田尾風香さまの青空
『青空の先に願いを込めて』
オレが勇者として異世界に召喚されて、……そして日本に帰ってきてから十年がたった。
外を歩いていたオレは空を見上げる。突き抜けるような青空だ。
空は世界中と繋がっている、なんていうけれど、残念ながらあの異世界には繋がっていない。
でも、空の向こうには宇宙があって、宇宙を超えた先にはあの異世界がある。……かもしれない。だから、雲に遮られていないこんな青空の日は、あの世界が少しだけ近いような気がしている。
(みんな、どうしてるかな)
日本に帰ってきたかったから帰ってきた。けれど、あの世界で一緒に冒険をした仲間たちのことを、時々思い出す。そして、オレが初めて好きになった女の子のことも。
(どうしてるかなぁ。ちゃんと幸せにしてくれてるかなぁ)
好きになった女の子は、別の人のことが好きだった。だから帰ってくるとき、アイツに「幸せにしなかったら承知しない」と言い捨ててきた。
あの子はちゃんと幸せになっただろうか。アイツはちゃんと、幸せにしてくれただろうか。……まぁこんなことを言ってても、今幸せでいることを、ちっとも疑ってなんかいないのだけど。
オレは、隣を歩く女性を見た。すると、その人もオレを見た。
「どうしたの?」
「なんでもない」
オレは笑う。
(ねぇ、オレもうすぐ結婚するよ)
そう言ったら、あの子はどういう反応をするだろうか。
きっと驚いて、そして「おめでとう!」って満面の笑みを見せてくれる。十年もたつというのに、その笑顔が当たり前のように想像できる。
(オレ、絶対に幸せになるからね)
どうかあの子へ届けと、青空へ願いを込めたのだった。
なんとなくフリーレンな?(しいな)




