笹門 優さまのオーボエファイター木村
木村ユーライアは吹奏楽部に所属する女子生徒である。
担当はオーボエ。
オーボエは二枚のリードを振動させて音を出す高音域の木管楽器だ。
オーケストラではチューニングの基準音を出す重要な存在なのだが、構造が複雑で技術的には「世界一演奏が難しい」と称されることもある上に、メンテナンスにも知識が必要でさらに高い。高額だ。
まあ、楽器はなんでも高いのだが、オーボエは入門用の一番安いものでも10万を超える。
彼女は幼い頃から楽器を友として育ってきた。
祖父母の代から音学家であるような家庭だ。 然もありなんというものだろう。
そんな彼女は今、オーボエを片手にひとりの男子生徒と対峙していた。
彼は大山ザングリライト。
人呼んでドラムバトラー大山。
両手にスティック、腹にドラムを装備したライバル高の一角である。
今まで数々の棄威争嶽部員たちを下してきた偉丈夫。
そう、吹奏楽は棄威争嶽。 己が威を以て争い、叩きのめした相手を地嶽へ棄てる、恐るべき闘いなのである。
ちなみに音学家は怨嶽家。 叩きのめした相手は数知れず、ひたすらに怨まれ、地嶽へ堕ちろと言われ続けるような、殺伐とした家庭であった。
「ふふふ……………。 流石は音に聞こえし木村ユーライアだな。
我が覇気にも動じず、立ち塞がるか。
いや、ここでこの名を呼ばぬのは無粋。
勝負といこうではないか!
オーボエファイター木村よ!!」
2本のスティックが不気味に構えられる。 その姿は異質。
どの様な流派にもそんな構えはないだろう、なのにまるで隙のない様相。
「ええ、あたしは貴方を……いえ、十二神将を全て倒し、この棄威争嶽の覇者になってみせる!」
対する様に構えられるオーボエ。
そのリードは二枚。 だからこそ彼女はこの嶽鬼を選んだ。
「ふははははははっ!
吠える、吠えよる! その威勢、我が腹鼓が可笑しくて震えておるわ!」
その言葉通り、彼のドラムはまるでドラムロールでもするかの様に細かく震えていた。
「そう笑っていられるのも今のうちよ。
喰らいなさい! 『サイレンの魔女』!」
──ドォォォォォォォォォォ………ン
吹き鳴らされたオーボエが、その高周波が辺りを吹き飛ばす!
窓ガラスは全て砕け、椅子や机はひしゃげた。 床材は彼女を中心にクレーター状に破壊され、周囲を砂埃に隠してしまう。
ちなみに今まで一言も発していない観客たちも全滅だ! そう、観客は静かに見て、聴く事だけを義務づけられているのだから仕方がないのだ。 吹っ飛ばされた時すら彼等は声を出さないのである。
「どう? 少しは効いたかしら?」
「大したモノだな、オーボエファイター木村よ! 十二神将の中でも三指に入る耐久性を持つ我でなければ、もっと痛手を負った所だぞ?」
晴れた砂煙から姿を現したのは当然、ドラムバトラー大山。 幾つもの裂傷打撲傷を受けた様子だが、その姿は健在。
「流石、十二神将の一角は違うわね。 でも闘いは始まったばかりよ」
そう、闘いは始まったばかり。
頑張れ、オーボエファイター木村よ!
けっぱれ、オーボエファイター木村よ!
勝利を、掴み取るのだ!!
凄い世界だ……(゜Д゜)
すいそうがく……初めて聞いたけど、それって民明書房の本に載ってますか?
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「どう? 少しは|効いた(聴いた)かしら?」
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