、そんな事に無頓着な米国は地球防衛警察という肩書きを自ら名乗り、他国に現われた宇宙怪獣に対してバシバシ核兵器を使用して当事国からひんしゅくを買っていた。
だがそんな米国の身勝手な振る舞いに対して、遠くタコカンダル星から地球に観光へ来ていた聖母マリアンヌ様から「自分勝手はダメっ!反省しなさいっ!」ときついお灸がすえられたのである。
そう、なんとマリアンヌ様が施した対宇宙怪獣用結界から米国だけが除外されたのだ。
なので以降、地球にやって来る宇宙怪獣たちは全部が全部米国に着弾した。
しかし、誤まったフロンティアスピリッツと『Make America Great Again』というスローガンにて米国民をまとめ上げた大統領は、飛来する宇宙怪獣に対して核兵器で応戦し駆除に成功したのである。
だがそのツケとして米国は最終的に国土の90%が放射性物質で汚染されてしまった。
だが、ここでめげないのが米国人である。彼らは米国の中では田舎すぎて宇宙怪獣の来襲がなかったノースダコタ州に集結し再起をはかった。
そう、先祖たちから脈々と受け継がれていたフロンティアスピリッツと『Make America Great Again』というスローガンの下に、新国家『Statue of Liberty(自由の女神)』をノースダコタ州の地に建国したのだった。
そして米国の自己犠牲?的な奮闘により、宇宙怪獣にとって地球はあまり遊ぶ場としては危険だとの噂が流れたのか、襲来回数も激減し世界は平和を取り戻した。
だが、必要であったとは言え数千発の核兵器による攻撃は地球上に深刻な放射線汚染を残してしまった。
だが、ここでもタコカンダル星から地球に観光へ来ていた聖母マリアンヌ様が救済の手を差し伸べてくれた。
そう、タコカンダル星に来れば放射能除去装置『アトムクリーナー』を無償で貸し与えましようといって下さったのだ。
しかし、残念だが22世紀においても人類は漸く火星に有人探査ロケットを送る程度の技術力しかなかった。
なのでどう足掻いても16万8千光年も先にある大マゼラン銀河まで放射能除去装置を取りに行く事は出来なかった。
だが、必要は発明の母である。なんと日本の科学者がアニメ『響け!ユーフォニアム』を観ていて閃いたのだっ!
そう、音楽の音色は人の心を浄化する。ならば放射線も浄化するはずだとっ!
勿論、この論理は当初誰からも支持されなかった。だが、科学者はひとり実験を繰り返し放射線も音楽に共感するという事を発見したのであるっ!
更に楽器の中でも『オーボエ』が一番効率よく放射性物質を浄化する事を突き止めた。
この発見により、人類は楽器演奏による大々的な放射性物質浄化作戦『オペレーシヨン・No駄目っ!カンタ-ビレ』を発動する。
そしてこの作戦は放射能との戦いなので、演奏者たちはそれぞれ担当する楽器+『ファイター』と呼ばれるようになった。
そんな中、一番効率よく放射性物質を浄化する楽器『オーボエ』を駆使する者たちの中でも、最強と言われているのが『オーボエファイター森村』だ。
なので森村は戦った。それこそ寝食を忘れたかのように毎日各地でオーボエを吹き、放射性物質を浄化しまくった。
だが、如何に人類の為と言う使命感をもってしても森村とて人間である。なのでとうとうベルギーにあるアントワープ聖母大聖堂内での演奏中に倒れてしまった。
そして朦朧とする意識の中で森村は長年連れ添ったペットである『トコナツ』に向かって呟いた。
「トコナツ、長い戦いだったね。君も疲れたろう?僕は疲れたよ。そのせいかな、なんだかすごく眠いんだ。トコナツ・・、あーっ、暖かいミルクと甘いアンコがあればなぁ。こんな疲労も吹き飛ぶのに・・。」
その言葉に森村同様衰弱していたトコナツは、最後のチカラを振り絞って大聖堂内に描かれていたルーベンスの『キリストの降架』に向かって祈りを始めた。
するとどうした事だろう。なんと『キリストの降架』に描かれていたイエス・キリストの脇腹の刺し傷から流れた血の雫が、ホットミルクの入ったマグカップと『木村屋のアンマン』に変化して森村の下に現われたのだっ!
これを奇蹟といわずになんと言うっ!
そして森村とトコナツはこの奇蹟のホットミルクと『木村屋のアンマン』にて忽ち回復した。それどころか、森村の奏でるオーボエの音色は以前の数千倍もの威力となり世界中から核爆発で飛散した放射性物質を浄化したのだった。
こうして世界は勇者により救われた。
その後、この逸話は永らく人々の間で言い伝えられた。ただ長い月日の経過により内容が若干変化し、何故か『オーボエファイター森村』の名前は『オーボエファイター木村』にすり替わってしまっていた。
だが森村はきっと気にしないだろう。何故ならば彼は浄化が完了した後、記念に銅像を作って貰ったのだが、その時かっこいいポーズをとりながら受けたインタビューで、彼は「何故、そうまでして人類を救おうとしたのですか?」と問われた時にこう返事を返したからだ。
「ハインツ・ホリガーなら、きっとそうしたはずだから。」
-お後がよろしいようで。-
後書き:ハインツ・ホリガーは『オーボエの神様』と称されるスイス出身の巨匠です。




