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無謀! 瞬発力企画2 会場  作者: しいな ここみ
第四回目 『オーボエファイター木村』
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清坂 正吾さまのオーボエファイター木村


 高校に入ってからできた友人、積子つみこの“たとえツッコミ”は、どこかおかしい……。


 ある日のこと。


「今日さ、カバンと間違えて、学校に枕を持って行きそうになっちゃったんだよね」


 すると、積子がすかさず言った。


「それ、ジャイ○ンかよ!」


(……なんでジャイ○ン? 昼寝キャラなら、の○太でしょ? そっちでしょ?)


 また、ある日のこと。


「昨日ね、先生に質問しに行ったら、うっかり『お母さん』って呼んじゃったんだよ」


 積子、間髪入れずに。


「ウシかよ!」


(なんでなの。なんで人間ですらないの。せめて“マザコン男子”とか、そういう方向にしてよ……)


 そして、極めつけ。


「私さ、ネコの鳴きマネ、けっこう上手いんだよ」


「へぇ? じゃあ、やってみてよ」


「メェー、メェー」


 ほんの一拍おいて、積子が叫ぶ。


「オーボエファイター木村かよ!!」


(いやいやいや! 今のは“ヤギ”とか“羊”でいいでしょ!? ていうか誰よ、オーボエファイター木村って!)


 そんな風に、積子のツッコミは、いつも微妙に――いや、だいぶズレているのだった。


 そう思っていた。


 ◇


 ある日、学校の図書室で暇をつぶしていたときのことだ。


 なんとなく手に取った雑誌の特集ページに、私は凍りついた。


『特集・地域の人気者大集合!』


 その中に、堂々と載っていたのだ。


『昼寝を愛する情熱のリサイタリスト』

 その歌声は誰もを眠らせる、ジャイ○ン


 リサイタル前は必ず枕を持参する。

 最高の昼寝が最高の歌を生む。


(持ってくるんだ……枕……)


 一瞬、私は固まる。


(え、あのジャイ○ンとは別人……だよね? だよね?)


 動揺したままページをめくる。


『酪農と教育の二刀流!』

 “ウシ”と呼ばれる名物教師、牛山先生


 プロフィール欄:

 ・生徒から「お母さん」と呼ばれがち

 ・実家は牧場

 ・本人も認める重度のマザコン


(ウシ、いるじゃん!!! しかもマザコン!!!)


 さらに、次のページ。


 『メェーメェー鳴きで悪を討つ男!』

 オーボエファイター木村、参上!


 必殺技は「メェーメェー・ソナタ」。


(いた!? 本当に、いた!?)


 しかも活動拠点、隣町。


(え、近い……近すぎない……?)


 私は、ゆっくりと雑誌を閉じた。


 ……積子のツッコミ。


 あれ、もしかして……

 ズレていたんじゃなくて……


 “的確だった”のでは――?


 ◇


 翌日。


「昨日の夕飯、カレーだったんだ。私、カレー大好きなの」


 教室のいつもの空気。

 いつもの雑談。


 そして、いつも通り――


 積子が、すかさず言い放つ。


「セカンドボイス高橋かよ!!」


 教室が、しん、と静まった。


「……は?」


「誰?」


 周囲は一斉に唖然とする。


 当然だ。

 そんな人物、聞いたこともない。


 ――昨日までの私なら、みんなと同じ反応をしただろう。


 けれど私は、静かにペンを取り出し、ノートの端に書きつける。


『セカンドボイス高橋』


 丁寧に、はっきりと。


(今日も図書室に行ってみよう)


『セカンドボイス高橋』


 その文字を見ながら、私はワクワクしていた。


マニアに脱帽


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― 新着の感想 ―
いや! これはなかなかの人材! 市役所‥‥いや、町役場に是非とも欲しい人材なのでは? しかし、このタイトなお題を‥‥みなさんよくここまでバラエティーに富んだお話に。。。 実力者揃いですねぇ。。(º …
地域密着型ツッコミだ(≧▽≦) これを理解できるようになって、地域の発信を行っていこう!
 ニッチなツッコミ。(笑)
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